中田敦彦です。
田中日奈子です。
今回は貿易と経済です。
貿易って私全く分からないですけど…。
ちょっと言葉の響きが難しいですけども意味をいいますと…身近なもので言いますと貿易を象徴する例がこれなんです。
日本国内で年間2億本以上作られる鉛筆。
その原料のほぼ100%が外国から輸入されています。
芯を作る黒鉛は主に中国やスリランカから。
粘土はドイツから輸入しています。
黒鉛と粘土を混ぜ書きやすくて折れにくい芯を作り上げるのは日本の技。
職人は手触りで水分量を確かめます。
形を作り硬く焼きしめたら高温度のオイルに浸して油分を染み込ませ品質の高い鉛筆の芯を作ります。
出来た芯は溝を切った板に挟んでのり付け。
この板も輸入しています。
原料の木はアメリカで伐採されコストを下げるために中国やインドネシアに輸出。
そこで加工された板を更に日本が輸入しています。
出来上がった製品は国内で使われるだけでなく外国にも輸出されています。
例えば韓国。
文具店をのぞいてみると…。
ありました。
値段は韓国製より10倍以上も高い鉛筆。
でもその品質の良さで売れ行きは上々。
特に美術関係の人の間でその人気が高いのです。
1本の鉛筆から日本の貿易の一端が見えます。
輸入輸出輸入輸出の繰り返しで鉛筆が出来てたんで…。
こんなちっちゃい1本がそんな旅をしてるんだなっていうのが驚きました。
面白いね。
面白かったです。
鉛筆なんて身近なものに貿易が関わってるっていうと貿易が身近に感じるよね。
そうですね。
ニュースでも結構貿易黒字が…なんて言葉もよく聞きますから。
そこら辺ちょっと詳しく先生に聞いてみましょう。
高橋宏先生です。
よろしくお願いします。
(高橋)よろしくお願いします。
鉛筆も今見たように多国籍ですね。
今やどこの国も自給自足で経済成り立ちませんのでほかの国と貿易をしないとうまくいかないという状況ですね。
全部国産でっていうのはどこの国でも無理なんですね。
貿易をする事によって日本なら貿易で資源を得て…資源ないですから。
国を豊かにしていく。
また技術なんかを使った製品を輸出する事によって所得を高めていくと…。
そういう関係にある訳ですね。
貿易の結果私たちの生活も変化していきます。
例えばファストファッションの衣類。
これは先進国のデザインや素材を生かして人件費の安い国で作る事によって品質が良くて安いものを先進国の消費者が消費する事ができる。
そういう関係にあります。
なるほど。
新しいものをできるだけお手軽な安い価格で買えるのは貿易のおかげなんですね。
…っていう事は我々の生活は貿易さまさまで成り立ってるって事ですよ。
そうですね。
今衣類とかそういう目に見えるものの話をしましたが実は最近目に見えない貿易が注目されているんですね。
サービスの貿易…。
2013年日本にやって来た外国人観光客が初めて年間1,000万人を突破しました。
観光客は買い物や宿泊をして日本の経済を潤します。
この海外旅行のように…一方違った形のサービス貿易もあります。
インド・デリーにあるオフィスです。
この会社はアメリカの会社に代わって製品の使い方を説明したりする情報提供サービスを行っています。
アメリカにいる客が問い合わせの電話をすると自動的にインドのこの会社にかかってきます。
電話の会話はアメリカアクセントの英語。
(英語)時には相手が住む地域の天気予報を調べてアメリカ人のように対応します。
こうした産業で見ると人件費はアメリカのおよそ。
アメリカ企業はインドの安くて質の高いサービスを利用しているのです。
つまり人もものも移動する事なくサービスという目に見えない商品が取り引きされているのです。
何か天気の事まで言ってさも近くにいるかのようにっていうところにすごい「えっ?」ってなって…。
う〜んそうだね。
それをやる事で違和感をなくさせそのサービスの向上だよね。
すごい気遣いですねそれって。
そうだね。
でもそれをやってでもコストを下げるっていう。
これね。
だからアメリカがインドの企業のサービスを買うという。
ものだけじゃないんですね貿易ってね。
そうですね。
交通網の発達やインターネットなど情報通信網の発展によって世界が結ばれそしてサービス貿易がますます発展していく傾向にあります。
でもこれだけものやサービスがあらゆる国と取り引きされてる訳ですから貿易するには当然ルールが必要になってきますよね。
そうですね。
貿易のルールにはさまざまなものがあります。
その中から基本を理解するためのキーワード2つ挙げますと…こういったルールを巡って貿易をする国同士が議論を繰り返しているんですね。
