火災調査官 紅連次郎4 2015.09.18


・火事だ!火事だぞ!誰かー!火事だ!来てくれ!火事だー!何とかしてくださいよ!頼みます!お願いしますよ!この1週間で4件ですよ!4件!これじゃあおちおち眠ることもなあ!
(紅蓮次郎)わかってます。
ですから今非番の消防隊員も動員して緊急のパトロールを…。
パトロールなんて悠長なこと言ってないで町の角々に張り込んだらどうなんです!?そうですよ!あのっ放火魔に心当たりはないんですか!?あなたたちは火事に関して…!ですから!今警察とも協力して全力を挙げて…。
そりゃあ!犯人を捕まえるのは警察の仕事だってわかってますよ!でも消防署だって何かできることあるでしょう!!
(白井勇一)先輩。
・ねえ!ちょっと!!
(住民の怒鳴り声)キス…!?うちの俊介がですか!?
(鴇田早苗)ええ。
こうやって円にカワハギみたいにして迫ったらしくってあの子うちに帰って来てわんわん泣いて。
あのバカ…。
すみません!いやでもそういうことってあると思いますよ。
青春なんですから。
ああ…。
ただねキスをする。
次次って…。
あっ!段階追って考えていくと!ねえ?中学生なんですし…。
もっともです。
お母さんの心配はよくわかります。
強く言っておきますのでどうぞご安心ください。
何かやだわ〜。
はい?私が古臭い女に思われるの。
ああ。
いやそんな。
私自身は割りとそういうことオープンなほうなんです。
あははっ…。
もちろん主人と離婚してからは全然そういうことしてないけど…。
あっ…そうですか。
紅さん。
はい。
最後にキスしたのいつですか?はい?ああ…!やだ私何訊いてるんだろ!照れちゃうわ!あっごめんなさい。
ああいえいえ。
(2人)ふふふ!
(紅俊介)まいったなぁ…。
そんなことまで親にしゃべっちゃうのかよ。
円ちゃんは女の子なんだぞお前。
泣かしてどうすんだよ。
それは反省してる。
確かにムードがかけてた。
俺焦っちゃってさ〜。
いやそういう問題じゃないだろお前。
お前まだ中学生なんだからさ中学生だったら中学生らしくピュアな純粋な気持ちで…。
ピュアだよ俺は。
今キスしたらクラスで2番目だぜ!えっ?ベスト3に入れんだから。
喝っ!全然ピュアじゃねえじゃねえか!ちょっと待て俊介。
ちょっとこっち来い。
いいから来いっちゅうの。
うう〜!いいか二度とそんな不埒な真似するんじゃねえぞ!女を泣かす男は最低だ!それだけは覚えておけ。
何だお前その顔は。
はいはいわかりました。
よしっ。
なっ。
自分が女っ気がないからって妬いて。
何て言った?お前今。
おい!待て俊介!俊介待て!待て!あいたっ!俊介!いてっ!クソッあの野郎!はあ…あいつずっと反抗期だな。
ちょっとおかしいんじゃないか?
(電話)電話だよ。
はい紅。
おうどうした?また放火かもしれません主任。
マル4が1名。
何っ!?マル4!?いいか!火災現場は一期一会だ。
はいつくばって灰の中から掘り起こせ!真実は必ず灰の中にある。
行くぞ!
(一同)了解!高橋的場は周辺の聞き込み則武は写真撮影。
白井。
お前は俺と一緒に来い。
(4人)了解!
(梨田)紅。
どうも。
ちょっと来い。
はい。
犯人は柚木だ。
柚木竜一。
柚木…!?消火活動をしてる時野次馬の中に奴がいた。
俺の顔を見て慌てて目をそらして逃げて行ったよ。
帰ってきてたんですかあいつこの町に…。
いいか紅。
奴が犯人であるという証拠を何としても見つけろ。
奴はもう未成年じゃねぇんだ。
放火殺人でぶち込んでやれ!頼んだぞ!
(炎の音)
(青木孝)うわあ!!主任?主任!おう。
火災現場は団地の3階の1LDK。
油の臭気は特に感じられない。
床面はあまり強く焼けておらず手前のリビングよりも奥の和室のほうが焼けが強くなっている。
マル4の周囲が強く焼けている。
焼けの方向は…。
検分位置右手のタンスと壁が扇状に焼燬している。
差し歯が溶けてますね。
これって…。
決めつけるな。
テスター。
はい!炭化物に電気が通りますね。
火元はやっぱり…。

(ベルの音)
(黒崎一)柚木竜一君だね?私のことを覚えてないかね?まあ直接取り調べをしたわけじゃないから覚えてないか。
(灰田)お伺いしたいことがあります。
署まで同行願えますか?
(灰田)これを見ろ。
これが14年前の連続放火事件でお前が使った発火装置だ。
そしてこれが今回西新町1丁目や新町2丁目など連続で起こっている放火事件の火災現場から発見された発火装置だ。
似てるよな。
似てるなんてもんじゃない中身の仕掛けも全部同じだ。
人の話を聞いてるのか。
今度の放火もお前がやったんだな?
(柚木竜一)俺じゃない。
じゃ昨日の20時から21時の間どこにいた?話す必要はない。
何っ!?まあいい。
言いたくないことは言わなくていい。
ただ1つだけ教えてくれ。
なぜこの町に戻ってきた?今どこに住んでるんだ?仕事は?お前いい加減にしろよ!・
(ノック)
(石橋)クロさん。
何!?どういうことだ紅。
今からちょっと怖い実験をお目にかけます。
まずはこちらをご覧ください。
このコンセントとプラグはあのおばあさんの部屋にあったものと同じものです。
そしておばあさんはポットのプラグをいつもコンセントにさしっぱなしにしていました。
近所の人たちの話だと抜く時はポットのこちら側のプラグを抜いていたそうです。
(灰田)それが何だっていうんだ。
よくあることだろ。
まあそう慌てないで。
ここからが問題です。
今あのコンセントの電流は実験のために遮断してありますがもちろん家庭のコンセントの電流は常に流れています。
そしてコンセントの上にはおばあさん愛用の浴衣がかけられていました。
白井…始めてくれ。
・はい!では電源を入れます。
こっこれは!?消火!了解!これはトラッキング現象による火災です。
コンセントとプラグの間のこの隙間。
ここに溜まった埃これを長い間放置しておくとやがて電流が通ることになりそれが原因となって火災が引き起こるわけです。
トラッキング現象…。
はい。
特にコンセントとプラグの間に隙間があるとほこりが溜まりやすくこの現象が起こる可能性が高くなります。
間違いないのか?じゃああのおばあさんの家の火災もこのトラッキング現象が原因で?ええ。
あのおばあさんのコンセントの上もあの様に扇形に焼けていました。
さらにこのプラグの差し歯の部分が溶けて焼き切れています。
通常の火災の温度ではこの様なことにはなりません。
トラッキングによる電気的な温度上昇で焼き切れたんです。
これが決定的な証拠です。
じゃあ放火ではなかった…。
はい。

(梨田)紅!ちょっと来い!はい!後を頼むぞ。
はい。
失礼します!
