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【神奈川】

学生ら新たな誓い 安保法成立 社会の雰囲気変わった 日常的に政治議論

安保関連法案の審議中、反対を訴え続けてきた「ママの会」メンバーら=西区で

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 集団的自衛権の行使などを認める安全保障関連法は、自民、公明などの賛成多数で可決成立した。だが、安保法をめぐる議論は県内でも政治運動とは遠かった人たちの心を突き動かした。疑問、反対を唱えた主婦や学生…。国のあり方をめぐる議論に、終わりはない。 (原昌志、猪飼なつみ)

 「ママたちはしぶといよ」−。横浜市中区の主婦樋口敦子さん(50)は、仲間たちとの合言葉を口にする。法成立にもくじけていない。二十一歳と十九歳の息子の母。安保関連法案に反対するママの会@神奈川のメンバーとして、野党だけでなく自民党にも「良心を見せて」と働き掛けてきた。

 「憲法を逸脱している。でも安倍政権の悪口だけでは、向こうも『何言ってるんだ』で終わってしまう。そうじゃなく話をして、少しでも分かってもらいたかった」。県連会長で党国対委員長代理の小此木八郎氏や、党行革推進本部長の河野太郎氏ら県選出自民党衆院議員に会い、菅義偉官房長官の元秘書の市議にも思いを伝えてきた。

 採決は止まらなかった。それでも「今回の出来事の前と後では、社会の雰囲気はガラッと変わっている。今度は法の廃止を目指したい。地道に、粘り強く」。著名人を招いた講演会、各党への働き掛けを続けていくという。

 神奈川大二年の加藤有沙さん(20)=平塚市=も「終わりではない」と自らに言い聞かせる。「学内で政治的な話はできない雰囲気だったのが、安保ってどうなの、と日常的に話すようになってきた」

 法は成立しても「次の選挙、その次の選挙でもダメだと思ったことを忘れないでいてほしい。学生として、できることを発信していきたい」と、憲法の学習会で知り合った仲間たちとデモを企画した。「さよなら、戦争法案。神奈川学生デモ」と名付けた行動で、二十日午後四時から横浜市中区の山下公園で集会を行い、桜木町周辺へ歩いてアピールする。

 一方、憲法改正を掲げる右派系団体、日本会議神奈川副運営委員長の木上和高さん(69)=鎌倉市=は「中国など周辺国の状況を考えれば安保法は必要だ。憲法の枠内にも入っている」と話す。ただ、首相補佐官が「法的安定性は関係ない」と発言したことなど、与党の対応に一部首をひねった場面もあった。「発言は気をつけた方がいい。政府もわれわれも、必要性を分かってもらう世論づくりは今後もやっていかなくては」

 漠然とした不安を抱えながら、関心を持ちきれていない人もいる。横浜市南区の大学三年生大橋理恵さん(20)は「祖父が戦地から奇跡的に生還したので、父から戦争は絶対反対しなさいと言われて育ったから反対だけど…」と話す。「身近な話ではないから実感がわかない。安保法案を理解しなければとは思っていたけれど、ニュースを見てもあまり関心が持てず、今の日本の状況もよく分からない」と複雑な表情を見せた。

 

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