1つ目は…例えばA国に対してB国C国が同じ品質同じ価格のペンを輸出しようとします。
この時A国が関税をかけます。
B国には5%。
C国には30%と決めたとするとA国で売られるペンの価格には違いが出ます。
さてA国で買うならどちらを買いますか?多くの人は同じ品質なら安い方を買うでしょう。
つまり関税が高いC国のペンは売れず不利な貿易をさせられている事になります。
このように貿易相手国によって不平等な関税をかける事がないようにルールが決められています。
また国の安全安心につながるルールには許可や承認が必要な場合があります。
今から十数年ほど前アメリカでBSEに感染した牛が確認されアメリカ産の牛肉や牛肉製品の輸入が禁止されました。
この時期日本ではスーパーの棚から撤去されるなどしてアメリカ産牛肉が一時姿を消しました。
それから安心安全が確認され再び日本への輸入が許可されたのは2年後でした。
このように関税や許可・承認などによって……が行われるようにルール作りをする組織それが…現在160の国と地域世界中のほとんどが加盟しています。
この山何だと思いますか?違法にコピーされ売られていたCDやビデオです。
そうしたコピー商品や偽ブランド品は…WTOはその輸入や輸出を禁止しています。
WTOのルールにのっとり違法な品物の輸出入を水際で防いでいるのが税関。
空港や港に設けられた関所です。
コピー商品など違法なものは販売を目的にそれと知っていて持ち込むケースや知らずに持ち込んでしまうケースとさまざまです。
税関では違法なものは国内に一個も入れさせないと訓練を積んだスペシャリストたちが目を光らせます。
外国との間で品物を輸出入する場合は何を輸出入するか税関に申告しなければなりません。
税関では提出された書類をチェックして職員の目で実際に品物を確認したり検査したりしますが麻薬探知犬やX線検査装置などを使って輸出入が禁止されている品物が隠されていないかの検査もしています。
それでも巧妙な手口で持ち込まれる違法なものは後を絶ちません。
摘発する件数は年々増え続け平成25年は過去最悪でその件数は3万件に迫ろうとしています。
本当だから貿易っていうのはいろんなトラブルが発生するんだよね。
だから不公平な関税をかけてしまうとけんかしちゃう訳です。
ねっ。
公平にやろうよっていうのもWTOやってるし偽物持ってこないでよとか偽物売らないでよっていうのもWTOやってるから大変だよね。
大変ですね。
160の国と地域が集まってルールを作るっていうのも大変だけどそれを守るっていうのも大変な事だよね。
先生。
そうですね。
自動車や電子機器などの工業製品それから肉や米などの農産物。
これは1つの国だけで作ってるものじゃありませんよね。
そうすると国産品と輸入品との競争が生まれた場合そこに利害関係が生じてくる訳ですね。
なるほど。
国の数が増えてきますと当然利害も複雑になってきます。
それだけ調整が難しくなりますね。
そこで現在では……という事が進められています。
なるほど。
ベーシックがありながら調整のために一部のグループを作る事もOKだと?はいそうですね。
それを…またアルファベット3文字出てきましたよね。
さあここでアルファベットの略称覚え方について今回は講義したいと思います。
これは実はですねコツがあるんです。
略さずに見てみる。
WorldでTradeするOrganizationなんだという事です。
こちらは自由に…そうFreeにTradeするそういう協定Agreementなんですよと。
これ実はですねポイントはWTOというのはWorldTradeOrganizationだったというのを覚えておいて…って事はこれ和訳すると世界の貿易の機関…あっじゃあ世界貿易機関だなと。
この順序なんですね。
この順序で思い出す事が大事。
そうすれば混乱しない。
こういう覚え方をすると何がいいかと言いますと応用が利くんです。
こちら応用編。
WHOこれね…。
勘のいい方は気付きます。
どうやらWはWorldじゃないかOはOrganizationじゃないかなって事ですよね。
そうすると世界何とか機構とか世界何とか機関なんだろうなという予測がついた上でHを覚える。
WorldHealthOrganization。
Healthというのは健康とか保健とかそういう意味ですね。
って事は意味はどんぴしゃで…何個か最初覚えてしまえばそこから芋づる式に覚える事ができるんですよ。
1個2個覚えてるだけでこいつ知ってるあいつ知ってる。
もうあなたの得意ジャンルになってるんですね。
さあこれで皆さんもう3文字は怖くない。
