今日「シェアWifi」がサービスインしたとプレスを打っています。家庭用回線などをWifiを通してシェアするというサービスですが、法的な面とセキュリティ面から考えるとこれは使ってはいけないと思われます。
「シェアWifi」とは何か
CtoBtoCでのWifi回線の共有を行うサービスです。提供者はシェアWifiにSSIDとパスワードを登録し、利用者はチケットを買うことでパスワードを手に入れます。
プレスはこちらです。
WiFiの共同利用を可能にする日本初のWiFiシェアリングプラットフォーム「シェアWiFi」をリリース!|シェアWiFi株式会社のプレスリリース
ほかのプレス代行業者にも打っているため、結構な数のメディアに載っているようです。
類似のものとして「Wifiシェア」というものがあり、クラウドファンディングサイトmakuakeで目標金額150万円をsuccessさせています。
シェアWifiは2015年5月1日設立、Wifiシェアは4月27日で大変紛らわしいのですが、おそらくまったく別の組織です。
なぜかというと、既存の問題に対するスタンスが全く異なります。Wifiシェアはきちんと考えられていますが、シェアWifiは意図的に無視しているか、知らないようです。
法的問題:プロバイダとの契約内容と電気通信事業者の届出
Wifi回線をシェアするアイデア自体は10年前にすでにFONが実現しています。また、ソフトバンクモバイルが機器を無料配布したため、かなりのアクセスポイント数があります。
このとき問題になったのがプロバイダとの契約内容です。大手プロバイダの多くが規約で「第三者への提供を不許可」としています。
ただ、FONの場合は回線再販ではなくボランティアです。プロバイダへのデメリットが無視できるほど小さいため問い合わせても消極的なNGであることが多く、中には許可しているプロバイダもあります。
この点についてはWifiシェアは「個人がWifiを公開する際に解決すべき課題」として明示しており、また、プロバイダとの交渉を行うとも明言しています。しかし、シェアWifiは特に言及していません。
また、国外ではFONは有料シェアを可能としていますが、国内では無料シェアのみとしています。
これは、有料で回線を提供する場合は電気通信事業者の届出が必要になるためです。個人が電気通信事業者の届出を出すのはハードルが高すぎます。この問題をFONは単純に回避しました。日本での有料回線シェアサービスを行わなかったのです。
Wifiシェアはこの点も課題として挙げています。シェアWifiは言及していません。
届出を出すのは回線提供者であるユーザです。ユーザも法的問題を問われることになりかねません。
セキュリティ問題:回線共有による情報漏えい
シェアWifiでは特段のソフトは必要としないため、セキュリティを守るのはユーザだけになります。
一般的なWifi機器のSSIDにつなげたらどうなるでしょうか? 同一LAN内にあるパソコンの情報が筒抜けです。
テレビ録画などの情報共有ができるようになっていたり、ファイルサーバ機能が用意されていることがあることもあります。Windowsのインストール時に全部「はい」としていると、ドキュメントフォルダの中身まで共有されています。
この家庭内LANの中に第三者が入ってくることになります。
きちんと設定できる人であれば回線共有してもセキュリティを保てます。しかし、一般ユーザがきちんと設定できるとは思えません。
また逆に、回線を利用する側も、回線提供者に通信内容を覗き見されないようにする必要があります。これは公衆Wifiスポットでも同じ問題があるためSurfEasyの導入など対策は打ちやすいです。
事業者の態度として感心しない
上記2つの問題について言及していないのは事業者としての良識がないか、もしくは無学です。
一方でプレスを打ったり、Wikipediaに書いたり、紹介プログラムなど拡散のための行動は活発といえるでしょう。何も知らないままにユーザが使ってしまうことがあり得ます。
空き部屋シェアのairbnbが旅館業法などの法的問題をクリアにしないまま世界的に広まってしまっていて各国でグレーゾーンになっています。シェアWifiの場合はそこまで広まるとは限りませんが、問題を置き去りにして便利性を追求するのはIT産業の悪いところと思いますのでこのように記事とし、注意喚起となればと思います。