<仙台いじめ自殺>公園の献花台消えた
昨年9月下旬にいじめを苦に自殺した仙台市立中1年の男子生徒=当時(12)=を追悼しようと、学校近くの公園に設置された献花台が25日朝までに撤去された。献花台は21日朝までに設置され、連日、大勢の人が訪れ、花を手向け、手を合わせていた。誰が設置し、誰が撤去したか分かっていない。
地元住民が25日午前8時半ごろ、花束に雨よけのビニールシートを掛けようと現地を訪れ、献花台のテーブルと白いクロスなどがなくなっていることに気付いた。24日夜には花束約50束とお菓子やジュースが供えられていた。花束数束と男子生徒向けのメッセージや手紙だけが残されていた。
市教委や学校は「遺族の意向」を理由に、加害生徒11人を除き、今もいじめ自殺の事実を子どもたちに知らせず、当時の担任の女性教師は「転校した」と虚偽の説明をしていた。
近所の男性(73)は「ありがたいと思っていただけに突然、撤去され、驚いた。学校や市教委が隠そうとすればするほど、子どもたちや地域の動揺は広がるばかりだ」と話した。
公園を管理する仙台市の区役所は21日、献花台の側に「不法占用に当たる」との告知板を設置。自主撤去の要請に応じない場合、強制撤去する方針を示していた。25日には設置者に対し、区役所への連絡を呼び掛ける新たな看板を設置する予定だった。
一方、25日朝、「献花台設置者」を名乗る人物から河北新報社に「これ以上、放置すると区役所と遺族に迷惑になるため、撤去した。手紙類は遺族に届けてほしい」という匿名のファクスが届いた。
設置した理由については「子どもなりの社会があったはずで、社会から弔意を受ける機会があるべきだと思った。涙を浮かべ手を合わせる女子中学生を見て、追悼の場は必要だったと実感した」と記されていた。
男子生徒の父親は河北新報社の取材に「あらためて献花台の設置に感謝したい。間もなく一周忌を迎える息子に報告したい。皆さまに手を合わせていただき、息子も少しは浮かばれる」と語った。
2015年09月26日土曜日