(伝助)今日はキララと栞の姉妹。
この2人を16年前に捨てた母親の話だ。
(伝助)母親には娘たちを置いていった彼女なりの理由がある。
しかしその理由が何であれ子供を捨てるなんて絶対に許されるこっちゃねえよ。
あの母親。
いまさら何しにのこのこ出てきやがったんだ?
(うがいをする音)
(女性)どうしたの?キララちゃん。
(キララ)無理やりキスされた。
ああー。
キモい。
(女性)前なら平気でケンカ売ってたのに。
(キララ)だよね。
(キララ)私も少しは大人になったんかな?
(圭子)ごめんね。
お父さん書き置き一つ残さずに女と行方をくらましちゃったし私も再開した仕事がブランクあったから若い連中についていけなくってぼろぼろになっちゃって。
(栞)それが私とお姉ちゃんを捨てた理由ですか?言い訳ですか?言い逃れですそんなの。
あなたは私たちを捨てて男の人に走った。
あなたにとって私たちは手の掛かるめんどくさい存在。
だから男に逃げた。
(圭子)そうじゃないの。
彼は…。
今の主人だけどイタリア人で私のデザインを早くから認めてくれてて。
私将来に懸けたの。
だから言われるままにミラノに飛んだ。
必ず成功してあなたたちを迎えに来ようって。
(栞)で16年?16年ほっぽり出しといてやっと?そういうの自己中っていうんです。
身勝手過ぎる。
小さな工房から始めてこつこつ問屋回りして。
業界に何とかコネつけて認めてもらえるようになるまで大変だった。
あなたは私とお姉ちゃんを何のためらいもなく捨てた。
私たち親戚中たらい回しにされて家でも学校でもいじめぬかれて。
私絶対にあなたを許しません。
(栞)空白。
空白空白。
短大の入学手続き父親も母親の欄も真っ白。
(圭子)でも戸籍は抜いてないけど。
書類上のことなんか私たちには関係ない。
(栞)お姉ちゃんはね男の人相手のキャバクラで働いてんのよ。
あなた知らないでしょ?そんなことも。
お酒飲んでお客さんのご機嫌取って誘惑断ち切って酔っぱらって帰ってくる。
タクシー代節約するために夜遅く上野から歩いて帰ってくるのよ。
お姉ちゃん。
(圭子)どんなに謝っても取り返しがつかないのかもしれない。
でもこれからは私が。
主人も了解してくれたし。
ねえ?栞。
イタリアで暮らそう?ねえ。
お姉ちゃんももちろん一緒。
将来のこと考えましょうよ。
これからのこと。
ねっ。
(栞)あしたという日は明るいとは限らない。
あなたと一緒に暮らすあしたなんかとても考えられない。
帰ってください。
捨てたなら捨てたままにしておいてください。
無理して拾い上げないでください。
・
(拍手)
(圭子)小百合?
(キララ)出てけ。
もう何も言わず出てけ。
もう二度と栞を誘拐するな。
(栞)お姉ちゃん。
じゃあ知ってたの?3つのとき私を連れ出したのこの人だったってこと。
知ってたよ。
こいつおばさんちの前でしゃあもなく突っ立ってた。
私すぐに母親だって分かった。
だから石投げてやった。
覚えてるんだろ?あんた。
石おでこに当たった。
こいつ血流した。
ざまあみろって思った。
そしたらさ次の日こいつ方針変更したんだ。
栞。
ほとんど母親の記憶のないあんたを連れ出したんだ。
だけどさ罪の意識か警察沙汰になるのが怖かったのかしんないけど1時間ぐらいで帰してよこした。
栞。
あんた心配で泣きじゃくってた私に言ったんだ。
「おばさんがくれたバニラアイスおいしかったよ」にこにこ笑ってさ。
バッカじゃん。
(栞)お姉ちゃん。
あんた日本語忘れちまったのかい?出てけって言ったはずだけど。
(キララ)イタリア語じゃ何て言うか知らないけど。
出てけ。
出てけ!じゃあ今日のところは。
また来るわ。
(キララ)もう二度と栞を誘拐するなとも言ったはずだけど。
・
(ドアの閉まる音)
(キララ)キリコさん。
ビール浴びるほど飲んでいいかな?
(キリコ)いいよ。
(栞)お姉ちゃん。
寝ちゃった?
