「大勝軒」と「支那そばや」が東京ラーメンショーでコラボ
- 2007年3月、「大勝軒」創業店舗の閉店直前に病を押して、山岸さん(左)のもとに駆け付けた佐野さん
- 亡き山岸さんと佐野さんの魂が宿ったコラボラーメン「絆をつむぐ醤油らぁ麺」(東池袋大勝軒、支那そばや提供)
今年4月に亡くなった“ラーメンの神様”こと山岸一雄さん(享年80)が創業した「東池袋大勝軒」(東京・豊島区)が、10月23日から開催される「東京ラーメンショー」(駒沢オリンピック公園)で“ラーメンの鬼”の異名で知られた故・佐野実さん(享年63)が創業した「支那そばや」(横浜市戸塚区)と“コラボラーメン”を販売することが22日、分かった。老舗人気ラーメン店の初タッグに、大会実行委員長のラーメン評論家・大崎裕史氏(56)は「史上最大級のコラボ企画。両巨匠の偉大さを味わってほしい」と話した。
「神様」と「鬼」の奇跡のコラボラーメンが誕生した。山岸さんの好きな言葉だった「絆」にちなみ、名前は「絆をつむぐ醤油らぁ麺」。世界最大級のラーメンイベント「東京ラーメンショー」で、10月23日から6日間販売する。
1961年に「東池袋大勝軒」を創業した山岸さん。「精いっぱい努力して、おいしいものをつくって、お客さんに喜んでもらおう」と日本につけ麺を普及し「つけ麺の元祖」とも呼ばれ親しまれたが、4月に心不全で亡くなった。
昨年4月の佐野さんに続く訃報となり、ラーメン界は1年で2人の偉大な職人を失った。その足跡をたたえようと、ラーメンショー実行委員会は、今回の追悼コラボ企画を発案したという。
コラボラーメンの味は、その名の通り、シンプルな醤油ラーメン。7月初旬に、大崎氏からオファーを受けた佐野さんの妻・しおりさん(54)が「麺は支那そばや、スープは大勝軒でいきましょう」と提案し、実現にこぎつけた。
「東池袋大勝軒」2代目店主の飯野敏彦さん(47)は「山岸さんのげんこつ、豚足、鶏がベースの醤油スープに、佐野さんがこだわった岡山県産の山水地鶏を丸ごと投入し、あっさりとキレのある味に仕上がった」と手応え上々。北海道産小麦粉を使った細麺が、ほどよくスープになじんでいるという。
約28年前から、2人の創業者は互いの店を行き来し、刺激を与え合ってきた。いつしか、佐野さんは山岸さんを「ただ一人、尊敬する人」と話すようになり、固い絆が生まれた。しおりさんは「きっと2人とも、天国で喜んでくれているはず」と感慨深げだった。
大崎氏は、老舗コラボ企画について「今回の目玉。一人でも多くの人に食べてもらって、お二人の功績を思い出してほしい」と話している。今年で7年目の東京ラーメンショーは、第1幕(10月23~28日)、第2幕(同29日~11月3日)の2部構成で合計約40ブース、全国の「ご当地ラーメン」約100店舗が出店する。(江畑 康二郎)