ある日、父(定年退職して無職)が外出先から帰って来るなり、今しがた聞いてきた講演会について話し始めました。
普段は何についても、いいも悪いもどちらにも傾かずに感想を述べる父ですが、その日はめずらしく憤慨した様子でした。
それが、2015年8月22日にアステ川西で開催された川西青年会議所(川西JC)主催の樋渡啓祐氏の講演会です。
父は何に憤慨していたのか、それは書き並べると下記のようなことでした。
- 話が分かりにくい。講演の内容が武雄市、樋渡氏のことを知っている前提だった。(まあ、でもこれはある程度しかたないとも)
- 口が悪い。言葉遣い(悪口)が汚かった。
- 女性蔑視のセクハラ、病気の職員へのパワハラまがいの言動があった。
- それらを笑いのネタにして、観客もヘラヘラ、ゲラゲラ笑っていた。
- 講演中に繰り返し読書を薦めていて、それ自体は普通だが、講演後に自著販売していたので呆れた。
- 講演で、自身のスマホ事業の宣伝、勧誘をしていた。
- ポイント、ポイント、うるさかった。
- 結果は数字だと言うが、その数字がよく分からなかった。
- 格言的なメッセージ部分は、どこかで聞いたような話ばかりだった。
- なぜあのような人が各地でちやほやされているのか不思議だ。
父から質問されたのは、「48億7千万」という数字の意味、「Googleの検索の数」の意味でした。講演で示された映像でグラフが示されたそうです。
私が、それだけでは分からない(武雄市問題のそれらについてはネットで調べれば、どなたかが書いていただいていることを知ったのは後日でした)と言うと、講演の録音があるのでそれを聞いて教えてくれと言われました。
父は片耳が聞こえず、もう片方の耳も遠くなってきています。定年後の生活で、時間つぶしにこうした講演会やセミナーにときどき出かけているのですが、聞こえなかった場合にそなえて毎回ICレコーダーを持参して録音しているのです。
父のそのような反応に興味をもったこともあり、私はその録音を聞いてみることにしました。聞いて、父が憤慨している理由が分かりました。しかし、父からの質問の数字の意味(算出方法、単位)は、私にも分かりませんでした。
ネットで調べてみると、武雄市や樋渡啓祐氏については、数年前から問題が積み重なっていることがわかりました。
いっぽうで樋渡啓祐氏の実績や、講演内容を、高く評価する人がいることも分かりました。実際、川西JCでの講演会も講師として招かれていますし、このような言動であることを承知の上で、各地の講演に呼ばれているようです。
樋渡氏の講演での言動を問題にしていない人は、あれはユーモアである、失言のあとでちゃんと嘘です、冗談ですと言っている、その前後に真意があるのに、とネットで発言されています。
私も、講演会の最初から最後までその場にいた父の反応や録音がなければ、講演を聞いたわけではないし、そうなのかもなあ、と思っていたかもしれません。しかし、録音を聞くかぎり、ユーモアや冗談ですまされるような発言内容ではないように思いました。
問題か、問題でないのか、執拗に言葉尻をとらえてあげつらっているだけなのか、講演の初めから終わりまで、その一字一句をそれぞれが読み、判断すればいいと思い、書き起こしてみようと思い立ちました。
この講演内容を読んでもなお話を聞きたいと思えば、樋渡氏を呼べばいいと思います。
2時間弱ある録音なので、書き起こしに時間がかかってしまいました。その間にも、可児JCではさらにひどい発言があり、樋渡氏自身がお詫び文を公開する事態にもなりました。
私が録音の書き起こしを進めているあいだ、父は父で、講演で樋渡氏自身が言及していたAERAや週刊朝日を入手して読み、低く唸っておりました。
備考
- 樋渡氏の登壇部分だけでなく、主催者挨拶など講演会の始まりから、質疑応答、閉会の挨拶まですべて書き起こしています。
- 長いので30のエントリーに分割しています。タイトルに#00〜#30まで連番が付いています。
- エントリーは「要旨」「全文」に分かれています。
- 要旨は、私が要約したものです。私は批判的な立場ですので、それが反映されていることと思います。
- 全文は、録音内容そのままの書き起こしです。言い間違いなどで、意味の通じない部分がありますがそのままとしました。
- 全文の赤字部分は、要旨をまとめる際につけた目印ですが、話題を見つけやすいのでそのままとしました。
- 「?????」は聞き取れなかった部分です。
- 書き起こしの文中、人名の敬称は省略しています。ご容赦ください。
- 聞き取り間違い、誤字脱字も多々あろうかと思います。ご指摘いただければ修正いたします。
謝辞
- 前提知識がないと書き起こせない部分が多々あり、そのたびに数々のサイト、ブログを参考にさせていただきました。ありがとうございました。