■トヨタのリコールとの相違点は?
自動車業界では状況が5年前とは異なる理由について、リコールの原因を挙げる声が多い。トヨタの大規模リコールはアクセルペダルの欠陥が原因だった。当時米国市場ではトヨタ車とレクサス車の急発進事故が相次ぎ、死者も出た。事故リスクに直結する欠陥の発見で、米国でのトヨタ車販売は落ち込み、米国市場でのシェアは2009年の18.1%から11年第1四半期(1-3月)には11.6%まで低下した。しかし、VWのケースは異なる。不正発覚で信頼性が打撃を受けたが、安全性に直結する問題ではないため、トヨタのように販売が急減するかどうか推移を見守るべきとの意見が有力だ。このため、世界市場で韓国の自動車メーカーに追い風が吹かない可能性も高い。
VWがトヨタほど韓国勢と激しく競合するメーカーではないとの指摘も聞かれる。ある証券アナリストは「VWは相対的に価格が高く、アウディなどプレミアムブランドの系列会社も持っており、韓国勢が取って代わるのは難しいのではないか」と指摘した。
■排ガス規制強化、業界全体の悪材料に
一部専門家は今回のVW騒動でディーゼル排気ガスに関する規制が強化され、調査範囲が広がれば、むしろ自動車業界全体の悪材料になると説明した。現代証券のチェ・ヒグン研究員は「今回のリコールはディーゼルエンジンの微細粒子と窒素酸化物(NOx)の排出規制が強化されたことで起きたものだ。ディーゼル車を生産する自動車業界全体が規制に対応するため巨額の費用をかけることになる」と分析した。このため、株式市場で現代・起亜自の株価がVW騒動以降下落する中、燃費に関する規制懸念がない電気自動車関連株は上昇した。18日以降、電気自動車部品メーカーのサンアフロンテックは19.1%高、サムスンSDIは5.5%高となった。