5月17日の住民投票は、「大阪府」を「大阪都」にするかどうかを決めるの?
「大阪都」にはなりません。「府」のままです。今回は「大阪市をなくして5つの特別区に分割し」「その財源と権限を大阪府に移譲する」かどうかを決めます。
→「大阪府」を「大阪都」にするには、府の名称変更の手続として
①国会での法整備
②大阪府民を対象とした住民投票の実施
も必要となるでしょう。
→多くの自治体が、大都市としての発展のために、強力な財源と権限をもつ政令指定都市をめざしています。
大阪だけが、そんな動きと逆行することになります。
「政令指定都市」でなくなるのはもったいない!
① 政令指定都市になると…都道府県の関与を受けない事務が大幅に増えることにより、行政サービスのワンストップ化・迅速化が図られます。
→特別区に移行すると…
指定都市に適用される「事務配分の特例」や「関与の特例」の適用がなくなるため、府の関与を大幅に受けるおそれがあります。また、これにより、行政サービスのワンストップ化や迅速化の面で後退する可能性があるのです。
② 政令指定都市になると…事務量の増加に伴い、地方交付税の増額や財源の移譲などが行われ、より主体的に市民サービスを提供するための財源が充実します。
→特別区に移行すると…
市税である①固定資産税(2,680億円:41.7%)、②市民税法人分(1,252億円:19.5%)、③事業所税(254億円:4.0%)、④都市計画税(546億円:8.5%)が府税となるなど、自主財源が大幅に減少します。
また、特別区は地方交付税(大阪市H25決算:486億円)の交付対象とはなっておらず、地方交付税は、5つの特別区の区域を一の市とみなして算定された後、大阪府分と合算して、大阪府に交付されます。
大阪府が課税する上記①及び②の税収の一定割合及び地方交付税相当額等は、財政調整交付金として各特別区に再分配されますが、その配分割合等は府が決めます。
以上のことから、主体的に区民サービスを提供するために必要となる財政の自主性・自立性が低下するおそれがあります。
③ 政令指定都市になると…一部を除く国道・県道の管理や都市計画に関する事務を行うことができ、主体的・一体的なまちづくりが可能になります。
→特別区に移行すると…
特別区では、国道・県道の管理や都市計画に関する事務など、まちづくりに関する事務の大部分を府が担うこととなるため、区民のニーズに即応したまちづくりを自主的・主体的に行うことができません。
④ 政令指定都市になると…全国的・国際的な知名度が高まる。また、これにより地域の拠点性が高まり、更なる発展が期待できます。
→特別区に移行すると…
大阪市を5つの特別区に分割した場合には、全国的・国際的な知名度のある「大阪市」という名称が消滅します。また、5つの特別区のうち一部の区のみが拠点的機能を担うことも想定され、そうなれば、それ以外の区の拠点性が低下するおそれがあります。