今月14日、東京都新宿区のコリアタウンにある韓国食品スーパー「韓国広場」を訪れた。面積約500平方メートルの店内にはさまざまな農産物、韓国産牛肉、のり、即席麺などが整然と陳列されていた。しかし、売り場の壁際を埋めたキムチ売り場は閑散としていた。日本人客はキムチを手に取っては戻し、なかなか買い物かごに入れようとはしなかった。
韓国料理の材料を買うために東京都西東京市から1時間かけて来たというイイズカハルミさん(53)は「13年前にドラマ『冬のソナタ』にはまり、韓国料理を食べ始めた。最近はカムジャタン、ユッケジャン、ソルロンタンなどを家で作って食べるが、もっと多彩な食材が入ってくるとうれしい」と話した。
韓国の食品輸出メーカーは、日本の消費者の嗜好変化に付いていけず、同時に日本の食品メーカーが日本国内の韓国食品市場を攻略し始め、キムチ、マッコリ(韓国式濁り酒)などこれまでの対日輸出売れ筋商品が苦戦している。
■対日食品輸出、年初来10%以上減少
韓国農林畜産食品部(省に相当)によると、今年1-8月の対日食品輸出は7億8300万ドルで、前年同期比10.9%減少した。今年上半期の円安進行で韓国食品を輸出しても日本市場で採算が合わなくなったことが大きい。今年1-8月のウォン・円相場は平均100円=921.3円で、前年よりも9.5%ウォン高が進み、輸出に影響を与えた。
しかし、もっと大きな問題は日本への食品輸出量自体が13.1%減少し、韓国食品のシェアが縮小している点だ。特にキムチ、マッコリなど伝統食品は日本メーカーに押され苦戦している。1-8月のキムチ、マッコリの輸出量は前年同期をそれぞれ14.4%、21.4%下回り、金額ベースではそれぞれ24.0%、31.2%減少した。
農林畜産食品部のキム・ヘヨン輸出振興課長は「現地の市場調査を行うと、円安が原因ではなく、根本的な競争力で日本メーカーに押されているのが目立つ」と指摘した。
例えば、日本のキムチ業界は日本人の好みに合った「マヨネーズキムチ」「臭わないキムチ」などの新製品を発売し、大々的なテレビ広告で急速に市場に食い込んでいる。昨年は日本国内のキムチ供給量の89.9%を日本メーカーが生産し、輸入は韓国産(7.8%)、中国産(2.3%)にすぎなかった。日本で健康食ブームが広まり、漬物市場全体が縮小していることも無視できない。