【ワシントン=矢沢俊樹】米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は24日夕、米マサチューセッツ州で講演し、2015年中のいずれかの時点での利上げが適切になるとの見解を改めて表明した。米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーの中で年内利上げを支持するグループの中には「私自身を含む」と明言した。
市場の利上げ先送り観測をけん制した格好だが、イエレン氏は世界経済の先行きについて「極めて不確実だ」とも説明。先々の状況次第では「適切な金融政策は変わりうる」などと、利上げを巡る判断に含みも持たせた。同日は米インフレ率と金融政策の関係をテーマに講演した。
中国景気に対する不安や世界的な株安傾向を背景に、FRBの年内利上げは困難になりつつあるとの見方もでている。イエレン氏は講演で現在の低インフレは一時的であり、先々の米のインフレ期待は安定していると説明した。物価上昇率がFRBの目標である年2%に復帰するとの確信が得られれば年内利上げの必然性が高まると考えるFOMCメンバーが今も大半を占めており、そこに自身も属することを言明した。
FOMCが四半期に一度更新するメンバーの金利予測分布は匿名だが、イエレン氏はあえて自らが「年内見送り派」にはいないことを示し、市場の疑心暗鬼を払拭する狙いとみられる。
イエレン氏は利上げが必要な理由について、金融引き締めが物価や実体経済にきいてくるまでには「大幅な時間差」が生じるからだと説明した。事実上のゼロ金利政策を長く続けすぎると、いざ利上げする際に物価を抑えるために「比較的、急激な」引き締めを迫られ、その結果としてかえって金融市場を混乱させるリスクが高まると述べた。
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