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【月刊正論】
ヘイトスピーチ規制法案の危険性は人権擁護法案より凄まじい! 八木秀次(麗澤大教授)
※この記事は月刊正論10月号から転載しました。ご購入はこちらから。
■ヘイトスピーチは問題だが…
いわゆるヘイトスピーチに対処するとして5月22日、民主党、社民党、無所属の議員で参議院に提出された「人種等を理由とする差別の撤廃のための施策の推進に関する法律(案)」(人種差別撤廃施策推進法案)が、8月4日に参議院で審議入りした。メディアではこの法案を「ヘイトスピーチ規制法案」と呼んでいるところもあるが、共同提案者の一人、民主党の有田芳生参院議員は、法案は罰則規定もなく、「人種差別は違法だ」と国が宣言する理念法であることから、「規制法案」と呼ぶのは「誤報だ」と指摘している(8月5日、ツイッター)。
だが、規制法ではなく理念法を制定しようとするところに、この法案の本当の狙いが透けて見える。要はヘイトスピーチを止めさせることに目的があるのではなく、ヘイトスピーチへの対処を大義名分にして、別のことを実現しようとしているのではないか。法案の内容を検討するとそのような疑念が生じてくる。