「戦争に向かう」「国防上必要」 安保法成立、福岡県内賛否の声
集団的自衛権の行使を可能にする安全保障関連法が成立した19日、福岡県内では反発と容認の双方の声が上がった。「戦争に向かっていく」「国防上必要だ」。政治の場と同様に、国民世論は割れたまま。安倍政権の説明不足や国会運営の強引さを批判する声も聞かれた。
「とにかく残念の一言」。久留米市の男性(75)は悲しそうな表情を浮かべた。「諸外国を見ていると、いつどこで戦争が起きてもおかしくない状況で、安保法が必要という意見も分かる。ただ70年前の戦争のことを思うと、武力で訴える世の中にはなってほしくない」
福津市の主婦(46)も反対の立場。「米国の言いなりになって、戦争に行く可能性が高まると思う。安心して暮らせなくなる」と危ぶんだ。春日市の会社員女性(23)は「これからどうなるんだろう。怖い」と不安を口にした。
成立を歓迎する人もいる。福岡市南区のタクシー運転手男性(60)は「国防上必要で、安保法で米国との結びつきが強くなる」。福岡市東区の主婦(71)は「集団的自衛権の行使は必要。米国に協力する姿勢を見せないと、日本を守れない」と力を込めた。
成立までの国会運営を批判する声も。北九州市小倉北区の会社員男性(48)は「心配している人にもっと説明してほしかった。野党の質問にも政府ははぐらかしている印象だった」。長崎県諫早市の会社員男性(30)も「やり方が悪かった。もっと議論すべきだった」と話した。
=2015/09/19付 西日本新聞夕刊=