民主党は29日、税制調査会・一体改革調査会の合同総会を開き、消費増税を柱とする税制抜本改革案を了承した。総会に出席した野田佳彦首相(党代表)が2段階で消費税を引き上げる時期をそれぞれ半年遅らせ、2014年4月に8%、15年10月に10%とする案を提示した。増税の地ならしとして、国会議員の定数削減法案を来年1月召集の通常国会に提出することも表明した。
党執行部は30日に政策調査会の役員会を開き、民主党案を決定する。政府・与党は近く社会保障改革本部で、年金など社会保障部分と、今回了承した税制部分を包括した一体改革素案を取りまとめ、野党に協議を呼びかける。
消費税 | |
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税率は2014年4月に8%、15年10月に10% | |
消費税収は医療、介護、年金、子育ての社会保障4経費に充てる | |
食料品などへの軽減税率は見送り | |
増税は、名目・実質成長率、物価動向など種々の指標を確認し、総合的に勘案 | |
15年度以降の番号制度の本格実施を念頭に、給付付き税額控除を検討。それまで臨時的に簡素な給付措置を実施 | |
所得税・相続税 | |
所得の高い層に一定の負担を求める | |
相続税の基礎控除を引き下げ、最高税率を引き上げ | |
行政改革の必要性 | |
衆院議員定数を80削減する法案を早期に国会に提出し、成立 | |
行政構造改革実行法案を早期提出、成立 | |
その他 | |
歳入庁の創設の作業に本格的に着手 | |
車体課税の見直しを進める | |
地方法人特別税と地方法人特別譲与税を抜本的に見直し |
民主案には低所得層対策として、現金給付と税額控除を組み合わせた「給付付き税額控除」の検討を盛り込んだ。食料品などへの軽減税率適用は見送る。景気動向を踏まえ、実際に消費税を引き上げるかを判断する景気弾力条項については具体的な数値は盛らず、総合的に判断するとした。
消費増税を巡る調整ではすでに10人規模の離党者が出ており、反対派は今後も攻勢を強める構えを崩していない。与党内の亀裂は深刻になっており、政権運営は厳しさを増している。
首相は総会のあいさつで、議員定数削減だけでなく、国家公務員給与削減法案や特別会計改革も課題にあげた。議員定数削減は現在の衆院定数480(小選挙区300、比例代表180)から80減らす内容となる。
合同総会ではこれまでに消費税率を13年10月に8%、15年4月に10%に引き上げる案を執行部が提示していた。29日は首相自らが増税時期をそれぞれ半年遅らせ、14年4月と15年10月とする案を合同総会に提示した。
その後も反対論が続いたため、議員定数の削減と行政改革実行の重要性を強調した修正案を策定し、29日深夜に一任を取り付けた。藤井裕久税調会長は「税調、政調の了承を得た」との認識を示した。
自民党や公明党は消費増税の協議に応じる構えを示していないうえ、首相が議員定数削減法案の国会提出に言及したことに「一方的だ」と反発を強めている。与党内でも反対論は強まっており、消費増税を実現するための関連法案の行方は予断を許さない。
野田佳彦、民主党、藤井裕久、藤村修、安住淳、前原誠司