第1次安倍政権は366日で終焉(しゅうえん)した。6年間の「臥薪嘗胆(がしんしょうたん)」の末、政権トップの座に再び就いた安倍晋三首相は、以前とは違っていた。「アベノミクスの設計者」と呼ばれる伊藤元重東京大学教授は、安倍首相の成功の秘訣(ひけつ)について「何を先にして、何を後でするか、正確な青写真があった」と語った。
-アベノミクスは成功ですか?
「今のところは。安倍首相の最大の功績は、日本経済が下降している時に、その時期にふさわしいブレーキをかけたことだ。日本経済は鉄釜の底が熱くなっている状態だ。20年間にわたる不況で企業は投資をせず、国民は消費をしてこなかった。そうしたマインドを変えることが重要だった」
-資金供給だけで可能なことではないと思いますが。
「安倍首相はまず、強力で楽観的な青写真を示した。円安で輸出を増やし、企業が利益を得た後、雇用と投資を誘導して構造改革に着手した」
-韓国にアドバイスがあるとすれば?
「韓国はアジア通貨危機直後に規制改革を敢行したが、その後は悔いが残る。サムスンはよくやっているが、強い中小企業はあまりない。中国が永遠に年10%ずつ成長するというは無理な話だ。過度に依存すれば困難に陥る。製造業に偏り過ぎているのも同様だ。製造業は質の良い雇用を多く作ることができないし、世界経済の動向にも左右される。先進国は国内総生産(GDP)の70%をサービス産業で作り出す」