(梨田)お前本気なのか!?柚木竜一をシロにするつもりか!?いえ。
自分は今度の火災がトラッキングによるものだって証明しただけです。
ふざけるな!そのトラッキングだって奴が仕込んだものかもしれねえじゃねえか!中隊長。
それはちょっと考えすぎじゃないですか?それにそこから先の調査は自分の仕事じゃありません。
お前な…忘れたのか!?14年前の藤島蒲鉾店の火災を!忘れるわけないじゃないですか!青木は自分の同期でした。
一緒に消防学校に入って一緒に消防官になったんです…。
危ない!!うわあ!!青木ー!!うわー!!ううっ!青木!青木!やめろ!青木…!おい!離してくれ!バカヤロー!青木ー!!俺は悔しい。
放火で人が死ぬ。
放火殺人は罪が重い。
でもな消火に当たった消防官が消火活動中に死んでも放火による殺人の被害者としては見てはくれねえんだよ。
しかも消火活動中に危険を察知できなかった消防官が悪い。
判断ミスだ。
自業自得だって言われるんだ!俺たちは犬死にか?人間以下か?そいつが放火しなけりゃ死ななくてすんだんだよ。
じゃ放火だとわかって中に人がいなけりゃ燃えさかる炎はそいつのせいだから放っておけって言うのか!?そんなことできるわけないだろ!甘いかもしれない。
でも当時17才だった柚木竜一が少年刑務所に送られた時俺は奴がまた放火をしたらぶっ殺してやろうと思った。
それが死んでった青木への手向けだ。
自分だって気持ちは同じです!でも今度の一件だけは放火じゃありません。
トラッキング火災です。
もういいっ!だが現場で俺を見て逃げてった奴の姿。
そして14年前と同じ発火装置。
俺は絶対今回の放火は奴の仕業だと確信してる!青木…お前犬死にか?違うよなぁ。
5年の消防官生活で216回出動して22人の命を救ったんだもんなぁ。
忘れてねえぞ俺は。
忘れねえからな…。
放火ってのは再犯率が高い。
絶対あいつが犯人だ。
(藤島由貴)竜ちゃん!?待って竜ちゃん!待って!どうして言ってくれなかったの?帰って来てるって。
警察の人から聞いて…。
親父とおふくろの墓参りに来たんだ。
結婚するんだろおめでとう。
よかったな。
俺も結婚したんだ。
これが女房と子供だ。
お互いいろいろあったけど頑張って幸せになろう。
人間前向いて歩かなくっちゃな。
じゃ。
竜ちゃん!
(藤島則子)由貴!あなた何やってるのこんなところで。
よくもいけしゃあしゃあと戻って来れたわね。
うちの人はねあんたのせいで脳溢血で死んだのよ。
あんたが恩を仇で返してうちの工場に火をつけたから!お母さんやめて!おっしゃるとおりです。
申し訳ありませんでした。
(水野伸司)竜一…!元気だったか?こっちにはいつ?1週間ぐらい前だ。
細々した用事をすませたら帰るつもりだ。
そうか…実はな。
わかってる。
結婚するんだろお前たち。
伸司幸せになれよ。
由貴!ホントにいい加減にしなさいよ。
あんな男に関わったらロクなことないんだから。
ごめんなさいね水野さん心配かけて。
いいんですよ。
僕たち3人は中学高校とずっと一緒だったんです。

(水野)行きましょうか?行こう。
14年前一体何があったんです?柚木竜一のことか?梨田中隊長は怒ってるし主任も何か変ですし…。
14年前になこの美津原で発火装置を使った連続放火事件が起きたんだよ。
その時燃えた一軒が藤島蒲鉾店の工場だったんだ。
藤島蒲鉾店ってあの老舗の?そしてその火災で俺の同期の青木孝って奴が殉職したんだ。
天井から梁が落っこってきてその下敷きになってな。
殉職…。
その犯人が柚木竜一ですか?そうだ…。
奴はその3日後発火装置を使ってゴミ置き場を燃やそうとして現行犯で捕まったんだ。
(警察官)君何をしているんだ?こらっ逃げるな!離せよ!こんなところで何をしてるんだ君は!こら暴れちゃダメだ!でも柚木竜一はなぜ放火なんて…?・
(茜沢大三郎)藤島蒲鉾店の由貴にふられたんだ奴は!それで頭にきて藤島蒲鉾店の工場を燃やした。
あなたは?奴のお陰で甲子園の夢が絶たれた男さ。
あの時美津原高校は野球部創設以来一番強いチームだった。
それを部員でもないあいつの不祥事で…。
ああっ思い出した!確かあなた茜沢投手ですよね!あのサウスポーで三振バッタバッタ取った!昔の話さ。
けど俺はあの時の恨みは忘れちゃいない。
奴は俺の人生を狂わせたんだ…。
確かヤケを起こしてバイクで足を…。
それでプロの道を断念したんですよね!?すいません。
余計なことでした。
奴が帰って来てるって聞いたんでぶっとばしてやろうと思って来たんだよ。
けどそうするまでもなかった。
奴のホテルの前には人だかりだ。
町の人間が奴を追い出そうとしてな。
ホントですか?何というホテルですか?ホテルドレイク。
先輩!このホテルは放火魔をかばうつもりなの!?いえいえっそうおっしゃられてもお客様のプライバシーに関知しないというのが当ホテルの…。
そんなマニュアルどおりの答えなんていいのよ!!あなたはこの美津原市を火の海にしたいの!?もし火事になってうちが全焼したらあなたが責任とってくれるの!?そうよ!!どうなのよ!!やめてください!みなさん落ち着いて。
来たわね!放火魔を守る火災調査官!!はあ?あなたが柚木竜一を守ったことはわかってるのよ!この掲示板で!
