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突然壁を蹴る。友だちにいきなり殴りかかる。 小学生の暴力行為が昨年度…
突然壁を蹴る。友だちにいきなり殴りかかる。
小学生の暴力行為が昨年度、1万1千件を超え、過去最多になった。文部科学省の調査でわかった。
中高生が前年度より減ったのと対照的だ。8年前の3倍余りに上る。特に低学年で増えた。
学校が軽いものも報告するようになったとの指摘もある。だが被害者が病院で治療を受けた例は1400件近くもある。
集団で教員に反抗した、かつての校内暴力とは違い、個人でいきなり怒りを爆発させる例が多いと現場の先生らは言う。
攻撃に走る理由や背景を探り、対応を考える必要がある。
小学生の暴力行為は、なぜ増えているのか。「貧困などで入学前の家庭教育が十分でない例が目立つ」と文科省は見る。
それだけで説明はしきれない。専門家は言う。家庭や地域で人との関わりが薄くなったためでは。親の虐待の影響もあるだろう。食生活や睡眠不足やゲームのせいかも……。
確たる結論はない。だが、大人や社会の変化が影を落としているといっていい。一人ひとりの子のなかで、要因が複雑に絡み合っているのではないか。
それだけに、学校の役割は大きい。
まず必要なのは、その子の行為の背景や要因を丁寧に解きほぐすことだ。厳罰で抑えても、根本的な解決は難しい。「困った子は困っている子」と考え、本人の声に耳を傾けたい。
保護者と話し合って理解を深め、児童相談所や民生、児童委員と連携することが重要だ。
先生が十分指導できるよう態勢を整えることも欠かせない。
小学校は学級担任制だ。クラスの中で起きた問題は担任教師が抱え込みがちになる。
これを乗り越えようとしたのが横浜市だ。各校で1人ずつ、児童支援の専任教諭を決め、授業時間を減らす。その分、暴力行為やいじめ、発達障害などに積極対応できるようにした。
この方式は他市にも広がりつつある。文科省はそんな自治体の努力を支援してほしい。
子ども自身に人間関係づくりの力をつける教育も大切だ。
ゲームを通じて互いの気持ちを理解する。対立したとき、力に訴えず思いを伝える。そんなプログラムがある。異なる年齢の子ども同士での活動を増やしてもよいだろう。
暴力を許さない姿勢は、いじめを減らすことにもつながる。
学校という小さな社会を、どの子も安心できる場にする。それは大人の役目である。
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