幕末、揺れ動く時代を疾走した若者たちの果てなき夢、そして、未来に託された熱き想いを描く『もののふ白き虎』が、9月17日より天王洲 銀河劇場で初日を迎えた(27日まで。名古屋、大阪公演もあり)。その初日前に公開舞台稽古が行われた。
文武両道の伊東悌次郎(横浜流星)に憧れ、認められたいと願っていたと語る飯沼貞吉(安西慎太郎)。
【あらすじ】
会津藩の男子は10歳になると藩校・日新館に入学する決まりがあった。慶応元年(1864年)、後の白虎隊となる少年たちは日新館に入学し、盟友たちとともに武士の心得を学び、勉学に励む。
ある日 “壬生狼(みぶろ)“ と呼ばれる新撰組と運命的に出逢い、彼らは幕末という時代を疾走することになる。
いつか白き虎となり、狼より遥か高い所まで――
狼に憧れた若き虎たちは、命を懸けて会津を守ろうと固く心に誓う。各々の心情を抱きながら、友情を深めていく少年たちに待ち受ける運命とは――

支え合う悌次郎と貞吉。
支え合う悌次郎と貞吉。
激動の幕末の会津藩で、16〜17歳という少年兵が集まった白虎隊。「高く、狼(壬生狼=新撰組)を超える白き虎になる」という理想に燃える隊士には、テレビや舞台で活躍中のイキのいい若手俳優が揃った。
唯一生き残り、語り部となる飯沼貞吉には『テニスの王子様』で人気を得た安西慎太郎。実力はあるのに、母に手紙を送るような優しい気性もあってリーダーにはなれない役を真っ直ぐに演じている。
隊士を引っ張る伊東悌次郎を演じるのは、『烈車戦隊トッキュウジャー』などで人気者になった横浜流星。殺陣は初めてだというが、空手ではジュニアで世界チャンピオンだっただけに、体の軸が決まって動きに無駄がない。キャストでは最年少だが、文武両道に優れた皆のリーダーの風格がある。
「かなえ(八坂沙織)と篠田義三郎(和田琢磨)
隊士の中では最年長で、幼なじみのかなえ(八坂沙織)とこっそり会っている篠田儀三郎に扮するのは『テニスの王子様』などで知られる和田琢磨で、二人の逢引きは、他の隊士に覗かれてちょっとユーモラスでもあるけれど、切ない。
隊の掟を読み上げる。左から松本、白又、河原田、横浜、安西、松村、和田。
隊のブレーン井深茂太郎は『仮面ライダー鎧武』にも出演した白又敦で、クールな感じで見せ場があり、池上新太郎役はミュージカルや『弱虫ペダル』などに出演した河原田巧也、身体能力が素晴らしく殺陣では目を見張る!
西川勝太郎役の松村龍之介は『戦国BASARA』などの舞台でも見せた長身を生かした殺陣が美しく、テレビ『ウルトラマンX』がデビュー作で舞台も初というフレッシュな松本享恭も石田和助役で勢いよく暴れている。

西郷頼母を中心に隊士たち。左から安西、横浜、松村、河原田、赤井英和、白又、松本、小澤、和田。
西郷頼母を中心に隊士たち。左から安西、横浜、松村、河原田、赤井英和、白又、松本、小澤、和田。
隊士の後ろ盾となる会津藩の西郷頼母には赤井英和、隊士を殴りまくるという楽しい役で、会津藩主の松平容保を演じた村田洋二郎との大人コンビは、時にはクールにも見えるが、白虎隊への想いは熱い。
白虎隊に指令を与える土方歳三(荒木宏文)と斎藤一(青木玄徳)。
隊士が憧れる新撰組として印象を残す2人、斎藤一には『テニスの王子様』などで知られる青木玄徳、斎藤は貞吉の話を聞くという受けキャラで、全てを俯瞰しながら懐の深さを見せる。
土方歳三役は、ミュージカルからストレートプレイまで幅広い舞台と、ソロ歌手として活躍中の荒木宏文で、存在感は圧倒的。刀と銃を使う殺陣もクールに魅せる。
戦況が厳しくなるなかで、会津藩主・松平容保(後ろ中央、村田洋二郎)は参謀の西郷頼母(赤井英和)を信頼する。
西田大輔の演出は、時には歌で感情を盛り上げつつ、殺陣はゲームのように爽快で美しい。序盤にはキャスト紹介も兼ねた一人ずつの殺陣があり、最後まで観る者を飽きさせない。
【コメント】
西田大輔(演出) 「白虎隊が新撰組と出会っていたら」というところから発想した物語です。振り付けも自分でやりました。ほとんどが初顔合わせの若手役者のみなさんが、すばらしい!
安西慎太郎 理想を持つ仲間と会津で出会い、すべてを俯瞰した役どころを演じさせていただきます。
横浜流星 みんなが憧れるキャラクターです。熱く儚く美しい舞台をご覧ください。
赤井英和 スタッフも含めて座組の最年長なんですが、出演しているので舞台を見られないのが残念と思うくらい刺激的な舞台です。
前列/西田大輔、青木玄徳、横浜流星、安西慎太郎、荒木宏文、赤井秀和
〈公演情報〉

『もののふ白き虎』
『もののふ白き虎』
〜幕末、「誠」に憧れ、白虎と呼ばれた若者達〜
脚本・演出◇西田大輔
出演◇安西慎太郎、横浜流星/和田琢磨、小澤亮太 、白又敦、河原田巧也、松村龍之介、松本享恭、八坂沙織、村田洋二郎、松坂わかこ/青木玄徳、荒木宏文、赤井英和
●9/17〜27◎天王洲 銀河劇場
●10/1◎名古屋 アートピアホール
●10/3、4◎梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
〈料金〉東京公演/¥8,900(全席指定・税込)
〈料金〉東京公演/¥8,900(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉東京公演/サンライズプロモーション東京 0570-00-3337
【取材・文/笠松綾 撮影/宮川舞子 写真提供/エイベックス・ライヴ・クリエイティヴ】