(住民)そうだ!そうだ!柚木竜一の犯歴も書き込んであるじゃないですか!それにホテルまで…。
こうやってみんなが自分たちの生活を守ろうとしてるんだ!余計な口出しはしないでくれ!そうよ!私はね3日前の放火で危うく家が燃えるところだったのよ!あなたにその恐怖がわかる!?それに!!あのおばあちゃんちの火事のねコンセントの漏電はね嘘なのよ!!放火よ!!絶対…!ですから!それは今我々も全力を挙げて…!来たぞ!あいつだ…!美津原消防署の梨田だ。
柚木…14年前お前が起こした藤島蒲鉾店の火災で消火活動中に1人の消防官が死んだことを覚えてるか?この2人はその時の消防官青木孝消防士のご遺族だ。
(梨田)お前は刑に服し罪を償ったつもりかもしれん。
だが少なくともこの2人への謝罪はまだなはずだ。
謝れ…。
謝るべきだろ!
(青木圭太)バカヤロー!ふざけんなよ!ふざけんなお前のせいで父さんはな!父さんはな!!
(青木和代)やめなさい圭太!もういいから…!私たちがお父さんを誇りに思って生きていけばいいことだから。
行きましょう。
誰ですあの人?藤島蒲鉾店の娘だ。
じゃ彼が火をつけた…。
(携帯電話)もしもし…もしもし?
(ボイスチェンジャーの声)「お前をこの町に呼んだ人間を教えてやる」誰だ!?誰があの手紙出したんだ!えっ!?そんなことわざわざ言いに来てくださらなくても〜!いえたまたま近くを通りかかったもんですから。
父親として俊介にはきっちり話をしたということを報告しようと思いまして。
紅さんってホントそういうところが律儀。
そこが素敵なんだけど…。
外に部下を待たせてありますので自分はこれで失礼します。
えっ!そんなお茶でも…。
いや本当に結構ですから!あっいらっしゃい!柚木…!柿沼朝子って女いるか?店員だろここの。
えっええ…。
そりゃいますけど。
柿沼さん!・
(柿沼朝子)は〜い!お客様よ!あなたに。
お前か…。
お前が柿沼朝子か!なぜあんな手紙を!?何なの手紙って!そんなもん知らないわ!待て!おいちょっと待て!おい!ちょっと待て柚木君!何なんだ手紙っていうのは。
あんたには関係のない話だ!何ですかあなた!警察呼びますよ!頼む!教えてくれ!あの女の住所を!どうしても訊きたいことがあるんだ!そんなこと言えるわけないでしょ!どこの誰ともわからない人に。
帰って…キャアッ!大丈夫ですか!?柚木!いった…。
しっかりして。
柚木ー!痛い…!あんたね。
あんたが柚木に私のことを…。
言いなさいよ!そうなんでしょ!?いいわよ。
あんたがその気なら私もあんたがしたこと全部警察にばらしてやる。
終わりねあんたも。
キャッ!?
(ボイスチェンジャーの声)「柿沼朝子の家を知りたいのか…教えてやるよ」「西新町2丁目グレイパークマンション302号室だ」
(チャイム)火事だー!柿沼朝子さんの部屋が火事だー!ホントだ…!火事だよおい!火事だー!おい消防車消防車!119番!おい!・消防車来ないかまだ!おーい!消防車!・119番!
(消防車のサイレン)階段を上って屋内へ侵入!よし!人命検索!
(2人)よし!
(梨田)一線延長!援護注水!
(梨田)扉の開放に当たってはフラッシュオーバーバックドラフトに十分注意せよ!
(一同)はい!お見えになりましたか火災調査官殿。
あなたの人を見抜く力には本当に恐れ入りました!どういうことですか?この火災現場から柚木竜一が逃げ出すのを住民が目撃してるんだ。
ホントですか!?それだけじゃない。
柿沼朝子が柚木におびえて店を出るのをあなた目撃したそうじゃないか。
関係ないでしょ。
主任はあのおばあちゃんの家の火災の原因をトラッキングだって鑑定しただけなんですから。
でもな柚木の過去も含めてもっと状況を考えて調査結果を出してくれりゃこの事件は起きなかったんだ!1つだけな気になることがあるんだ。
誰かが最初に「火事だ柿沼さんの部屋が燃えてるぞ」って叫んだんだそうだ。
それが柚木竜一の可能性もある。
(灰田)それはあれですよ。
柚木にも多少の仏心があったんでしょ。
周辺の住民を巻き込みたくなかったんじゃないですか?無差別の連続放火犯に仏心っていうのは何か矛盾してませんか?あんたねそうやってあいつのことばっかりかばってるとまた掲示板に「放火魔を守った火災調査官」って書かれますよ。
ああ〜っ!あなたじゃないんですか?あれ書き込んだの!何言ってんだそんなことするわけないだろ。
いやしてないぞ!ねえクロさんホントに書いてないですよ。
信じてますよ警部。
ああ紅。
その件に関しては今生活安全課が調査中だ。
いや別に自分は何言われてもいいんですよ。
灰の中の真実を見つけるだけですから。
やるぞ!
(調査官)了解!とにかく柚木竜一が重要なカギを握ってることは確かだ。
警部緊急手配しますよ。
了解。
何が灰の中の真実だ…。
火災調査官が捜査に口を挟むとロクなことが起きないな。
灰田さん!それちょっと言い過ぎじゃないですか!白井君。
ガス検!はい!警部!急いでください!ガソリンです。
今までの連続放火とは違いますね。
今までのは発火装置のあるなしは別として全部灯油でしたから。
ガソリンか…。
《どういうことなんだ?》《なぜ灯油じゃなくガソリンなんだ…》《それに…》誰かが最初に「火事だ柿沼さんの部屋が燃えてるぞ」って叫んだんだそうだ。
それが柚木竜一の可能性もある。
柚木…!こっち来い!柚木…!こっち来い!あのおばあさんの家の火事が放火じゃないって見つけたのはあんただよな?まあそうだ。
だったら調べてくれ。
柿沼朝子を殺したのは俺じゃない。
俺が行ってインターホンを鳴らした後いきなり火がついた。
いきなり?それ本当か!?今さら嘘言っても仕方ないだろ。
だったら警察へ出頭しろ。
何もかも話せ。
それはできない。
俺にはやらなくちゃいけないことがあるんだ。
何だやらなきゃいけないことって?あんたには関係ない。
いいな俺ははめられたんだ。
俺が行くと火がつくように細工がされていた。
その仕掛けを調べてくれ!お前なこれが人にものを頼む態…。
柚木!お前殺人の容疑で手配されてるんだぞ。
悪いことは言わないからとにかく出頭しろ!悪いけどあんたの指図は受けない。
柚木!うっ…!柚木!柚木!ああ…。
何かひっかかるんだ。
柚木はこの部屋に来てインターホンを押したあといきなり火がついたって言ってるんだ。
でもありえることですよね。
ガソリンが気化して充満してれば何かの拍子でボンッて爆発するってことも。
(則武)ということは来たとたん何か爆発するような仕掛けを作っていた…。
(的場)インターホンですかね?…も含めて発火装置になりそうなものを徹底的に探しだせ。
やるぞ!
