【社説】税務調査は税収確保ではなく脱税摘発を

 韓国国税庁が税務調査で企業や個人事業主に追徴した税金は昨年、8兆3000億ウォン(約8350億円)となり、前年の8兆6000億ウォンを下回ったものの、2011年の6兆1000億ウォン、12年の7兆ウォンを上回った。李明博(イ・ミョンバク)政権末期の11-12年に比べ、朴槿恵(パク・クンヘ)政権下での追徴税額は1兆5000億-2億ウォン増えた計算だ。

 朴槿恵政権は発足直後、福祉財源を確保するために地下経済のあぶり出しで任期中に税収を18兆ウォン(約1兆8100億円)増やす方針を掲げた。それ以降、景気低迷で毎年8兆-10兆ウォンという多額の税収不足が発生したため、税務調査でそれを補うという目標が追加された。その結果が現実に表れた格好だ。

 企業と高所得自営業者の脱税を摘発することは国税庁にとって当然の仕事だ。税務調査で課税の公平性が高まり、地下経済が縮小すれば、国家経済に大きく寄与する。問題は目標が「脱税摘発」ではなく「税収確保」にある点だ。そうなれば、無理な絞り上げが起きかねない。国税庁による課税を不服とし、租税審判院に審判請求を行った件数が12年の6424件、13年の7883件、14年の8474件と急増したことがそれを物語っている。

 国税庁の税務調査では正直に税金を収めている企業もひどい目に遭うことがある。国税庁は税務調査で問題がない企業を模範納税者として表彰するのではなく、ほこりたたきのような調査であら探しをするとの不満だ。税務公務員は「手ぶらでは帰れない」と企業に圧力をかけるとも聞く。それゆえわざと小さな問題を残しておき、後日追徴を受けるのが税務調査をうまく切り抜ける要領だとさえ言われる。

 ただでさえ韓国企業の大半が輸出不振と内需低迷で苦しんでいる状況で、税収確保を目標とした無理な税務調査に苦しみ、企業活動が委縮すれば、景気回復がさらに遅れざるを得ない。そうなれば、税収確保がさらに難しくなる悪循環を招く。国税庁の上に立つ政府が考えを改める必要がある。

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