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小宮一慶の週末経営塾

部下を動かせないリーダーは
「伝える力」が不足している

小宮一慶
【第22回】 2015年9月26日
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「教えること」と「伝えること」は違う

小宮一慶
小宮コンサルタンツ代表

 リーダーは、「教える」ことと「伝える」ことの両方ができなければなりません。そして、その区別を知っていなければならないのです。

 「教える」というのは、こちらが頭で理解したことを、相手の頭に理解してもらうためのものです。経理の書類や製造のプロセス、製品の詳細などは「教える」ことに当たります。

 会社は、良い商品やサービスをお客さまに提供することを、一つの大きな目的としています。ですから、当然ながら、技術的なことや仕事のプロセス、業界のこと、お客さまについてなど、部下に教えなければならないことは沢山あります。

 そしてもう一つ、部下とのコミュニケーションにおいてとても大切なのが、「伝える」ことです。伝えるとは、相手のハートに語りかけることを言います。「思い」や「気持ち」は教えるとは言わず、伝えると言いますが、まさにそれです。

 その意味で、「考え方」や「生き方」などは、その根幹となる自分の気持ちを含めて相手に理解してもらわなければなりませんから、教えることでなく伝えることです。

 言い方を換えると、「意味」は教えることであり、「意識」は伝えることにあたります。コミュニケーションは、この「意味」と「意識」の両方を相手に理解してもらうことだと私は考えています。

 部下を動かせないリーダーは、伝えなければならないことを教えていることが少なくありません。頭の良い人におうおうにしてありがちなのですが、人を動かす際に、自分の知っているノウハウなどで人を動かそうとするのですが、これでは人は動きません。なぜなら、「伝える」べきことを「教えている」からです。

 例えば、「お客さま第一」がビジネスにおいてとても大切であることは、教えることではなく、伝えることです。「良い仕事をしよう」というのもそうです。「みんなで幸せになろう」「仕事を通じて社会に貢献しよう」「仕事の喜びを感じよう」、これらもそうです。「伝えること」であり、「教えること」ではありません。これは、自分も相手も理屈でなく本当にそう信じていないと伝わらないことだからです。

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小宮一慶

京都大学法学部卒業。米国ダートマス大学タック経営大学院留学(MBA)、東京銀行、岡本アソシエイツ、日本福祉サービス (現、セントケア)を経て独立し現職。名古屋大学客員教授(平成26年度後期)。企業規模、業種を超えた「経営の原理原則」を元に、幅広く経営コンサルティング活動を行う一方、年100回以上講演を行う。『ビジネスマンのための「発見力」養成講座』(ディスカヴァー21)など著書は100冊を超え、現在も経済紙等に連載を抱える。


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経営課題を抱えて日々悩む経営者に向けて、数々の企業経営者に伴走してきた経営コンサルタントの小宮一慶氏が課題解決の「ヒント」を提供。どんな業種にも通じる経営の原理原則をおさえながら、経営者はどうあるべきか、実際の経営現場で何を実行すべきか、を語る。

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