(一同)了解!どうだ白井。
ダメです。
火花が散るような仕掛けはどこにも…。
見当たらないか。
あちらの方が。
どうも。
何でしょうお話って。
先日柚木竜一のことを見てらっしゃいましたよねホテルの前で。
彼がどんな人間なのか教えてほしいんです。
なぜです?なぜそんなことを…。
わからないからです自分には。
彼が今柿沼朝子さんという女性を殺した放火殺人犯として指名手配されているのはご存知ですよね?でも彼はその柿沼さんの家を飛び出す時に火事だっていうことをみんなに知らせてるんです。
そんな放火殺人犯はいません。
それになぜ彼が柿沼さんを殺さなきゃいけなかったのかその動機もはっきりしてないんです。
彼女から手紙をもらったってことくらいしか…。
手紙…?14年間この町に背を向けていた人間が戻ってくるにはそれなりのわけがあると思うんです。
心当たりがあったら教えてください。
手紙や帰って来たわけはわかりません。
でも竜一さんは…。

(則子)由貴!何やってんの?あなたこんなところで。
ウエディングドレス取りに行くんでしょ!さあ!あなたは確か…。
美津原署の紅です。
その節はいろいろと。
ああ…。
うちの火事で亡くなった消防官の方の。
はい同僚でした。
でもホントに呆れてものが言えないですよねあの柚木という男には。
放火に殺人でしょ。
ホント早く捕まえてもらわないと。
で今日はこの子に何か?あっいえ防災のことでちょっとお寄りしただけです。
それじゃ失礼します。

(由貴)待ってください!時間がないので手短かに言います。
竜一さんは人殺しなんてできる人じゃありません。
信じてあげてください。
お願いします。
えっ?それはどういう…。
だって彼は14年前お宅の工場を…。
それ以上は言えないんです。
お願いします。
信じてあげてください。
刑事に?ええ。
14年前の事件を調べた刑事に会って話を聞いて来たんです。
柚木竜一は父親を早くに亡くし母親が藤島蒲鉾店の店員だったそうです。
その母親も事件を起こす1年前に亡くなり高校を卒業するまでの約束で藤島蒲鉾店の寮に住ませてもらってたそうです。
結局そういうことのプレッシャーなのか爆発して工場に火をつけた…。
恩を仇で返すようなことをしたんですね。
何でそんなことを調べたんだよ。
だって主任は柚木竜一のことになると何も話してくれないし主任の同僚が殉職してるんだ…。
余計なことするな。
今俺たちがしなきゃいけないことは柿沼朝子のマンションの出火原因を探ることそれだけだ!!すまん…。

(パトカーのサイレン)
(パトカーのサイレン)・
(俊介)ねえ円ちゃん頼むよ!俺本当に好きなんだ。
(鴇田円)でも…。
1回だけ!1回だけでいいから!ええ…。
頼む!1回!・
(紅)俊介!何やってんだ!このカワハギ小僧!うわっ親父!ごめんな円ちゃん!おいこら!ちょっと待て!俊介!はあ…ごめんな円ちゃん。
今度ああいうことしたらなグーで殴っていいからな!いえ。
まったくもう〜。
よし。
じゃあ家まで送ってやるわ。
なっ行こう。
ホントしょうがないなあいつは。
ただいま!何だ俊介電気もつけないで。
帰ってきてんのはわかってんだぞ!まったくしょうがねえな…。
俊介!どうしたんだお前!柚木…。
何かわかったか。
わかるどころかますますお前がわかんなくなったよ。
どういうことだ?さっき藤島由貴さんに会ってきたんだ。
彼女はお前は人殺しなんかできる人じゃない信じてやってほしいそう言ってたぞ。
余計なことをするな!彼女に近づくな。
彼女は何も関係ないんだ。
好きなのか?お前彼女が…。
近づくな。
わかった!わかったからお前こそ手を出すなよ。
大丈夫だからな。
はあ…で?確かに俺は彼女のことが好きだった。
だがふられた腹いせに火をつけたんだ。
今じゃ心底彼女のことを恨んでる。
あの女なんだからな!俺の人生を狂わせたのは。
もっとやさしくしてくれれば俺は火なんかつけなかった。
(携帯電話)もしもし。
(ボイスチェンジャーの声)どうだ?殺人犯として逃げ回ってる気分は。
お前か。
お前が柿沼朝子を殺したのか!?お前の目的何なんだ。
俺を犯人に仕立てて何が面白い!面白いね。
ひどく面白い。
今日は西新町3丁目の明福寺脇のゴミ置き場だ。
時間はジャスト5分。
「今日は風が強いから燃えるとすごいぞ」あのへん一帯が火の海になるかもしれない。
ふざけるな!!もうその手には…!
(不通音)もしもし?もしもし!クソ…!何だ?何の電話だ?放火魔だ。
何!?西新町の明福寺のゴミ置き場に発火装置を仕掛けたって!発火装置!?いつだ!発火までの時間は!5分後。
いつもギリギリだ!うわっ!行くぞ!俺には関係ない!柚木!何であんな奴の言いなりに!クソッ!!いつもこうなのか?なぜかわからない。
奴は俺をからかってる!大丈夫か?悪かったな!俊介署に連絡してくれ!頼むぞ!わかった!
(発火装置のタイマーの音)柚木!お前がこの町に戻ってきたのはあの電話の放火魔に呼ばれたからか!?違う!あの柿沼朝子って女から手紙がきたんだ!どんな手紙だ?それは言えない!言えないって…今の立場がわかってんのか!?バカ!危ない!行くぞ!ちょっと待て!あれじゃねえか!?おいっまだ5分経ってねえぞ。
いつもこうなんだよ!俺をからかうためだけにやっている。
やめろ!下がってくれ!火事だ!火事だー!火事だ!誰か!おいっやめろ!やめろ!火が飛び散るだろ。
貸せ!消えた…。
(咳)よしっ!おい俺と一緒に今から警察に出頭しよう。
俺がお前の無実証明してやるよ。
無理だ。
それに警察に関わってるひまはない。
俺にはやらなくちゃいけないことがあるんだ。
何をやらなきゃいけないんだよ。
だから言えないって…。
お前なあホントに今の立場がわかってねえなぁ。
(パトカーのサイレン)悪いな。
ちゃんと調べといてくれ。
頼んだぞ。
柚木!待て…。
謝るぐらいなら蹴るな。
バカッ!柚木!柚木!!何電話で指示されてる?ええ。
自分がこの目で見たんだから間違いありません。
バカだなぁ。
騙されてるんですよ。
そんなの自作自演に決まってるじゃないですか。
とにかく捜査の方針を柚木竜一1人に絞るんじゃなくてもう一度考え直してもらえませんか?
