世論反対でも成立強行か
- 2015年09月02日
- 社説
■9月も行事がめじろ押し
9月を迎えた。暦の上では秋だが、南国八重山はまだまだ暑く、熱中症は引き続き注意が必要だ。9月といえば防災の日の1日から各学校は2学期が始まり、運動会シーズンを迎える。25日は石垣市恒例のとぅばらーま大会があり、18日は県が独自に条例を定めた方言普及の「しまくとぅば(島言葉)の日」、21日は「敬老の日」だ。
さらに9月はバス利用促進、がん征圧(せいあつ)、障害者雇用促進、食生活改善普及などの各月間や海難防止、ハブ咬傷(こうしょう)防止運動のほか老人、自殺予防、結核予防、動物愛護、環境衛生、救急医療の各週間行事も多彩に展開される。
各市町村では9月定例議会が開かれるが、石垣市では建設位置決定の遅れが懸念される市庁舎建設、竹富町では有識者委の提言で新たな局面を迎えた役場移転が大きな論点になるだろう。
竹富町の長年の懸案である役場移転は、町民への行政サービスを低下させることなく、西表島への移転も実現するという案が有識者委員会から示されており、議員各氏は従来のように反対のための不毛の議論は避けるべきだ。
辺野古の新基地建設も9日に1カ月間の集中協議を終える。知事は埋め立て承認を取り消して、強硬姿勢の国にしっかりと沖縄の意思を示すべきだ。
■「60日ルール」で強行も
そして何より今月は、従来通り「平和国家」に踏みとどまるか、「戦争する国」に突き進むのかの日本の命運が決まる重要な月だ。7月に衆院で強行採決された集団的自衛権行使の「安全保障法案」は、今月27日の会期末を控え、与党が参院でも採決を強行の構えにあり、加えて14日以降は参院が採決しなくとも衆院で再可決できる「60日ルール」も適用可能となるからだ。
こうした大きなヤマ場を迎え、去る8月30日は沖縄を含む東京、大阪、仙台、北海道など全国200カ所以上で同法案の「廃案」を求めて集会とデモ行進が行われ、学生から子を持つ若いママさんたちまでが世代を超えて安倍政権と「戦争法案」にノーを突きつけた。
特に国会前では雨の中、主催者発表で過去最大規模の12万人が車道を埋め尽くし、ドラムや拡声器を使いながら「安倍首相辞めろ」「子や孫に戦争させない」のプラカードを掲げてシュプレヒコールで声を張り上げた。
■世代超え広がる廃案求める声
このように大勢の人々が国会議事堂などを取り囲んだのは、やはり同法案と安倍政権への危機感の表れだろう。
憲法学者から「憲法違反」を指摘され、野党からは「戦争法案」「欠陥法案」と批判される同法案は、国会で審議が進むにつれてそのあいまいさ、危うさが次々と露呈。それに伴って「廃案」を求める声は憲法学者から元内閣法制局長官、弁護士、大学教授、作家や映画監督、歌手、商工人、医師・看護師、学生、若い母親など世代や立場を超えてますます広がるばかりだ。
こうした国民世論を示すように各メディアの世論調査でも、今国会での法案成立に賛成は2割強で6割以上が反対している。それを政府・与党が巨大与党の数の力であえて強行するならこの国に国民主権はなく、それはもはや独裁国家としか言えないだろう。
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