就活生に告ぐ:どこに行ったってダメな自分は一緒だよね『すみっこの空さん』 誰もが自分が見た景色だけを、 世界の限界だと思い込んでいるからね
「もう10月か・・・何やってたっけこの半年間・・・」
10月も近づき新卒で入社した人たちも折り返しの時期ですね。同期と会うたびに疲れた目をしていることに不安を覚えずにはいられません。「3年は何とか耐えろ」とはよく聞く話で、なんとなく暗黙の了解になっていますよね。けど、中には、3年なんて待てない、そろそろ違う場所に行きたいという声も聞こえてきます。でも、本当に場所を変えれば何か変わるの?そんな日常の中で感じる様々な疑問に空ちゃん(幼女)が純粋な目線で考えるヒントをくれる。そんなマンガです。
このマンガでは日常の様々な出来事を、空ちゃん(ソクラテス)と亀のプラトンを中心にゆっくり、まったりと哲学していきます。主人公は東京に憧れて田舎を出て都会の大学にいくも、上手くいかずに田舎に戻ってきた若者(神様)です。そこで、空ちゃんと出会い、空ちゃんとその周辺の人々との係わり合いの中で様々なことが哲学されていきます。
主人公は夢に破れた若者
都会に出て絵本作家になって、でも、上手くいかないで、夢が破れたからフリーランスになって、フリーターに・・・すごくいい人だけど、どこか弱弱しい若者がこのマンガの主人公です。
(『すみっこの空さん』1巻より)
夢見る高校生夕ちゃん
人は自分が今どんなところにいるのか、今いる環境がいいのか、それとも悪いのか当事者である限りはなかなかそれに気づくことはできません。田舎の人は都会に憧れるし、都会の人は田舎に憧れます。僕自身も島や山の暮らしにあこがれを抱いていますし、就職先にも過度に期待していた時期がありました。
(『すみっこの空さん』1巻より)
悟っている主人公
実際に場所を変えて、頑張って、それでも挫折した主人公は夕ちゃんの一歩先を行っています。「3年はやれ」という人たちと同じように、僕らには見えていないところからそれを見ています。そして、そんな憧れの地はどこにも存在しないかのように話します。
(『すみっこの空さん』1巻より)
人は年齢ごとに経験が増えて、成長して、見えるものも考えも違ってきて、世代間ではも大きく違うと思います。最近安保法案の問題が世間を賑わせていますが、安保法案の問題を考える若者よりも、目の前の就活で苦しんでいたり、ブラック企業で働いていて、つぶれそうで苦しんでいる若者の方が僕は共感できます。本当は戦争を経験しなかった団塊の世代から何を言われたとしても、僕らが心から彼らのことを理解することはないでしょう。僕らとしては「そんなことより、これからさき、本当に食べていけるかの方が心配だ」と考えている人が大多数なのではないでしょうか。僕は未来の戦争を考える前に、目の前の競争を戦い抜くので精一杯です。
20そこそこはまだ人生が始まってもいないかもしれません。僕らの舞台装飾は遠くから見ても近くから見ても同じなのか、それとも違うのでしょうか。
そして、こうした引用句がそれぞれの物語に散りばめられていることが、このストーリーをもう一歩踏み込んで考えるいいきっかけになっています。このマンガにはこの物語以外にも、「ふだん何気なく接しているけど見過ごしていること」を深く考えるきっかけとなる物語が含まれています。仕事をやめようと考えている人、人生に疲れた人、なんかもやもやしている人は時間があるときに、読みかえしてみるといいです。これからの自分を考えるきっかけになるはずです。
空ちゃんは圧倒的天使
そして、マンガは哲学という難しそうなテーマを扱っていながら、空ちゃんという天使によって、マイルドかつ分かりやすい形になっています。
(『すみっこの空さん』1巻より)
というか、空ちゃん可愛いよなー、いいなー。
みんなでレッツ哲学(てちゅがく)!!
考えるってわからないという人はぜひ野矢先生のこちらの本もどうぞ。
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