酒本友紀子、赤井陽介、池田良
2015年9月22日02時18分
大規模な洪水に見舞われた茨城県常総市では、発生から11日経った21日も、1300人の市民が市内外の避難所で生活を続けている。水道は21日夜になって、市内全域で復旧したが元の生活に戻れる見通しは立たない。障害のある人や、自閉症の人がいる家族は不自由な毎日を強いられている。
石下(いしげ)総合体育館で避難生活を続ける斎藤哲雄さん(66)は文字が認識できない「視覚失認」という障害があり、妻の純子さん(61)は全盲だ。
洪水が発生した日、2人は自宅2階に取り残され、ヘリで救助された。視覚障害者が使う白杖(はくじょう)は、つり上げられる際、置いていかざるを得なかった。2日後にボランティアの車で白杖や、時刻を音で知らせる腕時計を取りに行けたが、周囲に人が多い中で動きづらい状況が続く。
避難所でラジオをつけたままにもできず、被害状況や復旧の情報は、新聞を読んでもらったり、人に聴いたりして得た。「耳からの情報が少なくて不安だった」と2人は言う。
自宅にヘルパーを派遣してくれていた市社会福祉協議会の職員と連絡が取れたのは、1週間ほど経ってから。一時的に入所できる福祉施設を探してもらっている。自宅は損壊が激しく「このまま老人ホームに入るか、新しい家を探すか」。先行きが見えず、2人は不安を募らせる。
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朝日新聞社会部
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