大ヒット作品「東京タラレバ娘」の作者、東村アキコさんの新連載「ヒモザイル」

これが大変素晴らしいという噂をキャッチし、WEB公開中の第1話を早速読んでみました。

確かにこれはすごいですね。なんというか、凄いです。必見の作品です。人間の醜さがこれでもかと詰め込まれているシリアス巨編といった感じです。下にリンク貼っときますので、是非読んでみてくださいね。



しかし、作者兼主人公が女性ということもあって、男性読者には少しとっつきやすい部分があるかな、とも思います。

ということで、当ブログでは男性読者にも「ヒモザイル」の魅力を伝えるべく、登場人物を男女逆転させた「ヨメザイル」という二次創作を作ってみました。

(絵が書けないので)小説風になりますが、内容は原作とほぼ同じです。

ではヨメザイル、スタート

 
────────────────────────────


私の名前は東村アキラ。歳は39歳。漫画家として活動しはじめて17年。

今では毎日たくさんのスタッフと共に、締め切りに追われながらも充実した漫画家生活を送っている。


それは数カ月前の天気のいいある日のことだった、

娘のクラスメイトの父親(いわゆるパパ友だ)と、職場近くでランチを共にする機会があったのだ。

食事の間、子どもたちはオフィスで部下たちに見てもらうことにした。

その日、オフィスにいたのはたまたま女子ばかりだったが、みんな喜んで子守を引き受けてくれた。

「えっ、いいんですか?」

パパ友のN氏が遠慮がちに尋ねる。

「大丈夫大丈夫。こいつら子供好きだし、心配ないよ」
「こう見えていい奴らなんだよ、うちの子もいつも遊んでもらっててさ」

アシスタントスタッフのA子とB子は早速子供のためのおもちゃやジュースを探し始めている。
この様子なら心配なさそうだ。

「じゃ、頼んだぞ!」

そういってオフィスを出る。

実を言うとその時、私は内心、胸を張る思いだった。

私はこんなに素晴らしい仲間に囲まれて仕事をしているんだと、N氏に自慢するような思いだったのだ。

そして私達は表参道の一流レストランでランチを食べながら、彼の仕事の話や、今建設中のマイホームの話、子供の教育の話など色々な話をして仕事場に戻った。

戻るとN氏のお嬢様は楽しそうにしていた。

「ええ、うちの子がこんなにすぐなつくなんて!人見知りが激しい子なんですが…」

やはり彼らに任せて正解だった。N氏のお嬢様はとても楽しそうで「帰りたくない!まだ遊ぶ!」などと言っている。


「本当に羨ましいです、東村さん。こんな若い人に囲まれて、毎日お仕事されてるんですね」

「いやぁ、はは、バカばかりですけどね。でも気立てのいい奴らなんで、またいつでもお子さんを預けに来てくださいよ。飲み会の時とかでも、なんでも大丈夫ですから」

そうして私はN氏を外に送っていった。

タクシーがひろえる大通りまで歩いて、N氏がふと口を開いた。

「ねぇ東村さん。あの子たちって、東村さんの事務所で働きながら漫画を学んでる、弟子って感じですよね?」

「いやいや弟子ってほどでもないですよ。バイトで来てもらってるスタッフですし」

「でもあの子たちも東村さんみたいな漫画家を目指してるんでしょう?」

「そうですね、基本的にはみんな働きながら漫画家を目指してる感じですね」

「…東村さん、あの子たちっていくつなんですか?」

「えっ…。あっ…えーと…28と…27?身長高い子は確か、30いってるけど」

「…ねぇ、東村さん、あの子たち、見込みあるんですか?」

私は一瞬、何の話かわからなかった。

「そのつまり、漫画家になる見込みはあるんですか?」
「だってもう、みんないい歳じゃないですか。なれるんですか?これから?」

頭が真っ白になった。その空白は、N氏の次の言葉で焼けつくような焦燥に変わった。

「うちの子があんな風になったら、頭抱えるな…」

仕事場に戻ると、スタッフたちがミヤネ屋を見ながら誰かのお土産のご当地じゃがりこを食べていた。

「ミヤネさんマラソンでるんだー」

「へー」

どんなどうでもいい話をしながら、ポリポリとじゃがりこを食べている。


こいつら、この先、どうなるんだろう。


私は今まで、自分の原稿さえ上がれば思っていた。部下の将来など、全く頭になかったのだ。

もちろん、立派な漫画家として巣立ってくれればそれが一番嬉しい。

しかし、出版不況は一向に底が見えない。

デビューすればそれだけで漫画家として食えた時代はとっくに終わっている。

N氏は意地悪でそう言ったのではないだろう。あの人の感覚が普通なのだ。


お前ら、ミヤネ屋見てる場合なのか?



