アベノミクスを成功に導く日本企業の革新努力

■規模は必要ない

 海外投資、流通促進―。しかし、全ての革新が大規模である必要はない。社員一人ひとりの手作業で稼ぐ零細企業の場合はどうか。ハーバード大経営大学院は今年から社員800人足らずの新幹線清掃業者テッセイのエピソードを教材に加えた。

 新幹線が東京駅に到着してから次の発車までの時間は12分。乗客の乗降時間は5分だ。残る7分で22人が1組になり、1人当たり85-100席の座席、窓、床、棚を清掃し、乗客に元気よくあいさつする。フランス国鉄総裁は「新幹線の清掃を輸入したい」と話した。CNNは「7分の奇跡」として紹介した。

 この会社も一時はムードが暗かった。会社も乗客も社員も「掃除は大したことではない」と思っていた。矢部輝夫専務(68)がそれを変えた。矢部氏は月給を上げるのではなく制服を変えた。テーマパークの従業員のような派手な色だ。そして、「皆さんは掃除のおじさん、おばさんではなく、乗客が感嘆する『新幹線劇場』の主人公だ」と言った。

■政府はきっかけをつくれ

 目立たずに清掃していたころ、乗客は作業員を「透明人間」扱いした。制服が変わると、乗客は「ご苦労様」とあいさつするようになった。作業員は自ら夏にアロハシャツ、冬にサンタクロースの服を着ることを決めた。新幹線に女性専用トイレができたのもテッセイ社員のアイデアだった。

 早稲田大の入山章栄教授(42)は「日本企業の慢性的弱点は『強い現場、弱い経営』だった。アベノミクスは(不況脱却に向けた)事前作業であり、これからは企業自らが枠を取り払って取り組むべきだ」と述べた。一番求められるのは「革新を渇望する経営陣」だ。

東京=キム・スヘ特派員 , 東京=ヤン・ジヘ特派員
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