「やっぱりおじいちゃん、病気進んでる気がしない?」帰り道の車の中で、姉は言った。
「今日、来て良かったな。やっぱり早く結婚しようって思った」と姉は言った。
私は、何も言えなかった。
私だって、おじいちゃんおばあちゃんが生きてるうちに、結婚して、花嫁姿くらい見せたいよ、できることなら。
でもお姉ちゃんとは違って、私には今付き合ってる彼氏すらいないから、きっとそれは叶わないだろうなって、自分でもなんとなく分かってる。
ねえ、私ね、お姉ちゃんと話してると、自分が凄く悪い子みたいに思えてくるんだ。
それがすごく辛い。苦しい。いつもいつも。お姉ちゃんと会って話すたびそう思うの。別に何の変哲もない、お姉ちゃんの一言で、心がえぐられるの。
お姉ちゃんは何も悪くない。私が勝手に傷ついてるだけ。勝手に罪悪感と嫉妬と劣等感抱いて、苦しんでるだけ。全部自分のせい。
そう分かってるのに、さっきから涙が止まってくれない。
だからもうお姉ちゃんとは会いたくない。話したくない。勝手だね、ごめんなさい。
泣き止んで、少し落ち着いた。
私は私なりに、孝行し続ければいいや、と思うことにした。
今までだって、一年に一回ここを訪ねるか訪ねないかのお姉ちゃんよりは、頻繁にここを訪ねて、雑用や家事をするようにしてきたんだ。それを少しは誇っていい、と勝手に思うよ。
私は、花嫁姿を見せてあげられないかもしれないけれど、せめて後悔しないように、自分にできることを精一杯していく。
だけど、やはり姉とはできるだけ会わない方がいいな、と改めて思った。
もう会っても大丈夫だな、と思えるまで。
私自身はどう変われば、苦しくなくなるんだろう。どうすればいいのか、考えなければならない。