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戦争を生きた大御所が語る現代音楽の面白さ 一柳慧インタビュー
インタビュー・テキスト:黒田隆憲 撮影:豊島望(2015/09/25)
現代音楽の演奏を専門とするアメリカの弦楽四重奏団FLUX Quartetの初来日公演がまもなく開催される。台湾出身のバイオリン奏者トム・チウを中心に結成されたこのカルテットは、1960年代に活動していた現代アート集団・フルクサスへのオマージュを込めた名を冠するというだけあり、6時間以上の長さを誇るモートン・フェルドマンの“弦楽四重奏曲第2番”を演奏するなど、型破りなパフォーマンスで注目を集めている。
日本でおこなわれる3公演のうち、神奈川県民ホールの公演でプロデュースを務めるのは、作曲家・一柳慧。1950年代にニューヨークへ渡り、ジョン・ケージに師事、帰国後は日本に現代音楽を紹介し、「ケージ・ショック」と言われるほどの衝撃を音楽シーンに与えた人物である。
演目は、一柳やケージの作品をはじめ、ジョン・アダムズやジョン・ゾーンの代表曲など、現代音楽にあまり馴染みのない人でも楽しめる内容になっている。とはいえ、現代音楽と聞いただけで思わず身構えてしまう人もきっと多いはず。そこで今回は、現代音楽の大家である一柳に、いろいろな質問をぶつけてみた。彼の最初の妻であるオノ・ヨーコとの出会いや、ベックの祖父アル・ハンセンも参加したフルクサスについてのエピソードなど、音楽ファンにもきっと楽しんでもらえるはずだ。
一柳慧(いちやなぎ とし)
1933年神戸市生まれ。作曲をジョン・ケージらに師事。1950年代後半からニューヨークを中心に、ケージ、デヴィッド・テュードアらと実験的音楽活動を展開。1961年帰国、偶然性や図形楽譜を用いた作品と、欧米の新しい音楽の紹介と演奏によって、さまざまな分野に強い刺激を与える。常に日本音楽界の中心として活動を続け、『フランス文化勲章』(1985 年)、『紫綬褒章』(1999 年)など受賞多数。『ベルリン・フェスティバル』『ウィーン・モデルン』『オランダ・フェスティバル』などからの委嘱や招聘も数多く受けている。現在、神奈川芸術文化財団芸術総監督、アンサンブル・ニュー・トラディション総合ディレクター、トーキョーワンダーサイト・スーパーバイザーなどを務める。2008年より文化功労者。
FLUX Quartet|神奈川県民ホール
空襲も嫌でしたが、それよりも当時の日本の雰囲気が非常に暗くて抑圧的で、とにかく嫌でした。
―今日は一柳さんに「現代音楽の魅力」について教えてもらいたいと思っています。そもそも一柳さんが音楽に目覚めたきっかけはなんだったんでしょうか?
一柳:小さい頃からクラシックのピアノを習っていたのですが、ちょうど戦争が終わったのが12歳の頃。戦時中は時代が時代だったのもあり、かなり白い目で見られるような状況でした。なにしろ軍事政権みたいなもので、国には絶対服従、命令には絶対に逆らえない。アメリカから毎日飛んでくる爆撃機や空襲も嫌だったんですが、それよりも当時の日本の人権や自由のない雰囲気が、非常に暗くて抑圧的で。
―「こんな時代にピアノ弾いている場合か!」みたいな。
一柳:そう。そういうことにイチイチ文句を言ってくるので、そんな雰囲気がとにかく嫌でした。それで2、3年は音楽の勉強ができなくなって、爆撃も酷くなってきたので学校も閉鎖され、疎開して。そんなこんなで爆撃を直接受けずに生き延びたんですが、戦争が終わった途端、それまでの状況がガラっと180度変わりました。
―自由に音楽を学ぶことができるようになった。
一柳:ええ。現実的な死の恐怖から解放されたのも嬉しかったですが、それよりも気持ちが自由になって、好きなことをやれるようになったのが大きかった。15歳くらいになると作曲にも興味が出てきました。現代音楽かクラシックかというよりも、とにかく自分で何か音楽を作りたかった。もちろん当時の日本でちゃんと作曲を習っていたわけではないので、最初は自己流の非常に稚拙な曲しか作れなかったのですが。
―なぜ作曲に向かったのでしょう?
一柳:演奏というのは、結局は人が作った作品を弾くわけです。もちろんそれにはそれなりの意義があるのですが、できれば自分でいろんな表現ができないか? と。ただ、戦後で学校はほとんど閉鎖されていたし、モノはない。食料もないし、ガスもないし、電気はしょっちゅう止まる。水だけは少しあったかな? でも、楽譜や楽器を自由に手に入れるなんてとんでもない。すべてナイナイづくしで焼野原の超貧乏。最低でしたね。今じゃ想像もできないでしょう?(笑) ましてや海外へ行くなんてことは、とても考えられなかった。当時、私の周りにいた仲間や先輩方もみんなそうでしたね。私も最初にアメリカへ行ったときは、飛行機はまだ飛んでなくて船でした。
一柳慧プロデュース『FLUX Quartet』チラシビジュアル
―欧米の文化に触れる機会はあったのですか?
一柳:アメリカ進駐軍の前でピアノを弾いて、お小遣いをもらっていたんです。なにしろ親たちが全然生計を立てられない時代だったので、稼ぐために米軍キャンプとか、占領されたビルへ行って弾いていました。いわゆるアングロサクソン系の人たちは、ユーモアに富んでいて穏やかで、非常にフレンドリー。ボランティア精神もある。だからアメリカ軍の中にも「なにかできることはないか?」と、新しい楽譜を取り寄せてくれたりして、われわれのような子どもに手を差し伸べてくれる人がたくさんいたんです。そのうちコネができて、ニューヨークへ行くきっかけにもなりました。
―1954年から1957年まで、「とにかく作曲を勉強したい」と、ジュリアード音楽院に留学されていますが、なぜニューヨークだったんでしょうか? 実際のところ学校にはあまり行っていなかったとか……。
一柳:そう、ほとんど行かなかった(笑)。当時のヨーロッパは戦場になったこともあって、戦勝国であったイギリスやフランスも相当疲弊していました。アメリカ本土だけが爆撃も受けておらず、元気があったんです。ニューヨークは街全体が美術館みたいで、アートな雰囲気に溢れていて、歩くだけで楽しかった。小さなギャラリーがたくさんあって、窓にはファッションブランドのショーウィンドウのように新しい作品が展示されていて、しかも、その間には大小さまざまな劇場が立ち並んでいて。もう学校なんか行ってられないですよね(笑)。そのうちアートや建築といった、他の分野の人たちとも知り合う機会が多くなっていきました。それが自分にとってはとてもためになっており、今日までつながっています。
―まるで19世紀半ばのモンマルトルのように、さまざまな表現分野の人と、ボーダレスに交流できたわけですね。
一柳:その通りです。そういった交流は今より盛んでしたね。戦後すぐアメリカが、ヨーロッパの芸術家たちを招聘したのもあって、ニューヨークにたくさん移住してきていたんです。たとえばイタリアのルイージ・ダッラピッコラや、フランスのエドガー・ヴァレーズ、ドイツのシュテファン・ヴォルペといった現代音楽の第一人者たちが、ニューヨークで教鞭を取っていた。壮絶な戦争の現場を生き抜いてきた彼らのオーラには、すごいものがありましたね。なるべくそういう人たちと出会いたいと訪ねて行って、話をしましたね。
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