原田亜紀夫
2015年9月24日22時34分
新国立競技場の旧建設計画が白紙撤回に至った経緯を検証する文部科学省の第三者委員会(委員長=柏木昇・東大名誉教授)は24日、「難度が高く複雑なプロジェクトに求められる適切な組織体制を整備できなかった」として、下村博文文科相や、整備主体である日本スポーツ振興センター(JSC)の河野一郎理事長の責任を明記した報告書をとりまとめ、公表した。
報告書の最大の焦点は、計画のゼロベースからの見直しを招いた責任の所在だった。第三者委の柏木委員長は記者会見で、「組織の長としての結果責任を問うもので、個人的責任を求めることは適切ではない」と強調。報告書を受け取った下村文科相は、記者団に「内容を謙虚に受けとめ、責任の取り方について25日に発表する」と述べたが、引責辞任については否定した。自らの給与返納などを検討している。
一方、今月末で4年間の任期が満了するJSCの河野理事長は24日夕、記者会見を開き、「任期いっぱいで退任する」と述べた。
報告書は、計画見直しに至った主な要因として、「集団的意思決定システムの弊害」を挙げた。元首相の森喜朗氏をはじめ、競技団体代表や文化関係の重鎮らが名を連ねた「国立競技場将来構想有識者会議」が、JSC理事長の諮問機関としての役割を超えて、事実上の最高意思決定機関になっていた点を問題視。「意思決定がトップヘビー(上層部に偏りすぎ)で機動性を欠き、硬直性を招いた」とした。
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