(警報音)
(アナウンス)「火災指令火災指令。
新町5丁目2番地8号藤島宅建物火災」「出場隊にあっては美津原署消防隊美津原署救急隊以上」
(消防車のサイレン)第一小隊屋内進入!人命検索!よっし。
一線延長!援護注水!・よし。
延焼阻止にあたる。
よし。
放水開始!止まれ。
止まれ。
ダメですダメです。
入れてください。
私の家なんです!じゃあどうぞ。
すみません。
ダメですダメです。
早く早く消してください!どうしてどうしてこんなことになるの!すみませんすみません!
(則子の嗚咽)おかあさんとりあえず車に。
(消防官)要救助者1名発見!誰だ?犯人は柚木竜一だ。
柚木が!?
(梨田)柚木が家の中で倒れてた。
(救急車のサイレン)火災調査官。
あんたが無実だと主張していた人間がこのザマだ。
どう責任取るつもりだ!?私病院のほうへ。
14年経っても柚木竜一はここのお嬢さんに対する恨みつらみでいっぱいだったんだよ。
(パトカーのサイレン)わかりました。
・白井!どうだ奴は?手術が終わって今ICUです。
意識が戻らなくてひょっとしたらこのまま…。
そうか…。
・よおっ紅!クロさん。
柚木竜一は結婚してたんだな。
結婚?奥さんと子供じゃないか?家族がいたんですかあいつ?うん。
わからないな…。
わからない?奴は間違いなく誰かに操られてるんです。
今度もそいつの指示で藤島の家に忍び込んだんだと思うんですよ。
でも何で罠だってわかってて火の中に飛び込んだんだ…。
あっ!発見されたときそういえば奴は何かウエディングドレス抱えてたみたいです。
ウエディングドレス…?ここだ。
間違いない。
(日奈子)亮平ちょっと待って走っちゃダメ!危ないじゃないの!もう急に飛び出しちゃダメっていつも言ってるでしょ!もう車が来たらどうするの?もう…。
あのすみません。
この写真…。
はい。
ああ失礼ですけどこれそうですよね?
(日奈子)ええ…。
《なぜだ…?》《だったらなぜ火をつけたんだ?なぜだ…》何でしょうお話って?ああすみませんどうも。
あなた自分の女房と子供だって言って柚木からこの写真見せられませんでしたか?ええ…。
実はこの2人に会ってきました。
でもこの人たちは柚木の奥さんでも子供でもありませんでした。
どういうことなんです。
奥さんじゃないって?10日ほど前柚木の所に匿名の手紙が来たらしいんです。
そこには「美津原市に戻ってこい」「さもないとあなたの結婚式をぶち壊す」って書いてあったそうです。
何ですって…!?じゃそれでそれで竜一さん…。
柚木は勤めているレストランのオーナーに「辞めたい」って申し出たそうです。
「昔世話になった人をどうしても助けたい」「だから美津原に帰りたい」って。
(良造)でもねあれだけ頑張って働いてるあいつを「はいそうですかじゃ辞めてください」って放っぽり出すわけにいかない。
で私言ったんですよ。
「納得のいくまで美津原に行ってこい」「でまた戻ってきてくれ」って。
そうしたらあいつ涙ぐんじゃってそれでこいつに。
できたら私と良平の…良平ってこの子なんですけどね2人が写ってる写真を貸してもらえないかって。
それを聞いてやっとあいつの気持ちがわかりました。
あいつは今でもあなたのことが好きなんです。
だからあなたに迷惑がかけたくなくて自分にも女房や子供がいるなんて嘘をついたんですよ。
そんな…竜一さん…。
柚木が今美津原病院に入院してるの知ってますよね。
会いに行こうと思いました。
でも警察が許してくれなかった。
私も訊きたかったんです。
なぜ家が火事になり彼が家にいたのか…?おそらく柿沼さんを殺した人間に言われたんだと思います。
あなたのウエディングドレスに火をつけるって。
それで竜一さん…。
そこまであなたのことを思っているあいつの気持ちはわかります。
でもどうしてもわからないんですよ。
そんなあいつが14年前なぜお宅の工場に火をつけたのか?自分はあの火災で同僚を亡くしました。
放火犯の柚木はどうしても許せなかった。
そんなとき奴を取り調べている刑事に言われたんです。
「消防官を死なせたのに柚木竜一の目は澄んでるんだ」って…。
それを聞いた当時は「ふざけるな何が目が澄んでる」だ…。
正直余計にあいつを恨みました。
でもね14年経ってあいつに出会ったらそのことがむしょうに引っかかるんですよ。
教えてください。
14年前に何があったんですか?一体あいつに何があったんです!?・
(則子)由貴。
藤島さん…。
藤島さん!水野さんが融資のことで来てくれてるの。
あなたも来て。
ああおかあさん。
お待たせしました。
美津原銀行の長野さんと豊川さん。
どうぞよろしくお願いします。
長野でございます。
よろしくお願いいたします。
豊川です。
どうぞよろしくお願いいたします。
(水野)保証人は私がなりますから。
(則子)ホントにお願いします。
(由貴)ダメよ竜ちゃん!そんなことする必要ない。
絶対ダメ!
(柚木)いいんだ決めたんだ。
俺は君を愛してる。
その愛だけで十分俺この先生きていけるから。
竜ちゃん…!
(ドアの閉まる音)イヤッ絶対イヤッ!何で竜ちゃん!?一緒に帰ろうよ。
待ってよ竜ちゃん!竜ちゃん!竜ちゃん!
(柚木)《仕方がないんだ》《周囲の反対を押し切って結婚したとしても俺たちの子供は連続放火魔の子供って言われるんだ》《決めたんだ》《俺はあのときの君との思い出だけで生きていける》《俺たち本当に愛し合っていたよな》《その思い出だけを胸の中にしまってこの先俺は生きていける。
生きていけるから…》イヤー!
