シルバーウイーク中に、こちらのブログを拝見しまして、
私も「あるある!好きな装丁ある!」と思った訳です。
会社の昼休み、早速メモしていったら、すぐにベスト10が出来て
しまいました。これは良いテーマですね。
はてなブログの「今週のお題」で、是非募ってみて欲しいものだなと。
選考基準は、次の3つです。
①「この装丁じゃなければ駄目だ!」と言い切れる、本文との一体感。
②本文と装丁がスィングして、本の価値を高めあっている。
③本文の内容について、過度に説明的ではない。
ominoteさんが挙げられている、『失はれる物語』乙一 、私も大好きですが、
重複を避けてエントリから外させて頂きました。
『アナザー』綾辻 行人 (挿画)遠田志帆 (装丁)鈴木久美
- 作者: 綾辻行人
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2009/10/30
- メディア: 単行本
- 購入: 4人 クリック: 436回
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真っ先に浮かんだのが、この本です。
見埼鳴の両眼を、表紙と背表紙に分けて(変な表現ですが)置いた仕掛けが絶妙。
読者の視野に、両眼が同時に入る事がないので、読中に「あっ!」となります。
コミックは仕方なく?眼帯で表現していますが、1枚勝負の表紙ならでは。
綾辻氏だと、『フリークス』の表紙も遠田志帆(えんだしほ)さんですね。
こちらも好きな一冊です。
『屍鬼(上下)』小野不由美 (挿画)高橋新策 (装丁)新潮社装幀室
暗くて分かりにくいかな。。。
『屍鬼』の挿画がいいのは、上巻で日本の土着性、下巻で異国風の違和感を
表現しているだけでなく、原作の挿画へのオマージュにもなっているところ
だと思うんですね。
特に下巻、洋館の構図には思わずニヤリとさせられます。
- 作者: スティーヴンキング,Stephen King,永井淳
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2011/11/18
- メディア: ペーパーバック
- 購入: 2人 クリック: 1回
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(イラスト)長崎訓子 (デザイン)池田新吾(67)
前にも書きましたが、長崎訓子さんのPOPなイラストと、剣道の試合での
旗を模した赤白2本のスピンドル(栞紐)が最高。シリーズ4冊あります。
『4TEEN』石田 衣良 (写真)菅野健二 (装丁)新潮社装幀室
『6TEEN』は、単行本と文庫で装丁が変わってしまうのが残念。
私としては単行本で揃えるほうがお勧めですが、入手しにくいかも。
パッと見ても、まじまじと登場人物と重ねあわせながら見ても、
やっぱりいい。そんな写真ですね。
『ホルモー六景』万城目 学 (挿画)石居 麻耶 (装丁)岩瀬 聡
『鴨川ホルモー』と比較して、僅差でこちら。
勿論前作あっての続編なんですが、この装丁が大好きなので。
タイトルのロゴ・配色、イラスト共に「京都の青春」全開です!
『冷たい校舎の時は止まる』辻村 深月
Amazonの電子書籍は、挿画・装丁情報が入っていませんでした。シヨック。
私にとって、「こちらの装丁じゃなくちゃ駄目だ!」本の筆頭格。
講談社ノベルズ(上中下)ではなく、講談社文庫(上下)のほうが
圧倒的に好きです。
過度に説明的ではなく、読後には「なるほど」と納得する。
本文との距離感と、ひんやりした感触が伝わるような画風が、ドンピシャです。
『ツナグ』辻村 深月 (写真)川内倫子 (装丁)新潮社装幀室
辻村氏だけ2冊でえこ贔屓っぽいですが、これは文句なしですよね。
もう、「『ツナグ』は、これしかない!」という装丁。
文庫本や、絵は出しませんが近い線の『黄泉がえり』等と
比べると、段違いです。
ジャケ買いが続出したのも頷ける、装丁の傑作。中身もですが。
『火車』宮部 みゆき
挿画は同じかたのようですが、正解だと思います。
単行本、文庫本いずれも甲乙つけがたい出来になった稀有な例に。
文庫の赤のトーンもいいし、単行本の都会の孤独感も捨てがたいです。
『チョコレート語訳 みだれ髪』俵 万智
小説が続きましたので、短歌集なども。
単行本の最新版は装丁が変わっていますが、私にとっては、この本はこの装丁
しかあり得ません。
続編〈Ⅱ〉も同じ写真家、同じモデルのかたのように見えますが、与謝野晶子の
危うい短歌の世界を、こちらの方が上手く伝えていると思います。
『白』 原 研哉
コミュニケーション・デザイナー、原 研哉氏の評論です。
確認するまでもないと思って見ていませんが、当然、原氏の装丁でしょう。
評論で、これほど詩のように美しく、しかも硬質で緻密な文章を書く人は、
なかなかいないと思います。
原氏の著作は流石に紙質や色味まで、シンプルでも凝りに凝った装丁ばかりです。
『グインサーガ外伝6 ヴァラキアの少年』 栗本 薫 (挿画)天野 喜孝
ヴァラキアの少年―グイン・サーガ外伝(6) (ハヤカワ文庫JA)
- 作者: 栗本薫
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1986/02
- メディア: 文庫
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マグノリアの海賊―グイン・サーガ外伝(9) (ハヤカワ文庫JA)
- 作者: 栗本薫
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1990/12
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 2回
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最後は、かなり趣味的に。
偶然どちらも外伝になってしまいましたが、どうしても絞りきれず、同じ
シリーズから2冊を選んでしまいました。
未完の超長編、『グイン・サーガ』屈指の人気キャラクター、イシュトバーンは
天野喜孝氏の絵が一番しっくりきます。
栗本氏がどなたの絵を気に入っておられたかは、今となっては分かりませんが、
長編だけに色々事情が出てくるのでしょう。表紙、扉絵、本文イラストは、
正伝130巻・外伝22巻の間に、4人のかたが担当されています。
天野氏は2代目で、正伝20-56巻、外伝6-9巻を手掛けておられますが、
本当に装丁が楽しみなかたでした。
あでやかで耽美的な天野氏の画風が、ファンタジー『グイン・サーガ』の
世界に、鮮やかなイメージを吹き込んでくれた事は確かだと思います。
「装丁が好きになる」には、装丁とスィングするだけの内容が、本文に
ある事が必須条件でしょう。
大勢で「好きな装丁の本」を挙げていけば、面白い本がたくさん集まるかと。
「残念な装丁の本」も楽しいかも。名前は挙げ辛くなりますが。。。
尚、どう甘く数えても、10冊以上になってしまいました。
「ベスト10ちゃうやん!」
「順位も付いてないし!」
愛すればこそ、ということで。どうかご容赦ください。
これでも泣く泣く落とした本が、まだまだあるんですよぅ。。。
※挿画・装丁に携わったかたのお名前が、明記出来なかった本が数冊ございます。
「好きだ」と言って挙げておきながら、大変申し訳ございません。
調べて分かり次第、加筆させて頂きます。
以上 ふにやんま