ところがものやサービスの取り引きを更に拡大するためには関税の引き下げだけでなくてほかの分野での貿易のルールも取り決める事が重要になります。
それが…また3文字だ。
英語に直して一回考えましょう。
EPAというのは…なぜEPAが必要なんでしょうか?例えば貿易が盛んになってくるとやがて相手国に工場を建てたりオフィスを構えたりする事も必要になりますよね。
そうすると人の派遣が必要になってくるという事がありますね。
貿易の拡大に伴ってこのEPAというのは関税や数量制限といったルールのほかに…なるほど。
貿易を拡大するためには多くの面で国同士が協力していく事が大切という事ですよね。
そのとおりですね。
では地図を見てみましょう。
この地図は2013年の7月現在ですが日本が既にEPAを結んだ国それがオレンジ色で示してあります。
黄色は現在交渉中の国です。
オレンジ色は南の方の国が多いですね。
確かにそうですね。
比較的日本と利害関係が対立しない国お互いにメリットがある国同士で関係を結びやすいという事でこういうふうになってました。
例えばインドネシアフィリピンであるとかそういう所から看護師介護福祉士を今受け入れるようになっています。
医療分野の受け入れはこれまでできなかったんですけれどもしかしEPAの締結によって外国人の就労が認められていない分野で例外的に受け入れが可能になりました。
日本は助かりますけど…。
お互いの利益になるようなよい関係いわゆる…たくさんの国といい関係になれたらいいですよね。
そうだね。
この交渉がうまくいくといいよね。
ただし課題もあるんですね。
EPAだけじゃなく貿易全般について言える事なんですけども外国からの商品の輸入が増えるとそれに太刀打ちできないで衰退する企業とか産業が出てきますよね。
国内の産業の空洞化が進む事。
これが心配されてますね。
産業の空洞化が進むと単に工場が海外に移転してしまうとかそういう事だけじゃなく工場で潤っていた地域の経済が衰退する。
またそこに失業者が発生すると。
そういう事も問題になってきます。
じゃあ貿易が盛んになっていい事もあるけどその反面大変な事も起こるって事なんですね。
そうだね。
経済は競争の世界ですもんね。
どの国とどの国が協定を結ぶのかそれは時期によっても変わってきますし私たちの生活に直結する問題でもあるんですね。
だから一人一人に考えて頂きたい問題ですね。
先生ありがとうございました。
ありがとうございます。
さあ日奈ちゃん貿易と経済の話どうでした?勉強していくうちにちょっと分かるようになりました。
自分たちが今持ってるものに深く関わるもんね。
でも多くの人が関わってる多くの国が関わってるからこそいいものが安く手に入ってるしでも多くの人が関わってるからこそルールとか調整が必要になってくるんだよね。
難しかったですね。
そこのところは。
でもそういう事考えてこれから生活していきましょう。
それでは次回も世界中のあんな事…。
こんな事…。
(2人)いろいろ知っちゃおう!中でも目に見えない商品を取り引きするサービス貿易が注目されています。
WTOは貿易が自由で公平に行われるように世界中が守るべき基本的なルールを作っています。
それを補完する…国同士が個別に貿易のルールを築いています。
貿易における輸入の拡大は国内産業の衰退と失業の増大を招く面もあります。
貿易による経済的な結び付きは双方の国に利益をもたらしまた人や文化を交流させ国際理解にもつながるのです。
2015/09/18(金) 14:40〜15:00
NHKEテレ1大阪
NHK高校講座 地理「世界を結ぶ貿易と経済」[字]
人・モノ・情報が地球規模で行き交う現代。国や地域を越え、多様な社会や文化を理解し合うことが不可欠。“世界の今”を読み解く「地理」は、未来を切り開く力となる。
詳細情報
番組内容
私たちの暮らしや国の経済発展と密接に関係している貿易。今回は、貿易の基本的な仕組みやルールを知ろう。さらに、交通網の発達や情報通信網の発展などにより登場した新たな貿易のカタチなど、地理的視点から貿易を考えよう! 「世界を結ぶ貿易と経済」 (1)貿易とグローバル経済 (2)貿易には、なぜルールが必要? (3)WTOと地域の自由貿易
出演者
【講師】東京国際大学学長…高橋宏,【出演】中田敦彦,田中日奈子,【語り】安元洋貴
ジャンル :
趣味/教育 – 中学生・高校生
バラエティ – その他
趣味/教育 – 大学生・受験
映像 : 480i(525i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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