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Yukibou's Hideout on Hatena

自分用備忘録的な何か。

君は、超難解方言「西諸弁」が使われた、この動画を見たか。

雑記
超秀逸動画。

いま、ある動画がネット界隈を賑わせている。一人のフランス人が、宮崎県の小林市の魅力を静かに語るという動画だ。 テレビでも取り上げられたので、見たことがある人も多いと思う。

www.youtube.com

この動画、フランス人のナレーションが入り、字幕も付いているため、いかにもフランス語で語られているのかとおもいきや、動画の最後で「ところで気がついただろうか、私がここまで西諸弁(にしもろべん)でしゃべっていたことに」と、種明かしをされる。

自分も、当然フランス語で話しているものだと思っていた。なぜなら、単語を何一つ聞き取れなかったからだ。だから、オチを聞いた時は本当に驚いた。作った人は本当にセンスがある。現時点で130万回以上再生されているが、それも頷ける。

この動画は、小林市の「てなんど小林プロジェクト」という取り組みの一環として作られたものだ。

ちなみに、その「てなんど小林プロジェクト」とは…

tenandoproject.com

地域の魅力(風景、風土、歴史、生活習慣、住民、方言等)を発信することで、市民の郷土に対する誇りや愛着の醸成とともに、都市住民との交流につなげ、交流人口の拡大と定住人口の増加を目的とし、小林市の魅力を様々な視点から見つめ直し、磨き、新たな形のものとして発信していきます。

「てなんど」とは、小林市を含む西諸地域の言葉(西諸弁)で「一緒に」という意味の「てなむ」と、地域資源のブランド化をしたいという思いの「ブランド」をつなぎ合わせた造語です。 

という、いわば地方創生プロジェクトのようなものらしい。 

 

超難解方言「西諸弁」

この動画で使われている「西諸弁」は、かなり難解な方言だ。なにしろ、イントネーションやアクセントだけでなく、単語そのものが標準語とかけ離れているのである。

てなんど小林の公式サイトに、「西諸弁標準語化計画」というコンテンツがあり、そこに西諸弁と標準語がいかに違うのかを解説したポスター等が沢山見られるようになっているのだが、これがまた面白い。

幾つか抜粋してみると…

はんとける=転ぶ

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へたたっぼう=ハエたたき

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あんどせた=飽きた

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よんごひんご=曲がりくねっている

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やっせん=役に立たない

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ぎゅった=ゴム

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べぶ=牛

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ラーフル=黒板消し

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ぴ=トゲ

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どうだろうか。一見日本語とは思えないような単語が次々と出てくる。最後なんて「ぴ」である。これらの単語が流れるように話されるのが、西諸弁なのだ。

まあ、西諸弁にかぎらず、方言というものはその地域によって色々な言い回しがあって、例えば青森県くらいまで行くと、やはり標準語とかなりの違いがあって、字幕をつけないと理解できないレベルになったりするのだが、このてなんど小林プロジェクトは、それを逆手に取ったユニークな方法で西諸弁をアピールすることに成功していると言えるだろう。

 

忘れられつつある方言。

自分は、高校卒業後に関東の大学へ進学した。その時に、田舎者だと思われたくなかったので、イントネーションやアクセントに気をつけたり、迂闊に方言を口にしたりしないように、かなり気を使って会話していた。

そのせいか、東京での仕事をやめて地元へ帰ってきた時には、すっかり地元の方言を忘れてしまっていた。周囲の人達が普通に方言を話しているのに、自分はまだ標準語を話し、なんだかどっちつかずの状態になってしまっている。

「ゆきぼうくんは、言葉が綺麗だね。こっちの人じゃないみたいだね」と言われることも多いが、それは果たして褒め言葉なのだろうか。地元に帰ってきたのに、なんだか馴染めていない。そんな気がしてならないのだ。

それに、方言自体が忘れられつつあるという事実もある。実際、自分の親の世代と自分たちでは使う方言の数に差があるし、もっと若い世代ではますます方言を話さなくなっている。テレビなどの影響で、特殊な方言は忘れられるつあるのが実情だ。それは、西諸弁も同じである。だからこそ、ああいう地域創生プロジェクトが立ち上がったのだろう。

今回、このてなんど小林プロジェクトの作成したPVを見て、方言をはじめとする地域の魅力について、少し考えさせられた。

自分も、いつまでも標準語ばかり話していないで、もう一度地元の方言と向き合ってみようかな…とかなんとか思っちゃったりした、シルバーウィーク最終日でした。