(由貴)《私たち考えれば子供だったね》《でも子供だったけど一生懸命だった》《一生懸命竜ちゃんを愛してた》《あなた以上に好きな人なんてできないよ》《この先もできない》《竜ちゃんを思い出にすることなんてできない》ただいま。
(一同)お疲れさまです。
(電話)はい美津原消防署調査課。
何ですって!?主任大変です!藤島由貴さんが自殺を図ったって。
何だって!?失礼。
クロさん。
ああ。
どうですか容態は?非常に危険な状態だ。
それでなお前宛に遺書が遺されていた。
自分にですか?お前宛だから誰も読んでないんだ。
読んでみてくれ。
はい。
(由貴)「ごめんなさい。
びっくりしたでしょう紅さん」「でも私は彼のいない世界にひとりで取り残されたくなかった」「一分でも一秒でも先に死のうと思ったんです」「そしてそれが私の抱えた罪を償う一番の方法だと」「本当のことをお話します。
十四年前…」何て書いてあるんだ?見せてみろ。
大事なことなんだ。
話してくれ。
残念ですがお話しできません。
何!?どういうことだ?何で!?私ならいいでしょう?私はあの子の母親なんです!すみません!話せません。
あなたにそんな権利があるんですか?あります!この手紙は私宛に来た信書です。
もしどうしてもこれが読みたかったら裁判所で略式命令を取ってください。
でもその前に自分はこれを破り捨てると思います。
自分の言ってることがわかってるのか!?もちろんわかってるよ!どうしても話せないのか?はい。
話しちゃいけないことなんです。
失礼します。
おい紅!火災調査官!《あの遺書で柚木竜一が犯人じゃないことは明らかになった》《じゃあ誰だ?誰がこの火事を…?》
(柚木)俺が行ってインターホンを鳴らした後いきなり火がついた。
《柿沼朝子の部屋のインターホンには仕掛けがなかった》《発火装置も見つからない》《犯人はどうやって柚木竜一が来ると同時に火をつけることができたんだ?》《クソッ…》
(ノック)はい。
水野さん?お仕事中お邪魔してすみません。
ああいえ…どうぞ。
せっかくですけど遺書のことでしたら…。
わかってます。
「しゃべれない」でしょ?はい。
いいんですそのことは。
もうあきらめてます。
由貴さんが自殺を図ったときに気づいたんです。
あの2人は愛し合っていたんだと。
でそのことを遺書に書いてあったら私は身を引こうと思って…。
水野さん…。
それでお願いがあって来たんです。
何でしょうか?あなたは竜一のこと犯人じゃないって言ってるんでしょ。
ええまあ…。
だったらあいつの身の潔白を証明してやってください。
僕にできることがあったらどんな協力でもしますから。
これは僕のせめてもの意地なんです。
僕だって由貴さんを竜一に負けないくらい君を愛していたんだぞっていう。
彼女の幸せのためにもお願いします。
わかりました。
何かわかったら真っ先に水野さんにお知らせします。
失礼します。
侵入してきた犯人はまず部屋にガソリンをまく…。
ガソリンは当然気化するわけだから…。
例えば冷蔵庫のサーモスタットが効いたときサーモスタットからガスから火花が飛び散ってそれに引火して爆発…!そうか…。
だったら部屋のどこかにローソクを立てておけばいいんだ。
ローソクを立てておいてガソリンが気化するのを待って爆発させる。
バカか俺は…。
それじゃどっちにしろ柚木竜一が来たタイミングに合わせて発火するようにセットすることができねえじゃねえか。
クソーッ!どうやったんだ…!クソーッ!・
(ドアの閉まる音)白井…。
何しに来たんだお前。
言っただろう。
今度の事件の調査は俺1人でやるって。
帰れ。
知ってるんですか?世間のみんなが何て言ってるか…。
紅蓮次郎は頭がおかしくなった。
警察に遺書も見せずに犯人をかばってるって…。
言いたい奴には言わしとけー。
悲しくないんですか?情けなくて腹が立たないんですか!?全然。
そうですか。
じゃあいいです。
僕がその遺書見つけて警察に届けますから。
見つけられるもんなら見つけてみろ。
僕はね先輩のお尻のどこにホクロがあるかそれまで知ってるんですよ。
何言ってるんだよお前。
気持ち悪いな。
先輩の大事な物は全部そうです。
亡くなった奥さんの写真俊介君の写真全部ヘルメットの中に隠してある。
白井…!取ってきます。
白井!白井ちょっと待て!ちょっと待て待て…!白井!そうだそこだ。
だったら何て書いてあるのか教えてくださいよ!俺たち仲間でしょ!?灰の中から真実見つける仲間じゃないですか!柚木竜一がな14年守ってきたものを守りたかったんだよ。
柚木と由貴さんが14年守り続けてきたものを守るためにはどうしてもあの遺書を見せるわけにはいかなかったんだ。
いいか白井。
これは消防官白井勇一に話すんじゃないぞ。
人間白井勇一に話すんだ。
お前もそのつもりで聞け。
はい!あるところにものすごく愛し合っている17才の若者と17才の娘がいた。
授業つまんないよねホント…。
そんなことないよ。
そんなことあるって。
やめてよ〜。
おい待てよ。
つかまえた。
2人は誰にも気づかれずにその愛を育んでいた。
ところが…。
ある日その娘の家の工場が火事になった。
そのとき2人は火災現場から逃げていく人間を見てしまったんだ。
それはその娘の父親だった。
父親は蒲鉾店の経営に行き詰まって大勢の従業員を路頭に迷わせまいとして工場を燃やしその保険金を手に入れようとしたんだ。
でも警察だってバカじゃない。
それまでに近辺で起こっていた連続放火事件とはちょっと様子が違うとにらんでその父親を保険金詐欺の疑いで連日連夜取り調べたそうだ。
そんなとき若者が言った…。
俺がやったことにするよ。
俺だったらまだ未成年だしそうすれば君も君の親父さんも助かるだろう…。
ダメよ竜ちゃん!そんなことする必要ない。
絶対ダメ!でも若者の決意は固かった。
彼は娘の父親が放火のときに使ったのと同じ発火装置を作ってゴミ置場を燃やそうとしてわざと現行犯で捕まったんだ。
若者は言ったそうだ。
誰に何を言われようと構わない。
君だけは真実を知っている。
だから世間に何を言われようと耐えられる。
君の愛があれば…ってな。
そんなことが…。
でもじゃあなぜ2人は一緒にならなかったんですか?若者は少年刑務所にいるときに気づいたんだよ。
愛し合うのは簡単だ。
でももし結婚したら彼女には一生放火魔の妻っていうレッテルがついてまわる。
子供が生まれたらその子は放火魔の子供だって言われ続けるって。
