JAバンクあいち ドームドッジ2015
2015年11月29日
ナゴヤドーム
暮らし音、におい…耐えがたい刺激に 子の「感覚過敏」に対処を
身近な音や光、におい、肌触りなどを、耐えがたい強烈な刺激に感じる人がいる。「感覚過敏」と呼ばれ、発達障害の人に伴う場合もある。「感覚過敏の子の気持ちを知り、対処法を考えて」と、自身も感覚過敏の看護師、細尾ちあきさん=さいたま市=が二十五日、精神科医の北野陽子さん=同市=とともに、絵本「発達凸凹なボクの世界 感覚過敏を探検する」(ゆまに書房)を出版する。 細尾さんは幼いころ、祖母の葬儀で気分が悪くなり、嘔吐(おうと)した。なぜ気分が悪くなったのか自分でも分からなかったが、両親や親類は「とても悲しんでいる」と受け取ったようだった。 しばらくして、線香のにおいで気分が悪くなることに気づいた。服の肌触りでも違和感がある繊維もあり、母親が出してくれた服を着て外出したものの、外で着替えたこともあった。大人になってから、感覚過敏の人がいるということを知り、「自分の感覚とぴったり合う」と分かった。 細尾さんにとって、街の中は刺激だらけ。本は、イラストの色使いや文字の形によって目が受け付けず、情報が頭に入ってこない。特に、家電量販店のテレビ売り場は耐えがたい空間だ。 ただ、社会生活を営むため、自分なりの工夫をしてきた。墓参りは、線香がたくさんたかれているお彼岸の昼間は避けて行く。本に使われた苦手な色は、白黒コピーにして読む。 三年前、元同僚の北野さんと心理教育絵本を制作する事業所「プルスアルハ」(同市)を設立。精神障害の親を持つ子への支援を始めた。 細尾さんによると、感覚過敏の子どもは症状を周囲から理解されないことで、自信を失ってしまうことがあるという。「子どもの感覚過敏に早めに気づいてあげられれば、怒ることが減り、子どもも自信を失わずに済む」と話す。 感覚過敏は目や耳、皮膚などに受けた刺激を脳が受け止める際の特性と考えられている。北野さんは「感覚は他人との比較が難しく、子どもが自ら過敏だと気付くことは難しい。周囲が気付いて、対応を一緒に考えることが大切」と強調する。 ◆絵本で対処法分かりやすく絵本の主人公タクは、聴覚や触覚、嗅覚が過敏。教室の騒がしさは耳に突き刺さるように感じ、衣服も特定の肌触りでないと落ち着かない。苦手な服を脱いで授業を受けているところを、授業参観で母に見つかり、家でしかられてしまう。 さまざまなトラブルを起こすタクに接していた学童保育のスタッフが、「タク君は感覚過敏では」と気付く。これをきっかけに、母親や教師が、タクが安心して生活するにはどうしたらいいかを考えていく。 巻末の解説では、過敏の例を記載=表参照。光ならサングラスをかけ、音なら耳栓を付け、苦手なものは避けるのが大原則。苦手な食感の食べ物も無理強いしない。「感覚過敏を周りに伝えるためのシート」も付けた。 (佐橋大) PR情報 |
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