昨夜連投した件、加害欲求の告白のエントリを許した女性に対する発言が酷いの多すぎないか…そもそも女性本人が「相談に応じて」なおかつ「相談に関するブログエントリを許可した」ことを主体的な選択でないと決めつけるのって、”あなたは被害者だから”って押し付けてるよね?
— haru (@haru0721) 2015, 9月 22
「あなたは被害から回復できてないから、その人の話を聞いてしまった(専門家に紹介しなかった)。人を見抜く目がなくて世間知らずで何が安全かも判別できない可哀想な被害者」と決めつけレッテルを押し付け、被害に遭った人を主体性の無い無能として見下すのだけはしたくないなあと思います。
— haru (@haru0721) 2015, 9月 22
もしもわたしがロースおじさんだったら、「ハイ中止~~~~!!!! いい人ぶってフェミニズム理解者アピールする男が出没したから今日のブログは中止~~~~~~!!!この手の男が人里に出没しないよう林野庁にパトロールを強化してくれって再三要請しとるんやけど、まだたまーに見かけるんよね。」といっても誰も罵倒したとかいわないでくれていいのになあと思った。
この人はわたしがぜんぜん言ってないことを非難しているので、わたしの知らない何かを読んで憤っている可能性もあるけれど。
イミに書いたこと
わたしはイミことid:erousuが、ネタに強いはてなユーザーさえドン引きするような俺伝説を、赤の他人同然の十代の女の子に酒を飲ませて*1酔って眠っているところを無理に起こして手にぎり膝枕で語る無神経さを非難した。
また性暴力加害者であり性犯罪歴持ちのイミが彼女の深刻な性暴力被害を「僕には何もできませんが、がんばってほしいなあと思います」と他人事のように語る鈍感さを非難した。
そして個人的な性暴力加害歴を逃れられないカルマかなにかのようにヒロイックに語り、ラスコーリニコフ気取りで「ゆるされた」と語るのはやめろと書いた。
屋上娘に書いたこと
いっぽう屋上娘に対しては、あなたはおそらくまだ十代の学生で、えらく危なっかしいから自分を過信するなと書いた。
深夜に赤の他人同然の男と二人きりで屋上で酒飲んだら何が起こるかすら予想できないんだから人の面倒見る前に自分のことを考えろと書いた。
また人の役に立ちたいのはいいけど、イミは酒飲んで膝枕で話きいて泣かせてやるくらいではすまない問題を抱えているのだから、人の役に立ちたいなら他をあたれと書いた。
被害者バイアスで目が曇るひと
「人を見抜く目がなくて世間知らずで何が安全かも判別できない可哀想な被害者」とharu0721は書くが、十代の女子がうかつなのは当たり前で、過去に性暴力被害経験があるかないかは関係ない。
十代の女子が年長の女性から「気をつけなきゃだめよ」と言われている姿を見て、ことさら彼女の古傷をほじくりかえし「被害者を無力化している!」と騒いでいる91年生まれのこの男もやはりそうとううかつだと思う。しかしうかつであっても成人している男には特別な配慮が必要だと思う理由がわたしにはない。
haru0721は「二次加害だ!被害者の行き場をなくす行為だ!」と大騒ぎしているが、モテ男イミ*2の「僕の秘密を話すから12時に屋上でね」というロマンチックな誘いにほいほい出かけていったごくふつうの十代の屋上娘に「みんなきみを被害者だって思ってるよ!」と誰がレッテルを貼っているかというと、haru0721*3が貼っているのである。
イミはブログを非公開する直前に「学生科へ相談にいこうと思う」と書いていた。周囲から適切な機関への相談をすすめらたことを受けたのだと思う。これはよかった。カウンセリングは知人に話を聞いてもらうのとは違う。ひっぱたきたいほどの自意識に悩まされているというイミが、友人、知人の反応を気にせず率直な話ができるわけがない。誠意があっても屋上娘では力不足なのだ。
しかしおっちょこちょいのお祭り気質なharu0721は覚えたばかりの言葉をおかしな風に使いたがる。イミっぽい。
@suiginryuuka 「性暴力被害者」という言葉の代わりに「サバイバー」という呼び方が一部普及した経緯を知らなければそのように感じるでしょうね。「被害者と決めつけるな」と感じる性暴力に遭った人がいないと決めつけているあなたやその他の人が間違ってないということはないと思うけど
— haru (@haru0721) 2015, 9月 23
サバイバーであるとは性暴力被害者であることを否定するものではない。戦いを生き抜いたことは戦いで甚大な被害を被ったことを否定するものではない。haru0721は「サバイバー」に現実離れした期待をよせている。サバイバーだって人間なのだ。
「サバイバー」への新たな呪い
抑圧から生き延びたサバイバーたちに「悟りを得た人」のような肩書きを負わせてしまうと、ひそかにまだ呪いと戦っている人に「ならばしっかりしなくては」という新たな呪いをかけることになるんじゃないか、と感じる。あの人は苦労人だから、こういうの理解してもらえるよね、みたいな期待もそう。
— はせ おやさい (@hase0831) 2015, 9月 23
生き延びた人たちは聖人でも仏陀でもない、あなたと同じ普通の人間で、環境に適応せざるをえなかったから様々な技術を身に付けただけで根っこは等しくか弱いんだから、いたわりはすれど過剰な期待を背負わせることはしないであげてほしい、と思います。