だから彼は彼女との思い出だけを胸に自分たちの愛は完璧だったっていう思いだけを胸に彼女の前から姿を消したんだ。
そんな…。
そんなの奴ひとりが犠牲に…。
紅さん差し入れです。
わーおすげえ!本当は家庭的な人なんですね。
見直しました!…なんてね。
・でもな白井俺にはあいつの気持ちが痛いほどわかるんだよ。
俺女房を亡くしてるだろ。
あのとき俺もう生きてくのが嫌んなるぐらい気力を失ったんだ。
だってそうだろ?それまでずーっと2人で生きてきたんだぜ。
2人でいろんなことしゃべり合っていろんなことで笑って泣いて…。
あいつに「ご苦労さまでした」って言われるのが俺の生きがいだったんだよ。
それが何の前触れもなくある日突然いなくなっちまったんだからな…。
順子…!正直何を支えに生きていったらいいのかわからなくなったよ。
でもそんなある日ふと思ったんだ。
そうだ。
あいつとの…女房との楽しかった思い出だけを胸に生きていけばいいんだって…。
柚木竜一もそうだったんだよ。
あいつも由貴さんとの思い出だけを胸に生きてきたんだ。
胸の中の由貴さんにしゃべりかけたり笑ったり泣いたりし続けてな…。
バカだよ…。
あいつ…大バカだよ。
こんな汚い世の中で…。
自分のことしか考えないこんな世の中でそこまで…。
先輩俺にも守らせてください。
あいつが14年間守ってきたものを俺にも守らせてください。
そしてあいつのことを罠にはめた奴のトリックを考えましょう。
俺にも…俺にも手伝わせてください!足だけは引っ張るなよ。
現場に戻るぞ!はい!ただいま…。
はあ〜。
親父!俺に一生キスさせないつもりかよ!?何だよお前…。
帰ってくるなり…。
俺はくたくたなんだよ今日は。
円ちゃんに言われたんだ。
何を?円ちゃん自分のお母さんの恋を応援するって。
でもその恋がかなったら俺と円ちゃんは兄弟になるわけだからキスするのはおかしいって。
はあ?何言ってんの?お前。
話が全然みえねえ。
いいんだよもういいんだ。
俺は父さんの女心をもてあそぶ不埒な生き方の犠牲になるんだ。
一生キスできないんだ。
バカヤロー!おいちょっと待て。
お前親に向かってバカとは何だ。
バカとは!うるせー!バーカ!俊介!待て!頭きたこのヤロー!待てって言ってるだろ!おいこら俊介!おい!俊介出て来い!卑怯だぞこのヤロー!姿を見せろ!うう〜っ!うう〜っ!チクショー!お〜ら!ヤベエ…!うわぁ〜信じらんねえ。
クソだよクソ力。
腰痛いお前…。
大丈夫かよ?おおサンキュ。
アイテテ…。
おお…本気で痛い。
このヤロー!ハハハ…!イッテー…。
マジ目から火花出た。
ざまあみろ。
調子乗ってるからだ。
俺も出ちゃった…。
何…!?火花?そうか…。
火元はこれだ!俊介!お前は偉い!何てかわいいんだ。
キスしてやろう。
やめろやめろ…!よしよし。
俺ちょっと出かけてくるから。
戸締り用心火の用心。
いいな!父さん…父さん!すみません。
西新町のグレイパークマンションのドアノブを取り付けたのってお宅…。
お前…。
あのときの恨みは忘れちゃいない。
何なんだ?火災調査官話って。
由貴さんの遺書を見せる気になってくれましたか?いいえ違います。
水野さんやっとわかりました。
柚木竜一を罠に陥れた犯人が使ったトリックが。
トリックが…?犯人は実に巧妙な人間でした。
3日前に藤島由貴さんの部屋のドアのノブをわざと壊して柿沼朝子さんのマンションのドアのノブと同じノブに付け替えさせていたんです。
そうですよね茜沢さん?ええ。
それをあなたに頼みに来た人は誰でしたか?水野さんです。
おい!水野さん!水野さん…そのときあなたこう言ったそうですね。
藤島さんの娘さんの部屋ね…。
これどう?いや…。
これにしてくれ。
それがどうかしたんですか?私は別にそのノブがいいからそれにしてくれって言っただけです。
紅!ああクロさん。
ご苦労さまです。
お前の言ったとおりだった。
柿沼朝子の口座には毎月30万の金が振り込まれていた。
振込みの前日あるいは当日の朝必ず決まって同じ金額の金をこちらの水野さんも引き出していた。
どういうことですか?その30万とか口座とか…。
つまりですね警部。
一部上場化学会社の副社長であられる水野伸司さんは柿沼朝子に脅迫されていたんですよ。
何だって!?フッ…バカな。
何を言ってるんですか?私は柿沼朝子なんて女性は知りません。
そんなわけはないでしょう。
だって柿沼さんの部屋からあなたとツーショットの写真が見つかりましたよ。
嘘だ!そんなもんあるはずがない。
撮った覚えが…。
そうですよね。
そうなんです。
あなたは柿沼さんとのツーショットの写真を撮らせないように2人でいるところを誰にも見られないように常に気をつけていました。
なぜならあなたは柿沼さんに一番の弱みを握られていたからです。
その弱みっていうのは?14年前の連続放火事件の犯人は水野さんだったんですよ。
まさか…。
確かに14年前の放火事件のときに逃げて行く高校生の後ろ姿が何度か目撃された。
しかし柚木竜一が現行犯で捕まってしまったためその罪はすべて柚木竜一にかけられてしまったんだ。
くだらない。
あなたたちは憶測で犯人をでっちあげるんですか?そんなことはしませんよ。
今からあなたが柚木を陥れるために使ったトリックをお見せします。
白井始めるぞ。
はい!これは柿沼朝子さんの部屋のミニチュアです。
ただし実験のためドアのノブだけは本物と同じ物を使用させていただきます。
そしてこちら。
これはマッチや肥料の原料となる物質です。
化学工場を経営されてる水野さんにはいとも簡単に手に入る物です。
そうですよね!?まず初めにこのマンションのドアのノブ。
これを取り外します。
次に今外したノブのこの部分。
ここにこちらの物質を仕込みます。
よし。
続いてあなたはこの部屋にガソリンをまきちらしました。
天井!はい!それではガソリンが気化するまでの間しばらくお待ちください。
よしいいだろう。
白井!はい!水野さんあなたはこういった変声器を使って柚木竜一に電話をかけましたよね。
(ボイスチェンジャーの声)お前に手紙を出した柿沼朝子のマンションを教えてやる。
行ってみろ。
その電話を受けた私柚木竜一は柿沼朝子さんのマンションに行ってみます。
ピンポーン。
インターホンを押しても反応がない。
それでドアのノブをこう回すと…。
ノブを回したときの摩擦でこの物質が発火しガソリンに引火したんです。
消火!
