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宇宙に関する国際行動規範 原案判明「紛争の防止、衛星破壊自制」を明記へ
日米欧など109カ国の多国間交渉で協議している「宇宙活動に関する国際行動規範(ICOC)」の原案が23日、明らかになった。紛争防止とともに協議システムの構築や国際法にのっとった解決などを明記している。2007年に中国が地上ミサイルで人工衛星の破壊実験を行ったことを受け、宇宙空間での破壊行為や宇宙ごみ(スペースデブリ)の発生を抑制するため日米欧が早期策定を目指している。
政府資料によると、一般原則として宇宙の平和利用を掲げ、自衛権の行使や安全上の緊急要請を例外として、衛星など宇宙物体の破壊の自制を求めている。
違反行為や問題対処における協議メカニズムについては「直接被害を受けると信じる国による協議申し立て」や「潜在的被影響国も協議に参加する権利」を記載し、平和的な解決を促す。また、宇宙活動に関しては通報を求め、スペースデブリや衛星との衝突に関する情報共有も盛り込んだ。
中国が衛星破壊行為を強行したことで大量発生したスペースデブリと各国の衛星との衝突は、重大な懸案となっている。このため日米欧は、まずは法的拘束力のない国際行動規範の策定を急ぎ、国際秩序を乱す行為を排除する必要があると判断した。法的拘束力のある新条約も国際行動規範の導入後に締結を目指す。