ウォール街に巨額の恩恵か、デリバティブ規制骨抜きの方向-関係者 
         2015/09/25 04:57 JST
	
		(ブルームバーグ):ウォール街が負担するデリバティブ(金融派生商品)に関連したコストは、当初規制案で考えられていたよりも数十億ドル規模少なくなりそうだ。金融機関に対する新たな規制が現在、銀行にとって有利な方向で検討されている。
早ければ10月にも公表される同規制の最終案によれば、JPモルガン・チェースやモルガン・スタンレーなど金融機関は、自社グループ内の部門間トレードに関して当初案のように資金を引き当てる必要がなくなる。事情に詳しい関係者2人が明らかにした。米連邦預金保険公社(FDIC)と米連邦準備制度理事会(FRB)などを含む規制当局は数カ月に及ぶ意見対立を経て、当初案よりも緩い規制で合意したという。
昨年9月に提示された当初案ではFDICの強い支持の下、銀行とその関連会社の両方が担保を差し出すことが義務付けられていたため、金融業界はこれに反対した。規制当局は妥協案として、担保提供の義務を関連会社に限定することで意見がまとまった。まだ発表前の段階だとして、匿名を条件に関係者らが述べた。
つまりスワップ取引市場を寡占するシティグループとゴールドマン・サックス・グループ、JPモルガン、バンク・オブ・アメリカ、モルガン・スタンレーの5行は、例えば英証券子会社など国外の系列会社との未決済スワップについて、リスクを相殺するための担保を差し出さなくてもよくなる。
市場の仕組みが複雑なため、銀行に影響する金額を試算するのは難しい。昨年の案では、銀行と系列会社の両方で合計数100億ドル規模の担保が求められていた。通貨監督庁(OCC)の暫定試算によると、未決済スワップ取引すべてに関して銀行側が用意することになる担保は約6440億ドルとされている。
厳しい規制に賛成する意見としては、取引ごとに両サイドから資産を求めることで、規制が緩やかで資本規模の小さい系列会社との高リスク取引を親会社に抑制させる効果があるという利点が挙げられていた。これに対して銀行側は、系列会社とのスワップ取引自体がリスクヘッジの手段であり、グループ内の取引に対し両方が資金を引き当てる必要はないと反論していた。
FDICとFRB、OCC、商品先物取引委員会(CFTC)の担当者はいずれもコメントを控えた。
社内の部門間取引に担保を求めるのは、未決済スワップに対する担保規制をまとめる上で最大の争点だった。2010年に施行された米金融規制改革法(ドッド・フランク法)がこの問題での改革を求めて以来、論争は長期に及んでいる。
原題:Wall Street Said to Win Lucrative Concession in Derivatives Rule(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ワシントン Jesse Hamilton jhamilton33@bloomberg.net;ワシントン Silla Brush sbrush@bloomberg.net
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更新日時: 2015/09/25 04:57 JST