(キララ)目がさえてる。
(栞)私も。
まぶたが落ちない。
(キララ)忘れよう。
忘れよう。
ずっとそう思ってきてそろそろ忘れることができたかなってときにあいつまた現れた。
自分のことっか考えてないんだよ。
自分の幸せしか求めてないんだ。
そんなやつ親の資格なんかない。
だよね。
でも…。
何だよ?私もお姉ちゃんもあの人のこと思って眠れない。
憎いからだよ。
嫌なやつだな。
憎いな。
殺してやりたいなって。
そう考えてたら眠れなくなった。
栞。
あんたは違うの?いとおしいとか思っちゃってる?そうじゃない。
そうじゃないけど。
私はあいつが姿を消したときのことはっきり覚えてる。
でもあんたは記憶がない。
その違いかもね。
(キララ)私「お母さん。
どこ行くの?」「私たちを置いてかないで」って叫んだんだよ。
(キララ)こっからさ「お母さん!お母さん!」って大声で。
でもあいつは…。
一度も振り返らなかった。
あいつはあいつなりにすごい固い決意をして私たちを捨てたんだ。
過去は振り返らない。
そう決めて日本を脱出したんだ。
いまさら悔やんだって始まんないよ。
だろ?栞。
(栞)うん。
自業自得なんだよねあの人。
(キララ)そうだよ。
・
(子供たち)ママ。
いってらっしゃい!
(圭子)私どうしたらいいんでしょうか?分かったっしょ?現実ってもんがさ。
あの子たちにとってあんたって存在はもうとっくに捨てた思い出したくもない過去なの。
思い出したくもない過去?まっ女で生きていくことを選んで母親やってこなかったあんたにはすぐには分からないかもしんないけど。
女と男ってのはすぐに離れたりまたくっついたりできる。
でも一度切れた親子関係の修復ってそう簡単なもんじゃないんだよ。
ああー。
私やっぱり取り返しのつかないことやってしまったのね。
それが分かっただけでも帰ってきた価値あったんじゃない?
(圭子)フッ。
つらいよね。
母親ってさ。
男なら家庭を顧みずに仕事にまい進って褒められたりするけど女は子供を身ごもった途端夢捨てなきゃなんないんだもん。
妊娠したから諦めたんでしょ?デザイナーの仕事。
あんたが2人を置き去りにした16年前も今もこの国はちっとも変わってやしない。
育児と夢。
金を稼ぐことは女にとって両立しにくいんだよ。
だからあなた結婚しなかったの?さあね。
私は生まれたときからいいかげんだからさ。
そうは見えないけど。
本当に支え合っていける人間って身の回りにはほんのわずかしかいないんだよ。
あんたは自分でそんな2人を捨てたんだ。
そうね。
そうなんだわ。
それにしてももっと時間取れなかったの?3日がぎりぎり。
それが何よりあんたそのものなんだ。
今に至っても子供より仕事。
帰ってこなきゃよかった。
雑誌見ててもしやと思って声掛けた私のせい?そうじゃないけど。
ああ。
どんどん心が重くなる。
(キララ)ねえ?素っ裸で泳ごうか?
(涼)あっ?聞こえない。
(キララ)3日だよ。
滞在期間。
たった3日で16年間をリセットして新しいあしたを求めるなんてあいつバッカじゃね?
(涼)俺は何も言わない。
(涼)キララちゃんがじゅうぶんに悩んで泣いて一生懸命考えぬいた答えだろうから。
(涼)でも一言だけ。
最初で最後のたった1回だけのチャンスかもしれない。
(涼)このまま別れちゃってホントに後悔しない?後悔なんて…。
するわけ…。
するわけないじゃん。
(涼)ならいい。
(萌)どうしちゃったんだろ?栞ちゃん。
(健)何だか知らないけど慰めてやんなきゃな。
(愛美)あっ。
私いい考えがある。
(一同)えっ?何何?
(愛美)音二郎君に頼んでさ…。
(音二郎)「別れて長え長え年月を別個に暮らしてくるとこんなにまで双方の心に開きが出るものか」「親の心子知らずとはよく人が言うやつだがおらにはそのことわざが逆さまでこれほど慕う心が親の心には通じねえのだ」
(愛美)「忠太郎さん。
もし私が母親だと言ったらお前さんどうおしだい?」
(音二郎)「あっしには分かってる」「女将さんは今穏やかに暮らしているのが楽しいんだ」「昔のことはとうに忘れた夢なんだ」「親といい子というものはこんなふうでいいものか?」「近い者ほどかわいくて遠く離れりゃ疎くなるのが人情なのか」
(愛美)「誰にしても女親はわが子を思わずにいるものかね」
(音二郎)「こう上下のまぶたを合わせじっと考えてみりゃ会わねえ昔のおっかさんの面影が出てくるんだ」
(富子と清助の泣き声)
(雄途)「野郎。
生かしちゃおけねえ」
(音二郎)「お前親は?」
(雄途)「何だと!?」「親だと?そんなもんあるもんかい」
(音二郎)「子は?」
(雄途)「ねえ」
(音二郎)「降ろうが照ろうが風吹くままよ」「東へ行こうと西へ行こうと」
(一同)ありがとうございました。
ありがとうございました。
(敦也)あれ?キララちゃんと栞ちゃんは?
