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ゼロツク

ゼロから自分を作る、ゼロから作るメディア、ゼロから作る医療の未来

薬剤師国試ゴロサイトを作る時に考えたことをまとめてみた

いいメディア運営 いいメディア運営-薬剤師国家試験ゴロ覚え方

6月の後半に1週間で「薬剤師国家試験のゴロ、覚え方」というサイトを作ったのですが、作る際に漠然と考えたり、計算したことをこの機会にまとめてみたいと思います。

その型として、先日文明塾の先輩であり元リクルートで新規事業のプロである石川さんが、「新規事業は国語、算数、理科、社会である」ということを言っており、しっくり来たので当てはめてみます。

僕自身も実験としてサイトを作りましたが、webサイトやサービスを作る際の参考になれば嬉しいです。

薬ゴロの現状

「薬剤師国家試験勉強中にスマホで簡単に検索できる」ということをコンセプトにはてなブログをカスタマイズして作成しました。

語呂合わせなんて必要なの?という疑問が出るかと思いますが、医療系の国家試験は暗記量が半端じゃなく、国家試験予備校なんて物もあります。そのため、理屈で覚えられないことは「ゴロ」に頼ろう。ということになるのです。

予備校の先生がゴロを教えてくれたり、自分達で考えたものを全国の薬学生で共有すれば、効率が良くて良い事づくし。そして、僕もサイト運営を実験的にすることができる。あわよくば、ランニングコストを賄えるようになり還元できる仕組みを作りたい。

そんなことを考えコツコツと作り始めた薬ゴロ。2015年6月24日に公開、ユーザー数を順調に伸ばし、3ヶ月目の9月24日に月間15万PVとなりました。

いつもは深く考えずに行動する僕ですが、今回は少し考えてからのスタートとした成果が早期に出たのかもしれません。そんな訳で、考えていたことを明文化してお伝えできれば幸いです。

国語:ユーザーの「不」を文字にする

世の中の「不」、顧客の「不」を掘り下げる
誰が、どんな「不」を抱えているのか
どうなると嬉しいのか
深く、深く、掘り下げていく

このイシューを文字化するのが、サービスを作る時に難しいんですよね。そして、一番作る時に大切な所だと思っています。ここが曖昧だと、途中でぶれてしまうことが多く継続しないサービスになる気がしています。

薬ゴロの場合は、理解の範囲では暗記しきれない知識に対して、
・ゴロや覚え方をネットで検索しても、すぐに欲しい情報にたどり付けない。
・Twitterのbotはあるが、自分から取りに行けない。
・パソコンサイトはあるが、ゴロを羅列しており欲しいゴロにすぐに辿り着けない。

という「不」があると仮説を立てました。ここでは、同学年の友達に少し話を聞いたり、自分で実際にゴロをたくさん検索することで競合の調査を行い、現状のサイトの課題を洗い出しました。

その結果、「スマホで、すぐに欲しいゴロのみに辿り着き、サイト内部検索もできる」サイトが必要であると考えました。

対象は、「薬剤師国家試験の受験生である6年生」「薬剤師国家試験浪人生」「CBTを控えた薬学4年生」の順番でターゲットを設定しました。

算数:「不」の大きさを推測する

世の中の「不」の大きさを推計する
その「不」を抱えた人はどれいるか (広さ)
その「不」はどんな頻度で生じるのか (頻度)
その「不」はどれくらい深いものなのか (深刻さ)

「不」が小さければ、期待できる事業規模も小さい

ターゲットユーザーは幅を持たせて、
最低:15000人(薬学6年生12000人、浪人生3000人)
最高:27000人(上記+薬学4年生12000人)
ここに1〜3年生の試験前の短期間に分野が絞られて使う方という想定。

使用頻度は月によって違うと考えました。
3月〜8月:低頻度。国試早期勉強と浪人組のみ。
9月〜1月:最高頻度。6年生が国試、4年生がCBT勉強を本格化。
2月:    中頻度。6年生が国試直前期。
最高頻度では、2日に1回。低頻度では、週に1回程度。

深刻さは、覚えられないと試験に受からないので結構深い部類。でもニッチなサービスであり、ユーザー数が少ないので事業規模としては小さなものになります。

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今回のサイトは「検索流入」をメインに考えていたので、Googleのキーワードプランナーを使い、主要ワードはどれくらい検索されているか?を知る事で、サイトへのアクセスの目安としました。

すると、最大ワードである「薬剤師国家試験 ゴロ」が月間検索ボリューム「260」。うん、これはだいぶ小規模で塵も積もれば、、、というサイトになりそうだ。ということが分かります。

上記の月毎の予想はキーワードプランナーやGoogleトレンドを使う事で見極めました。ある程度の季節性がわかるので便利です。この場合は完全に9〜3月が主要アクセス月になります。

理科:「不」を分解して構造を理解する

「不」が発生する構造・理由を解き明かす
「不」を分解すると、どんな構造になっているか
「不」が生じる理由は何なのか

構造・理由がわからずして、解法はわからない
分析が甘いと凡庸な製品・サービスにしかならない

ここはあまり深く掘ってないのでわからないのですが、
・薬学部が6年生になり知識範囲の拡大
・毎年、法規改正、新薬、ガイドラインが変わるため、覚えること自体も変化している
というのが、薬学部的な不が生じてきた原因の背景で。

・ストック、更新をするサイト設計になっていない(CGMサイト難しい!!)
・スマホ所有率増加に伴い、閲覧環境の変化
・SEOの認識変化
というのがネット側の原因背景なのかぁと。