N氏の一件で、私の中の何かが大きく変わった。

そのすぐ翌日のことだった。恵比寿で友人が飲んでいるというので顔を出しに行った。

みんな私(39歳)と同じくらいで、バリバリ稼いでいいお給料をもらってるかっこいい男たちだ。

「またお前らこんな高い店に…」と私が呆れると

「いいんだよ!ボーナス出たし!」とA氏

「ここめっちゃ美味いぞ!」とB氏

「肉食おう肉!」とC氏

なんというか絶好調だ。

その日の話題は婚活について。彼ら全員がバリバリ稼ぐ男たちだと言うのに、何故かみな独身である。

「俺は家のことやってるヒマないしさ、家事のできる娘がいいよな」

「育児も嫁に任せたいよなー」

「どっかに料理上手で気立てのいい女いないかなー」

男やもめに蛆がわく、そんないつもと同じような愚痴を聞き流していた時──私の脳内に電撃が走った。


・うちの20代の女性スタッフは年収は低いが家事はできる

・そして私の30代の友人たちは年収が高い

これは…需要がぴったりハマっているのではないだろうか!?



緊急集合ーーーーーーーーーーーッッッッ!!!


こうして第一回「ヨメザイル決起集会」が開催されたのであった。

決起集会に参加したのは担当編集者の高橋女史、富士女史、そして印刷所の小池女史、どいつもブサイクだ。


今回の企画を説明する!

まずは我が社の20代女性スタッフに花嫁修業を施し、「ヨメ」としてのスキルを教育する!

具体的には

「働く男性を支えるために、精神面・肉体面・家事育児を全てサポートできるような女」

にする!

そして金はあるが忙しさと理想の高さで結婚できない私の30代男性の友人たちとのマッチングを斡旋し、

金も、まともな仕事も、美しさもないクソ女どもを、

立派な「ヨメ」として世に送り出すのだ!!!!

(編注:「クソ女ども」は原作では「クソメン」)



そしてA子B子C子が立派な「ヨメ」として成長していく様を漫画にして、「モーニング・ツー」誌上で連載していく!
 
やらせなしの完全ドキュメント!ウソは配信せん!!!

2015年8月 ヒモザイル」プロジェクト始動!!

さあ、ダメ女をサルベージだ!!!




─────────────────────────────────




はい、というわけでヨメザイル、如何でしたでしょうか。

39歳の漫画家の男が自社で働く20代のスタッフをいきなり人格否定した挙句、自分の友人たちのヨメにしようと画策し始めるお話でした。いやぁ、醜いですね。勘違い成金クソ親父のパワハラ・セクハラ・オンパレード大会って感じです。

なるべく原作「ヒモザイル」を忠実に再現したつもりです。

「いや、まさかここまで来ると捏造でしょ?」と思われる方は公開中の原作をどうぞ。男女が逆転しているだけで、ほぼ全く同じ内容だと自負しております。


記事のオマケに「ヒモザイル」のアレな所を数えてみようクイズを設置しました。みなさんも一緒に考えてみてくださいね!

僕は記事執筆中だけでとりあえず12個みつかったぞ!!!20ページしかないのにね!☆彡
 



☆☆☆クイズ:この漫画のアレな所を数え上げてみよう!☆☆☆

答えは↓↓↓↓↓↓に!!!!!




























・主人公(上司)の部下に対する責任感がゼロ
・部下に仕事以外の私事まで部下に手伝わせるアレな職場
・外で稼いでくれば家事は全くしないでOK!という昭和の旦那様思考
・年収が高けりゃ10個下の異性でも余裕だろ!という昭和の成金思考
・端々の痛々しい「金持ってます」アピール
・「生活費を出してもらう代わりに精神面・肉体面・家事育児を全てサポート」(笑)
・専業主夫を「ヒモ」扱い。
・無償で子供を預かってくれた方々に対する冒頭女友人のあまりに失礼な物言い
・あと別に需要と供給ハマってないよね。「金があれば求められる」みたいな妄想どっから来たん?
・年収が高いだけで特に何の魅力も描かれなかった30代女友達たちが表紙でお姫様として描かれてて痛々しい
・編集の写真うpった挙句ハンガー以下とかも大分アレ
・てかお前が原稿上げないとアシ仕事できねえんだからサボってないでさっさと原稿書けバカ。「ミヤネ屋見てる場合なのか?」じゃねけよ。お前が「茶飲んでる場合なのか?」だよ。無駄に部下を拘束するなタコ。