— はせ おやさい (@hase0831) 2015, 9月 23
大切なのは、あなたはよく耐えた、よく戦った、という肯定と、でも、もう頑張らなくていい、なににも怯えなくていい、あなたに何かを求めすぎたりする人はここにはいないし、逆に否定したり拒絶する人もいない、あなたはただあなたのまま居ればいい、という安心を与えてあげることなんじゃないかしら。
— はせ おやさい (@hase0831) 2015, 9月 23
エンパワメントとは全能感をあおることではない
西尾和美はアダルト・チルドレンと癒しの中で、父親からの筆舌につくしがたい性暴力を生き抜いた女性の経験をあげている。彼女はカウンセリングをかさねて無力感と罪悪感から立ち直り、正当な怒りを覚えるようになる。その過程で「父親に会いにいって直接糾弾したい」と息巻きはじめる。西尾は彼女が回復の過程で我を忘れ、ファンタジーを描き始めたことをいさめる。彼女はまだそれに耐えうる状態ではないと西尾は判断した。
重い無気力にさいなまれてきた人は、明るい兆しが見え始めると、それに過剰な期待を抱いてはっちゃけてしまうことがある。そんなとき人はすべての人間がもつごく当たり前の弱ささえ忘れ、あるいはそこから目をそむけようとする。*4
実際にはこれは一種の躁状態で、躁はうつよりも危ない。これをよく知らない人が横から「回復だ!サバイブだ!ハラショー!」と煽るのはものすごく危ない。煽られたほうが期待にこたえようとしてしまうからだ。このような無責任なお祭りさわぎは真のエンパワメントではない。回復は静かで地味で、本人でさえよくわからないほど繊細な過程でおきる。
なにか酷い目にあったあと、人を襲うのは無力感だけではない。過剰な万能感と現実離れした「強い自分」という幻想も反動のひとつだ。後者は人を一種の操状態にさせ、無謀な行動へ駆り立てる。過去がどうあれ自分も弱さを持つ普通の人間のひとりだということを見落としてしまう。
— くたびれはてこ (@kutabirehateko) 2015, 9月 23
過去に何があったとしても、周囲の助けをまったく必要としない人はいない。平穏無事に生きてきても、壮絶な過去を生き抜いたにしても、人は死ぬまで完全ではない。強い人にも必ず弱いところはあるし、弱いところがある人は弱い人でもない。
— くたびれはてこ (@kutabirehateko) 2015, 9月 23
弱さにつけこまれた経験があると、弱さを見せること、弱いと思われることに過敏になることがある。そして周囲に対しても自分に対しても自分は強いと信じさせようと躍起になる。ごくあたりまえの弱ささえ否定するようになると、自己過信で危険な状況に突っ込む。これは本人にもまわりにも危ない。
— くたびれはてこ (@kutabirehateko) 2015, 9月 23
強い人は自分の弱さを知っている。チームの弱点から目を背け、我が軍は最高だと思い込む監督は弱点を強化できない。弱点を見つめることをネガティブなこと、卑下することと混同しているとこういうことが起きる。弱さ自体は悪ではないし、強さは自体も善でもない。両手の握力の違いのようなもの。
— くたびれはてこ (@kutabirehateko) 2015, 9月 23
サバイバーを神輿に担ぐことの弊害
屋上娘の過去がどうであってもわたしはイミのような男のまわりをちょろちょろすると痛い目を見ると書いたと思う。この子が自他の境界が曖昧で警戒心が薄いのは最後の段落に入る前から明らかだ。それを若いうちに他人から指摘されるのは*5悪い経験ではない。
その状態だったらharu0721は横からわーわー騒がなかっただろう。彼が太鼓を叩きたがるのは「被害者支援に携わるフェミニズムに敏感な俺」の被害者バイアスにひっかかったからだ。屋上娘は彼にとって「支援すべき」対象だからで、それをサバイバーと呼ぼうが被害者と呼ぼうが違いはない。彼は彼女をただのあたりまえの弱さをもつひとりの人間としてみていない。
さらに言えば彼はイミをただのごくふつうの勘違い大学生としてではなく、”支援すべき加害者”として持ち上げ、受容すべきだと騒いでいる。イミの言い分に利があるならイミの言説を支持すればいいのであって、イミを”加害者”として受容せよというharu0721はイミの人格や尊厳をどう考えているのかと思う。おまえのヒロイックなオナニーにつきあわされるイミと屋上娘が気の毒だ。
haru0721は屋上娘にレッテルを貼るのをいますぐやめろ。そして屋上娘をただの十代女子としてうかつなことをやったり、知らないおばちゃんに怒られたり、むかついたりする自由を侵害するのをやめろ。何年やったかしらないが現場を知ってる俺気取りでいるといいことない。俺らの常識から離れた第三者に一連の流れを見てもらえ。
そう。性暴力に遭った人が”支援者”や”仲間”から受けた二次加害を告発する言説の蓄積は存在する。現場に都合が悪いからほとんど共有されてないけど。痛いところついてるから。 https://t.co/43VC3ELyDA
— haru (@haru0721) 2015, 9月 23
おまえんちに鏡があったらそれをよく見て自分のTweetを100回読み直せ。
あと、イミにも言ったけど、屋上娘は話があるならイミを通さず直接いいにおいで。