「シェアWifi」と「Wifiシェア」の問題点と進捗状況

「Wifiシェア」が高木浩光先生に目をつけられて、そのついでに「シェアWifi」の記事もリツイートしていただいて多くの人に読んでいただいたので、その問題点をまとめます。

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「シェアWifi」と「Wifiシェア」は別物

まず、紛らわしいのですがシェアWifi」と「Wifiシェア」は別物です

シェアWifi

私が主に記事にしたのはこちらです。利用上の問題点は「電気通信事業者の未申請」「プロバイダとの契約違反」と「セキュリティ問題」で、事業者はその問題点をほとんど説明していません。
ユーザに対してきちんと説明しようとしない事業者の態度が最大の問題と考えています。

Wifiシェア

高木先生が主にツイートされているのはこちらです。
こちらもシェアWifi同様に「電気通信事業者の未申請」「プロバイダとの契約違反」と「セキュリティ問題」がありますが、事業者は法的問題はきちんと説明したうえでクリアにしようという目的でmakuakeで資金集めに成功しています
ただ、現在のところアプリの実装方法にセキュリティ上の大問題があり、高木先生はそれをやり玉にあげています。

それぞれの問題解決状況

「シェアWifi」はほぼ進捗なし

シェアWifiについては「利用規約で電気通信事業法の適用除外範囲で使うように求めている」というご指摘を複数いただきました。
確かに利用規約「第7条 本サービスの利用条件」にはこう書いてあります(強調は私によるものです)。

2) 本サービスは同一構内(これに準ずる区域内を含む。)での利用を前提としたサービスであり、電気通信事業法第164条第1項第2号に定められる電気通信事業法の適用が除外され手続きが不要とされている範囲のみでの利用を行うことにサービス利用者は同意し、WiFiを提供する者もWiFiを利用する者も厳守し、WiFi利用者は必ず同一構内(これに準ずる区域内)からの利用を行うものとします

強調部分は適用除外を受けるための要件となる点です。適用除外の要件は次のサイトに詳しいです。

電気通信事業法|適用除外規定 (行政書士はやし事務所)

つまり、ご家庭でこのサービスを使う場合は「利用者を家に招き入れて使ってくださいね」ということになります
字面通り受け取ると、サービスが成り立たなくなってしまいます。それなら直接現金を払えばいいのですから。

課金方法から考えると「直接に会うことなく家の外で使う」ということを前提にしているはずで、説明ページの絵でも部屋の外で使っています。
こうなると「電気通信事業者の未申請」「プロバイダとの契約違反」という既知の問題に加えて「シェアWifiの利用規約違反」という3つ目の問題が出てきます

利用規約の更新日時は「制定: 平成27年5月2日」となっています。8月に利用規約を確認した段階ではこの項目に気づきませんでしたので、見落としたか、あとから書き換えたのか、どちらかわかりません。どういうわけか利用規約ページはウェブ魚拓にもgoogleキャッシュにも載らない形で実装されていますので、明確な裏を取れていません。

「Wifiシェア」は進捗あり:電気通信事業法は解決

Wifiシェアの方に進捗があり、Wifiシェアは電気通信事業者の届出が不要であると確認できたそうです
総務省の担当者とのミーティング結果ということなのであとから解釈がひっくり返る可能性も残っていますが、これで電気通信事業法についてはクリアということになります。
残る法的問題はプロバイダとの契約内容になります。

また、セキュリティ問題は現在の実装が大変まずいことになっています。



事業者に通信の秘密を守ろうとする意思はあるか

そもそもなぜ届出が必要かというと、通信の秘密を保護することで公共の福祉に供するためです。

電気通信事業法 (強調は私によるものです)

(目的)
第一条  この法律は、電気通信事業の公共性にかんがみ、その運営を適正かつ合理的なものとするとともに、その公正な競争を促進することにより、電気通信役務の円滑な提供を確保するとともにその利用者の利益を保護し、もつて電気通信の健全な発達及び国民の利便の確保を図り、公共の福祉を増進することを目的とする

もともとは国家が手紙を検閲できないようにすることから「通信の秘密」について保護しようと始まったものですが、私企業にも同じ考えを援用しています。

ユーザを危険にさらすものは公共の福祉になりません。

Wifiシェアは問題を解決して世の中を便利にしようとする姿勢が感じられ、今後の改善に期待しています。
シェアWifiはそれが感じられず、怖い存在だと思っています。

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