(2)深刻な睡眠不足、高校生の半分は睡眠時間が6時間未満
子供の身長を伸ばすもう一つの要素は睡眠時間だ。成長板で細胞分裂が活発に行われるのは深夜の睡眠中だからだ。専門家の多くは「骨は深く眠った状態の時に成長する。この事実は臨床実験でも証明されている」と指摘する。韓国の研究者は適切な睡眠時間を7-8時間、米国睡眠財団は10代の適正睡眠時間を8-10時間としている。
しかし厳しい受験戦争の真っただ中にある高校生が、十分な睡眠時間を確保するのはほぼ不可能だ。学校の授業を終えてから深夜まで塾で勉強し、自宅に戻ってさらに予習復習をやれば、夜12時を過ぎるのはごく普通だ。女性家族部(省に相当)の『青少年総合実態調査』によると、13-24歳の年齢層が通常、夜寝る時間は平日は夜12時2分、週末は夜12時30分だ。また上記の『ソウル教育統計簡便版』によると「睡眠時間は1日6時間以下」という高校生は全体のほぼ半分(45.34%)に達していた。
(3)遺伝的に限界か
一部では高校生の身長が伸びないことについて「遺伝的に見て成長の限界」という見方もある。韓国国内で生活水準が上がり、栄養不足など環境面でのマイナス要素が事実上なくなったことから、韓国人として成長できる最高点まですでに達したという見方だ。
一方で「まだ成長は可能」という見方もある。ソウル大学病院小児青少年科のムン・ジンス教授は「韓国における社会的・経済的レベルをさらに1段階引き上げ、高校生の睡眠不足や運動不足の問題が解消されれば、生徒たちの身長は再び伸び始めるはずだ」との見方を示した。
韓国敎員団体総連合会の安養玉(アン・ヤンオク)会長(ソウル教育大学体育教育科教授)は「中高生のスポーツ活動は身体の発達はもちろん、脳の成長にもプラスに作用する」とした上で「生徒や親たちの多くは『一日中座って勉強すべき』という認識を普通に持っている。まずはこの考え方から変えなければ、身体の発達も進まないし、知的能力も高めることはできない」と訴えている。