トップページ国際ニュース一覧FIFA会長の捜査開始 背任などの疑い
ニュース詳細

FIFA会長の捜査開始 背任などの疑い
9月26日 4時46分

FIFA会長の捜査開始 背任などの疑い
k10010248481_201509260513_201509260534.mp4
FIFA=国際サッカー連盟のブラッター会長がヨーロッパサッカー連盟のプラティニ会長に対し、日本円にして当時1億7000万円余りの不正な支出を行った疑いがあるなどとして、スイスの検察当局はブラッター会長に対する捜査を始めたと発表しました。
FIFAを巡ってはアメリカの司法当局が当時の副会長ら合わせて14人を多額の賄賂の受け渡しなどに関わったとして起訴しているほかスイスの司法当局も2018年と2022年のサッカーワールドカップ開催地を選ぶ際に不正が行われた疑いがあるとして捜査しています。
スイスの検察当局は25日、背任などの疑いでFIFAのブラッター会長に対する捜査を始めたと発表しました。それによりますと、2011年にブラッター会長がヨーロッパサッカー連盟のプラティニ会長に対し、200万スイスフラン(日本円で当時1億7000万円余り)の不正な支出を行った疑いがあるということです。
また、2005年にブラッター会長がFIFAの不利益になる内容の契約をカリブ海サッカー連合と結んだ疑いがあるということです。
さらにスイスの検察当局は、この日、スイスのチューリヒにあるFIFA本部を捜索するとともにブラッター会長から事情を聴いたことを明らかにしました。また捜査の一環としてプラティニ会長からも話を聞いたということです。
FIFAを巡る捜査がトップにまで及ぶことで腐敗の実態がさらに明らかにされるか注目されます。

頭脳派の8代目会長

FIFA=国際サッカー連盟のジョセフ・ブラッター会長はスイス出身の79歳です。
ローザンヌ大学を卒業したあと、スイスの州観光局の広報やアイスホッケー連盟の事務局長、さらにスポーツ記者を経て1975年にFIFAに入りました。
そして5か国語を使いこなす頭脳派として存在感を高め、1981年から17年間事務局長を務めたあと、当時のアベランジェ会長の後を継いで、1998年に8代目の会長に就任しました。
会長としてはアジアやアフリカなど競技環境が整っていなかった国や地域でのサッカーの振興に力を入れたほか、女子サッカーの普及にも取り組みました。
ことし5月、FIFAを巡る不正事件が発覚し、辞任すべきだという声が高まったにもかかわらず、その直後に行われた会長選挙に5期目を目指して立候補し、改革を掲げたヨルダンのアリ王子をやぶって再選を果たしました。
しかしその4日後、「再選がすべての人に支持されているわけではない」として次の会長が決まる来年2月で辞任することを表明しました。
FIFAのホームページで、ブラッター会長はみずからの信条として「信頼性、透明性、そしてフェアプレー」を掲げています。

容疑の罪名は

スイスの検察当局が、FIFAのブラッター会長が関わった疑いがあるとしている罪は2つあります。
1つはスイスの刑法第158条の「違法管理」で、組織などの資金を管理する権限のある者が、その義務に違反し、また、みずから不法に利益を得ることなどを目的に、その組織などに損害を与える罪で、日本の「背任」に当たります。
もう1つは刑法第138条の「横領」で、みずから不法な利益を得る目的で資産を着服する罪です。スイスの刑法では、いずれの罪も最大で懲役5年の刑が科されます。

FIFA「引き続き捜査協力」

FIFA=国際サッカー連盟は25日、声明を発表し、スイス検察当局の捜査官らがこの日、スイスのチューリヒにあるFIFA本部を訪れて関係者から事情を聴いたことを認めたうえで、「FIFAはこれまで、スイス検察当局の求めに応じて書類や情報を提供するなど協力してきたし、これからも捜査に協力していく。これ以上のコメントは捜査が続いているため、差し控えたい」としています。

弁護士「背任行為なかった」

スイスの検察当局が背任などの疑いでブラッター会長に対する捜査を始めたと発表したことについて、ブラッター会長の弁護士は25日、NHKの取材に対し、「スイスの検察当局が押収した書類や証拠を精査すれば、疑いがもたれている契約はFIFAの責任ある職員によって適切に準備され、交渉がなされたものだということが分かるだろう。指摘されたような背任行為はなかったと自信をもっている」と回答しました。

プラティニ会長「受け取ったのは契約の業務の報酬」

UEFA=ヨーロッパサッカー連盟のプラティニ会長は25日、声明を発表し、FIFAのブラッター会長が日本円にして当時1億7000万円余りの不正な支出をプラティニ会長に対して行った疑いがあると、スイスの検察当局が発表したことについて、「受け取った報酬はFIFAとの契約のもとで行った業務に関するものだ」と述べ、不正はなかったと強調しました。
そして「事件に関するあらゆることを明らかにするため、捜査当局に協力し、いつでも話す用意がある」と述べました。

関連ニュース

k10010248481000.html

関連ニュース[自動検索]

このページの先頭へ