概算要求:102兆円台 16年度、過去最高更新
毎日新聞 2015年08月31日 21時08分
2016年度の予算編成に向けた各省庁の概算要求が8月31日、出そろった。一般会計の要求総額は102兆円台に達し、15年度の要求総額(101兆6806億円)を超えて過去最高を更新した。社会保障費の要求額の増加などが主な要因。財務省は9月上旬に詳細な要求総額を集計した上で、年末の予算編成に向け、要求額を絞り込む査定作業を本格化させる。
政策に使う経費の要求総額は76兆円程度で、15年度予算(72兆8912億円)から約3兆円増えた。社会保障費の大半を占める「年金、医療等」の要求額が、高齢化に伴い6748億円増の28兆7126億円に上ったことが影響した。
成長戦略など安倍晋三政権の重要課題を推進するために設けられた特別枠「新しい日本のための優先課題推進枠」にも、各省庁が要求できる上限の総額4兆円近くが集まった模様だ。
一方、国の借金返済や利払いに充てる国債費は、15年度予算比11.1%増の26兆543億円。国債残高の増加を反映し、過去最大になった。
主な省庁別の要求額は、厚生労働省が15年度予算比2.5%増の30兆6675億円、国土交通省は15%増の6兆6791億円。外務省も16年5月に三重県の伊勢志摩で開く主要国首脳会議(サミット)の開催関連経費計上などを理由に10.4%増の7568億円と要求額が膨らみ、防衛省も中国の進出を念頭に置いた島しょ防衛強化などを理由に過去最高の5兆911億円を要求した。
政府は6月末、20年度に政策に使う経費を新たな借金をせずに賄えるようにする財政健全化計画を策定した。16年度は計画初年度で、目標達成に向けて無駄のない予算を組めるかが焦点となる。財務省は今後の査定で、15年度当初予算(96兆3420億円)と同様に96兆円台まで絞り込みを図る方針だ。【宮島寛】