不適切図書混入の疑い 海老名市立中央図書館 指定管理目前 選書でつまずき 市教委 確認に追われ

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リニューアルに合わて図書館カードの先行受け付けも始まった=海老名市役所

 10月1日にリニューアルオープンする海老名市立中央図書館(同市上郷)で、新規購入予定の図書に発行の古い本など不適正なものが含まれているのではないかとの指摘があり、市教育委員会が確認に追われている。改装の設計段階から指定管理者としてレンタルソフト店大手「TSUTAYA」を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が参加してサービス向上などが注目されたが、オープン直前になって業務の根幹をなす選書でつまずいた。

 指定管理者として管理権限を委任されているのは、CCCと図書館流通センター(TRC)の共同事業体。

 CCCは2013年4月、佐賀県武雄市で市立図書館の指定管理者として全国で初めてリニューアルオープンを手掛けた。カフェを併設するなど従来の公立図書館にない大胆な改装で集客力を高めた。しかし一方で、利用者から選書や郷土資料の保存に対する苦情もあり、評価は分かれている。

 武雄市では、住民らが情報公開請求により入手した同市立図書館の購入図書リストに中古本も混入していたことが問題化。海老名市教委は8月下旬に週刊誌の報道などで知り、同市でもこうした問題が起きないよう、9月に入って指定管理者側から約8300冊の購入リストの提出を求め、確認作業を行っているという。伊藤文康教育長は「不適正と思われる図書はざっと見て100冊以上はあった」と話している。

 17、18の両日開かれた市議会一般質問でも飯田英栄(海政会)、山口良樹(同)、氏家康太(志政会)の3氏がこの問題を取り上げた。

 「リストには入れ墨の本や発行時期の明記がない雑誌も多数見られる」「不適正な図書が開架されないよう、確認作業が終わるまではリニューアルオープンすべきでない」などと追及した。

 これに対して内野優市長は「市民に疑惑、疑念を持たれないように対処したい」、伊藤教育長は「図書購入リストは凍結、選書はやり直す」などとそれぞれ答弁。選書・除籍の業務は教育長決裁に見直す考えを示した。

 市と指定管理者が締結した協定などによると、選書は市教委側が図書館法などに基づいて作成した基準を示し、指定管理者がリストアップして購入。基準には対象外としてコミックやタレント本などを列挙しているが、中古本などは明記されていない。市教委側が購入前に確認する手順にもなっていなかったという。

 TRC会長の谷一文子・同図書館統括館長は「リストはCCCが予備的に作成したもの。不適正な本も見られるが、選書経験の長いTRC側がチェックする前のものだった」と説明。

 武雄市のケースで問題視された中古本の購入について、谷一統括館長は「欲しい本を購入する段になって(絶版などで)流通していなければ、検討する場合もあるが、現段階では考えていない」と話している。

 ◆海老名市立中央図書館 老朽化による大規模改修のため、昨年11月に閉館して今年10月1日に指定管理制度を導入してリニューアルオープンする。総事業費は10億7900万円で、利用者目標は年間100万人。壁面などを有効活用して開架図書を約12万冊から約25万冊に増やす。目的外使用エリアを新設して指定管理者がカフェや書店も運営する。

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