【社説】徴兵期間の見直し、公の場で議論を

 韓国軍が新たに取りまとめた新国防計画には、現在の63万人以上の兵力について2022年までに52万2000人にまでその規模を縮小することが明記されている。この計画と関連して韓国軍の内外では、徴兵制そのものについてのさまざまな意見も出始めている。その一例を挙げると、一昨日国会で開催されたあるセミナーでは、見直し後の52万人の兵力のうち、15万人は兵役期間が4年の「専門兵士」とし、残りのうち同じく15万人の「一般兵士」については、徴兵の期間を現在の21カ月から12カ月に短縮すべきとの声も出ていた。

 この意見のポイントは、現在韓国軍の根幹となっている徴兵制そのものは維持しつつ、この徴兵制の中に「専門兵士」という枠を新たに設けることで、志願兵制度の要素を加味するということだ。ちなみに「一般兵士」の徴兵期間を短縮する場合の経済効果については、4兆6000億-9兆3300億ウォン(約4600億-9400億円)に上るとの試算もある。ただしこれに対する反論も根強い。例えばその専門兵士を募集するに当たってはどの程度の給与を保証するのか、あるいは社会人のスタートを切る20代に4年も軍隊で過ごすとなれば、除隊後の再就職問題をどう解決するかといった問題などが浮上してくるだろう。

 さらに一般兵士の徴兵期間が短くなることへの懸念もある。軍事境界線付近での警戒を主な任務とする小銃兵の場合、ある程度熟練するには12カ月必要で、戦車兵や自走砲担当の場合は基本的な能力を身に付けるのに14カ月必要とされている。つまり現行の制度下でさえも、まともに仕事ができてからわずか5-6カ月で除隊しているのが現状なのだ。ある軍事専門家は「今後徴兵期間がさらに短くなれば、志願兵制度についての真剣な検討が間違いなく必要になるだろう」と指摘している。

 2012年の大統領選挙が終盤に差し掛かるころ、与野党は先を争って徴兵期間の短縮を公約に掲げた。ちなみに四方が敵国に囲まれているイスラエルの場合、男性の徴兵期間は3年、女性は2年の国民皆兵制を今なお維持している。北朝鮮と対峙(たいじ)する韓国の現実は、少なくともイスラエルと同じかそれ以上に厳しい。ところが近く行われる総選挙や2年後の大統領選挙では、徴兵期間のさらなる短縮が再び公約として掲げられる可能性が非常に高い。

 今や徴兵制度をはじめとする兵力充当の方法など、韓国軍の体制全般について公の議論が必要になった。韓国軍が発表した10万人の兵力削減計画が実行に移されるまで、わずか7年しか残っていない。安全保障の空白に対する懸念を和らげ、さらに政治の介入を防ぐには、今やこの問題をこれ以上先送りしてはならない。

<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
関連ニュース