事前調査で、既存のネットの情報は古い。スマホサイトが無く閲覧しにくい。という点は感じていました。

社会:業界の社会的背景から「不」を考える

「不」が発生する背景と影響を把握する
「不」が発生する背景には何があるのか
PEST分析の視点(政治、経済、社会、技術)
法律、業界構造、業界慣習、生活習慣 etc.
その周辺にはどんなプレイヤーがいるのか
その結果、世の中にどうやって「不」が生じているか

なぜ今も「不」は解消されず残っているのか
既存の製品・サービスではなぜ解消されないのか

 この業界のプレイヤーというのは、
・薬学生(現役)
・薬学生(浪人)
・大学
・薬剤師国家試験予備校
・新卒人材業界
あたりでしょうか。
ここら辺は、ビジネスとして考える上でもお金を出してくれる所。コンテンツの発生場所。など見渡さないといけないですね。

サイト作成している1週間は、薬学生を観察しました。
・スマホ所有率は、95%。SNSは、Facebookは閲覧専門がほとんど。自分から投稿はしない。Twitterはそこそこやってる。Lineは多し。
・暇な時間にスマホを弄っている人が多い。ゲーム or Line or ニュースサイトを見てる。就活している人はその関連
・暇な時間は昼から夕方くらいの集中力が無くなるとき。
・意外とスマートニュースなどの有名なアプリは入れている
・でも、意外と役に立つ国試の1問1答アプリは、ダウンロード数が伸びていない 

語呂合わせの著作権については、「東京地判平成11年1月29日判時1680号119頁」を参考にさせて頂きました。

「著作権法の保護の対象となる著作物については、思想又は感情を創作的に表現したものであることが必要である。ところで、創作的に表現したものというためには、当該作品が、厳密な意味で、独創性の発揮されたものであることは必要でないが、作成者の何らかの個性の表現されたものであることが必要である。

文章表現に係る作品において、ごく短いものや表現形式に制約があり、他の表現が想定できない場合や、表現が平凡、かつありふれたものである場合には、筆者の個性が現れていないものとして、創作的な表現であると解することはできない。」

という訳で基本的には、転載する場合はサイト管理者に連絡をして承諾を取り、「○○提供」というクレジットを記載することにしました。

なぜ今も「不」は解消されず残っているのか

良く考えないで見過ごされてしまう問いですが、今回の場合はどうなんでしょうか?

原因①:学生の人数が少ない

大きな原因として、市場が小さく大手企業が力を入れていない。という点が挙げられると思います。看護学生はエスエムエス社の「ナース専科」、医学生・研修医はメディカルプリンシプル社の「レジナビ」がありますが、薬学生向けはほとんど無い。

看護学生市場は、厚生労働省「看護師等学校養成所入学状況調査」によると1学年45000人くらいいるので、3課程として13万5千人の学生がいます。医学生は人数少ないですが、人材価値が極端に高いからですね。

薬学生は大体7万人ですが、、、、あれ?何でターゲットとされていないんだろう。

原因②:薬学部は進路が多様化しているため、人材紹介しにくい

医療学生サービスのマネタイズと言えば、、、はい。人材紹介ですね。大手はエムスリーやリクルート、マイナビ、最近では介護系のサービスも増えています。

上記に挙げた看護学生、医学生と薬学生で圧倒的に違う点は、「全員が卒業後、臨床(病院等)に行かない事」なんですね。もちろん、看護や医学でも企業や出版や行政に行く人いますけど。

薬学生はもっと多様化しており、臨床(薬剤師免許使う)職種でも、
①病院の薬剤部
②調剤薬局
③ドラッグストア
と3つあるんです。

その他にも、製薬会社のMR(営業)、研究開発、治験、行政、一般企業。僕みたいな、数%はIT企業やコンサル。などバラバラなんですよね。ということで、先ほどの7万人から臨床に行く人は、7割程度。さらにそこから3職種に分岐して、志望が分かれる。

そういう訳で、「薬学生全員に刺さるサービス」って言うのは結構難しいんです。そういう経緯や、薬剤師は基本保守的なので自分でサービス作ろうとか考える人がいない。作ったとしても正直微妙なアフェリエイトサイト。ということが原因かもしれません。

ロングテールで月50万以上稼ぐ看護師サイトの運営者にインタビューしてきた
管理薬剤師.com

薬ゴロですが、ターゲットを絞る。古典的でも使いやすいサイトを作るという意味で、管理薬剤師.comさんを結構参考にしました。

結局やったことまとめ

なんかグダグダになってしまったので、上記を考えてやったことをまとめてみます。

・長期的なサイト構築
→9月からアクセスが集まるから、それまでにGoogleからの認識とコンテンツ集めた。
・SEO対応
→サイト制作前にカテゴリー分けを紙の上で行い、パンくずをしっかり付ける。スマホ対応にする。はてなブログで、検索順位が上がって来たら、独自ドメインにしてさらに強化。記事の題名はSEOを考えて、検索ワードをしっかり入れる。どう考えても平均200文字になるが、関連記事や解説で何とか耐える。
・コンテンツ収集
→2週間経過した時に、この事業のドライバーはゴロ数だと考え、広告などは置いといてコンテンツ収集に従事した。多分もっとアクセスを増やすためには、今後はCGMに していくために協力者と、新規獲得のため広告を出すことになる。
・ちょこまかサイトを改善する
→スマホの記事下とか、何を入れたら良いか?GoogleAnalyticsを見て、タイトルや関連記事の変更。
・とりあえず、少し利益が出るように広告を付ける
→サーバーとドメイン代は賄えるように、アドセンス広告。純広告は営業する余裕が出たらやりたいなぁ。

【サイト情報】
サイト名:薬剤師国家試験のゴロ、覚え方
月間PV:15万PV
月間UU:27000(セッション51000)
ゴロ数:650
構築環境:はてなブログproをカスタマイズ、独自ドメイン