『ダム放流を調節でも決壊 鬼怒川、国交省「加減難しい」 』 を検証するにあたり、 ・防災情報・リアルタイム ダム貯水量、放流量等の情報(鬼怒川ダム統合管理事務所) ・リアルタイム情報 雨量・水位情報(下館河川事務所) ・現在の利根川の水位・レーダー雨量情報(利根川下流河川事務所) (・『水文水質データベース』(過去3日分以前)) にてデータを入手し時系列にデータを揃えると、以下のグラフが得られる。 尚、各ダムのデータで「貯水率」とされているのは『用語解説』を参考にすると、「貯水率 (利水容量)」のようで、「貯水率(有効容量)」としてグラフに追加したのは「有効貯水量」を『鬼怒川とダムの紹介』から得て演算した。 さて、記事によると、 『9日午後0時40分から午後8時5分にかけて、放流量を減らして水をためる「洪水調節」を各ダムで実施した。事前に放流し、ダムの空き容量を確保していた。 下流の常総市で堤防が決壊したのは10日午後0時50分ごろ。各ダムは同日午後2時の時点で、総容量の約7割までを上限として水をためていた。』 とある。 本来の放流量に対して減らしていたのかもしれないが、11時頃から放流量は顕著に増え、13時過ぎから増加量は減ってはいるが増加を続けているのは変わりない。22時を過ぎるとやっと放流量が減少している。 グロスで見るとそうだが、単独で見ると五十里ダムはまだまだ貯水率(有効容量)があるのに放流し続けていることがわかる。 次に、 放流量と鬼怒川水位の関係を見ると、放流量の上昇後に経過時間を以って鬼怒川水位が上昇したことが見て取れる。 『鬼怒川上流ダム群の統合管理について』 によると、 「(塩谷町)佐貫までの到達時間は川治・五十里ダムからは6〜7 時間」との想定がされている。 川治ダムから塩谷町佐貫までは約30kmで、鬼怒川水海道は塩谷町佐貫からさらに概算95kmほど距離がある。 今回は、9/9-11時に放流量が多くなり9/10-1時には鬼怒川水海道で大きく水位上昇が観測でき、約13時間で到達したように見える。 越水が起きた9/10-6時前後に焦点を当てると、その対応する9/9-17時頃はまだまだ放流が続いている。 そして、堤防崩壊の起きた9/10-12時50分前後に対応した9/10-0時頃は、放流の増加が止まるか、やっと減少し始めたかという時点である。 これから考えるに、貯水量70%前後の放流量800㎥/s台後半が限界域で、これを越えたことにより越水、さらに堤防崩壊に至ってしまったとしか考えられない。まだまだ貯水率(有効容量)があるのに。 ここで、鬼怒川水海道の水位と流量の関係を確認してみる。 2001年のデータまでは水位データと流量データが別々ではあるがDLできるので、1/1〜12/31までをそれぞれをDLしプロットしてみたものである。 堤防崩壊の頃は水位が800cmを超えていたので、それからすると流量は約3,750㎥/sになる。ダムの放流量は800㎥辺りが限界域だったはずで、あまりに乖離がある。 ダム放流要因以外の増水が多かったのか、データのどこかに誤りがあるのか… ダムの放流量も1200㎥/s程度で絞っており、この辺りを限界域と考えていたのか… 確かに今後の流入量の増加は未知数で、それに備えて放流を行うのは尤もではあるが、どれだけ流したらどうなるか、流すこと以外の要因も見極め余裕度をどう考えいるのかは、国交省「加減難しい」だけの説明だけでは、納得はできない。甚大なる災害に至ったわけだから、どう運用していたか、どういう前提にしていたかを明らかにすることを期待する。原発運転と一緒だ。 水位(流量)測定点近傍の降雨の影響を単純計算してみると、 50mmで10時間持続すると単位面積当たり0.5㎥ 平均流速100cm/s=1m/s=3.6km/hと仮定し、川幅300mとしてみると、300*1*0.5=150㎥/s 鬼怒川水海道最大流量(推定)- ダム放流量(最大) = ダム放流以外の流量 3750㎥-1200㎥=2550㎥ 先の仮定で直接の降雨影響150㎥/sの約15倍程度の流量が生じている。 グラフを見るとダム放流量に同期して水位の上昇が見られるが、鈍った分が降雨の影響と考えられるが、先のダム放流以外の流量の大きさが大きすぎ、よく解釈できない。 また、Nスペでバックウォーター現象が要因であった可能性もある旨、環境防災総合政策研究機構(河川防災専門)・松尾一郎氏が考察された映像があったが、距離差と水位上昇の関係からすると、それは無理な考察のようにしか思えない。 今回の大災害が、組織連携が取れていないことによる人災でないことを願うばかりだ。 |
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