(一同)うん?えっ?
(圭子)小百合。
栞。
一緒に来てくれる?…わけじゃ。
(キララ)ない。
でも来年の春栞の短大の卒業記念旅行に…。
イタリアに行く。
じゃあね飛行機代。
いらない。
自分で稼ぐ。
(栞)私も。
(圭子)でも…。
あんたを母親だってまだ認めたわけじゃない。
(キララ)これ何だか分かるよね?
(圭子)これ…。
(キララ)あんたと私をつなぐ唯一の証拠。
(栞)私も。
(圭子)あなたたち。
持っててくれたの?
(キララ)何回も何十回も何百回も。
(栞)何千回も何万回も捨てようと思った。
(キララ)でもどうしてだろ?捨てられなかったんだ。
(圭子)ありがとう。
こんなに立派に育ってくれて。
ホントにありがとう。
あんたに礼は言わないよ。
(栞)私も。
じゃあね。
向こうで待ってる。
(キララ)栞がちゃんと卒業できるように祈ってなよ。
(圭子)毎日朝昼晩祈るよ。
じゃあね。
(栞)お姉ちゃん。
とっくに捨てたと思ってた。
(キララ)私も。
あんたもう捨てたもんだと。
へその緒をさ。
(・『時の流れに身をまかせ』)・「平凡だけど誰かを愛し」・「普通の暮らししてたでしょうか」・「時の流れに身をまかせ」・「あなたの色に染められ」
(富子)ああ!?またすかだ。
(女性)残念。
(富子)ことしも当たりくじ入ってないんだろ?もう二度とこの店で買い物しないからね。
(女性)じゃあ1回お願いします。
(カッキー)はーい。
(女性)はい。
(女性)おめでとうございます。
1等賞です。
(カッキー)賞品は?
(女性)夢のハワイに1週間の旅行券。
(カッキー)ああ。
えっ!?ええ!?
(富子)えーっ!?
(カッキー)えっ?えっ?嘘!?けなげじゃねえか。
あんなに憎んでたのに。
へその緒だけは捨てられなかったなんてな。
一度切れた親子の絆は簡単には元に戻らないだろうけどよ。
まあキララと栞には前向きに生きてってほしいね。
2015/09/18(金) 13:25〜13:55
関西テレビ1
癒し屋キリコの約束 #35[字][デ]【憎い母親と向き合う方法】
今週は今が戦時中だと思い込む老女と、無敵のIT長者をキリコ(遼河はるひ)が癒す!平成の喫茶店が昭和の迎賓館に早変わり!そして癒し屋のあの仲間がまさかの裏切り!?
詳細情報
番組内容
昭和堂を訪れたナゾの女性・圭子(増子倭文江)は、16年前に娘のキララ(中山来未)と栞(吉原茉依香)を捨てて出て行った母親だった!今はイタリア人デザイナーと結婚し、現地でファッションデザイナーとして成功をおさめた圭子は、娘たちをイタリアに迎えるために帰国したのだった。
しかし、母親と16年ぶりに再会したキララは圭子に対して憎悪の目を向け、今すぐここから出て行くよう告げる。
番組内容2
さらに、栞が幼い頃、見知らぬ女性に誘拐されたという記憶は事実で、その女性こそ圭子なのだ、とも。幼い自分達を捨てた母親を憎んで生きてきて、突然その母親と再会したキララと栞は、ふたり眠れぬ夜を過ごす。
実は圭子に連絡を取ったのは、キリコ(遼河はるひ)だった。娘たちに激しく拒絶され、打ちひしがれる圭子。長い間、離れ離れだったこの親子に対して、キリコがほどこす癒しとは…!?
出演者
有村霧子:遼河はるひ
柿崎照美:前田亜季
上山 涼:戸塚祥太(A.B.C−Z)
小出清助:長谷川朝晴
都幾川敦也:小林正寛
キララ:中山来未
本城 栞:吉原茉依香
小笠原千香:月船さらら ほか
スタッフ
【原作】
森沢明夫『癒し屋キリコの約束』(幻冬舎文庫)
【脚本】
佐伯俊道
大島まり菜
【演出】
星田良子
【プロデュース】
市野直親(東海テレビ)
高橋萬彦(共同テレビ)
【音楽】
森英治
【主題歌】
「Thank You For The Music」ラストヒロイン(中山来未)(ソニー・ミュージックエンタテインメント)
【制作・著作】
共同テレビ
【制作】
東海テレビ
ご案内
【公式サイトURL】
http://tokai−tv.com/iyashiya_kiriko/
【昼ドラ公式ツイッターアカウント】
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【LINEアカウント】
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ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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