2011年6月28日12時23分
大阪市西成区のあいりん地区(釜ケ崎)で長年、労働者の娯楽としての役割を担ってきたアナログ型の街頭テレビが27日、地上デジタル対応の薄型に取り換えられた。購入費には、資金難から地デジ化の予定がない、とする新聞報道に接した市民から寄付された現金があてられた。
地区中心部にある萩之茶屋南公園(通称・三角公園)の一角に据えられた街頭テレビは、1964年の初設置以降、主に地元の福祉団体「西成愛隣会」が寄付金で購入し、寄贈を受けた西成署が管理してきた。地デジ化のための費用が工面できない状況が、朝日新聞で報じられたところ、複数の市民から計6万円が同署に現金で届いたという。ほかにも、西成愛隣会や朝日新聞に寄付の申し出が20件以上あった。
新しいテレビは、この6万円を元手に西成愛隣会が購入。27日午後、業者が高さ2.1メートルにある鉄箱から29インチのアナログテレビを取り出し、26インチの薄型テレビを取り付けた。居合わせた労働者たちからは「地デジ化や」と歓迎する声も上がった。支援者の一人は「善意が集まってよかった。これからも大切に使ってほしい」と話していた。(宮崎園子)