安保法案の可決と同時に、気になる2つのニュースが入ってきました。
ひとつは自民よりもさらに保守政党だった次世代が、自民に合流しそうなニュース。
もうひとつは、保守の真逆のニュースです。
この2つのニュースを見ると、
・右側は右側で集結
・左側は左側で集結
していて、右/左の二軸で見るなら、それぞれが端っこに寄って行っているように見えます。
安保のときから、このことはなんとなく感じていました。
賛成/反対と、明確に国論を二分するような議論が行われると、中途半端な態度は好かれず、より明確で極端な態度の方が、支持されるためです。
ここでいったん、前提となる話をしますと、
通常、二大政党制に近い政治体制ですと、僕たち有権者は、A党かB党、どちらかに投票します。
二大政党のため、A党とB党は相手の政党よりも1票でも多く取れば政権が取れるため、できるだけ多くの人の意見を汲み取れるように、極端な考えは捨
てて、より中間的な意見によっていきます。
世の中にはいろいろな意見を持っている人はいますが、極端な意見の人は少なく、たいていの人は、「中間的な意見」を持っていることが多いので、政党も票数を集めるために、自然と「中間的な意見」に集中します。
こんな感じです。
しかし、安保関連法案では、賛成/反対の意見が明確に別れているところがスタートなので、各党は「いかに中間層を巻き込むか」と考え、逆の力が働きます。
反対派は、より強固に反対し、それをデモなどを通して広めていくことで、中間層を巻き込みに行こうとします。
今回は、民主・維新・共産・社民・生活が一緒になり、中間層を巻き込もうとしてきました。
一方で自民党をはじめとする「右側」も、より強固に賛成を全面に押し出していました。もし仮に、廃案ではなく修正案を受け入れたとすると、
「自民党が中間層の意見を受け入れた」
と見られるのではなく「反対派に押された」と見なされ、反対派に手柄を与えてしまうことになることにもなりますし、さら、既存の自民党支持者が離れてしまうこともにもなるため、中間には寄れません。
そのため、安保関連法案をめぐって、政党がより一層、右と左の端っこ寄っているように思えます。
維新は中間層の意見をうまく取り入れ、「修正案」という妥協案で現実的な路線での交渉を続けていましたが、解党目前…
元気会などが附帯決議という条件で、現実路線を提案していましたが、分かりやすい「賛成VS反対」の図式に埋もれてしまっていました。
そこに来て、冒頭のニュースです。
自民党よりも右だった次世代が自民党に合流の兆し、そして民主と共産が選挙協力、と、「ふわっとした民意(しかもここに位置する有権者が一番多い)」を代弁する政党が不在になってしまいそうで、とても恐いです。。。
共産党はこれまでずっと、「ぜったい勝てないだろう」という選挙区にも候補者を立ててきましたので、共産党に票が流れた結果、「民主党がギリギリ、自民党に勝てるかもしれない」という選挙区で軒並み、自民党が圧勝してきたこともありました。
民主党がイニシアティブを取って、共産党の候補者を立てず、民主党の候補者に一本化できれば、民主党が盛り返し、中間層の支持もうまく取り入れ、自民党に対抗できる野党になるかもしれません。
しかし、ここ数年の野党や第三極の混乱から、共産党への期待は高まっており、議席も伸びている…という中で、共産党がやすやすと民主党に選挙区を譲るとは思えません。。。
政界に、しっかりとした野党や第三極ができることを期待している僕としては、来年の参院選に向けて、軽く絶望です。
増沢諒(ますざわ・りょう)
食べ物付き雑誌、「食べる政治」代表。
1988年生、長野市出身の26歳。早稲田大学卒業後、都内ITベンチャーでの勤務を経て、現在、東工大大学院修士課程。研究テーマは「ネットと政治」。2012年、ネット選挙解禁を目指す活動「One Voice Campaign」を企画。2013年、SNSで投票日を相互に呼びかけ合うWebサービス「FIRST STEP」を企画・開発し、同企画でマニフェスト大賞を受賞。2014年の東京都知事選挙では、家⼊かずま陣営のマニフェスト作成担当として、3万件のツイートから、120の政策を作成し、話題となった。
E-mail: masuzawa0509@gmail.com
Twitter: https://twitter.com/mojamoja_megane