北米で発覚したVWの排ガス浄化装置問題、もう少し輪郭が解ってから発言したいと思っていたのですが、普段お付き合いの無いメディアも含めて、問い合わせも多く、現時点での雑感だけ記しておきます。

まずこのプログラムが意図的に仕込まれ、本当に計測モード時だけ作動し、普段はそれよりはるかに多くの有害物質を出していたとすれば、これは悪質極まりないことだと考えます。当然ですよね。

一方で「本当にそんなことするのかな？」という疑問も湧きます。そして、それを肯定するにせよ否定するにせよ、現状では情報が足りません。

たとえば。
計測時にだけ作動するプログラムって、一体どうやって呼び出すのか。秘密のESPオフモードみたいな、特定の操作があるのか？

そのプログラムは本当に普段は作動していなかったのか。クリーンではない排ガスを垂れ流していたのか。開発時に仕込まれたものが残っていただけ、とかではなく。

VWだけが、そこまでしないと排ガス規制値をクリアできなかった、なんてことがあり得るのか。そこまで技術が無いとは思えないし、じゃあ本当に他社は一切やらずに達成できているのか。

パーツ供給、そして開発の面でもサプライヤーとの協力が不可欠な自動車開発に於いて、こうしたプログラムは誰が仕込むものなのか。

そして、この事実を社内の誰が知っていたのか。
外紙では社長の引責辞任が取り沙汰されていますが、個人的には諸々をクリアにしてからで遅くないと思います。

もちろん今後の対策についても早急に知りたいところです。改修プログラムを入れれば解決なのか、そこで（もし今、規制値より多い有害物質を出す状態で走っているなら）、出力や燃費に影響が出たりはしないのか。

正直、次の社長は誰かとかは最重要ではないし、ましてスズキは、庄司元社長は…みたいな話はそれほど興味ナシ（ゴシップとしては、あるいは今後の会社の行方を占う意味では興味ありますけど）。それよりまずは真実を知りたいし、調べて報告していかなければというところです。

おそらく憶測記事もいっぱい出て来てしまうと思いますが、特ダネ記者ではなくモータージャーナリストの私としては、重大事だからこそ冷静に、しかし正しい報道をと思っている次第であります。