(調査官)了解!あなたは藤島由貴さんのときも同じようにこいつを使いましたよね?藤島蒲鉾店の女将さんに聞いたよ。
仲人に挨拶のために迎えに来たお前さんは女将さんと由貴さんを車に乗せたあともう一度戸締りを見に行ったそうだな。
そのときあなたはドアに仕掛けをして柚木竜一に電話をかけた。
ウエディングドレスを燃やして結婚をメチャメチャにしてやると…。
柚木は慌てて藤島家へ駆けつけました。
そして…。
水野伸司火元はお前だ!なぜ?なぜあんた…。
俺たち3人は高校まで一緒だった。
でも由貴さんの心はいつも竜一ひとりに…。
俺は竜一が…竜一が憎かった!やっと由貴さんと一緒になれると思ったのに…!何であんな女と結婚するのよ!?私はどうなるのよ一体!お前にはこれまでそれなりのことをしてきたつもりだ。
それはお金はもらったわ。
でも知ってたでしょ?私はあなたのことが好きだったのよ。
ねえお願いだから私をお嫁さんにして。
あんな女じゃなくて私をお嫁さんに…。
いい加減にしろ!もう付きまとうのはやめてくれ。
いいわよ。
じゃああのことしゃべってやる。
14年前受験勉強のプレッシャーと藤島由貴に失恋したムシャクシャした気持ちであっちこっちに火をつけまわったのは誰なのか。
フンッ!何…!?あっ…うっ…。
殺しなさいよ!でも無駄よ。
あなたのことを書いた日記全部隠してあるんだから。
それが目につけばあなたは一巻の終わりね。
何…!?ケホッ…コホッ…。
それだけじゃないわ。
あの由貴って女があなたと結婚するためにウエディングドレスを作ったと知ったとき私柚木竜一に手紙を出したわ。
お前が来なけりゃ藤島由貴の結婚式をメチャクチャにしてやるってね!何でそんなことを…!?柚木竜一が来ればあの女の心は揺れ動くわ。
ざまあみなさい。
あなたはね私と結婚するしかないのよ。
私と…。
あの女は悪魔だ。
俺は逃れたかっただけなんだよ!お前は柚木竜一を思いのままに動かしてあたかも14年前の放火魔がまた連続放火と殺人をしたかのように思わせた。
ああ…愛してたんだよ俺は。
愛してたんだよ俺は。
柚木なんかより由貴のことを愛してたんだよ!違うよ水野。
愛してた…。
お前のは愛なんかじゃない。
人を愛するっていうのはな自分よりもまず相手の心を思いやることだよ。
愛してた!愛してたんだよ!違う!!お前は自分の心を満たすためだけに人の命を奪い卑劣な放火を繰り返してきた。
俺はな火をもてあそぶ人間だけは絶対に許せないんだ!うるせー!水野!どけ!警部!
(灰田)うん!水野伸司放火殺人の容疑だ。
来い!青木の顔が一瞬浮かんできてな…。
中隊長…。
青木の出動回数5年で216回。
救出した人間22人。
紅このことを覚えてるのはお前だけだと思うなよ。
放火をした人間を絶対許せないのもな。
梨田さん…。

(携帯電話)はい白井です。
主任。
うん?美津原病院からです。
はい…何ですって?よっ!ずいぶん長いこと眠ったな。
おはよう。
事件は?終わったよ。
犯人は水野だった。
でもお前さんがこんなことになって生きる気力なくしちゃったんだろうな…。
由貴さんが自殺を図った。
何ですって…!?14年前の真実をすべて遺書で俺に告げてな。
その遺書の最後にはこう書いてあった。
「私は誰とも結婚するつもりはありませんでした」「でも店の経営がまた行き詰まって結婚を条件に融資を申し出てきた水野と仕方なく…」なぜ彼女がそんな決断をしたのかお前にわかるか?あの店はなお前がお前の人生のすべてをかけて守ってくれた店だからだ。
お前のためにどんなことをしてもあの店を守りたいそう思ったからだ。
紅さん由貴は…?さっき息を引き取った。
柚木…。
水野伸司と結婚しようと思ってた由貴さんは死んだ。
でもな…白井!由貴…。
由貴さんはなお前が命をかけて守ったウエディングドレスを着て生まれ変わったんだよ。
あなたが守ってくれたウエディングドレスだもの。
あなたの前で着たかった。
あなたのために着たかった…。
由貴…。
お願いします竜一さん。
ふつつかな娘ですがこの子をもらってやってください。
あなたに罪をかぶってもらった主人も…。
主人もきっとそう願っていると思います。
おかあさん…。
おめでとう。
誰かが言ってたよ。
世の中いい加減な愛が多すぎる。
自分のことしか考えない勝手な奴が多すぎるって…。
でも君たちは違ってた。
14年間だもんな…。
14年も守り続けたんだもんな…。
うれしかったよ俺。
お前たちに会えてさ…。
不器用だけどまっすぐな愛見せてもらえて。
うれしかったよ。
本当おめでとう!これですべて事件も解決して2人の結婚も決まり万々歳ですよね!まあそうだな。
先輩。
うん?次はいよいよ先輩の番ですね。
何が?紅さーん!うわっ!お父さん!うわ〜っ!すごい偶然!こんなところでお会いできるなんて…。
本当にそうですね。
おいお前お父さんがここにいるってママに言っただろ?おう言った。
バカ!俺決めたんだ。
何を?円ちゃんのお母さん応援するって。
何言ってんだお前?それで円ちゃんの印象よくするって。
バカだね本当に。
それにもし円ちゃんの応援してくれたらご褒美くれるって。
まさか…これか?ウソつけ…。
ねえ円ちゃん?うん!ええっ!?ホント?だってこれって…。
紅さん。
私気づいたんです。
はい?亡くなった奥様を深く深く愛してらっしゃる紅さんだから好きになったって…。
あっいえそんな…。
紅さん亡くなった奥様のこともっと話してください。
私なんだかファイトがわいてきちゃって。
困ったな…。
失礼します!お父さんお父さん…!紅俊介…。
火元はお前だ!お〜ら!
体重を40年間維持しているというこちらの女性
2015/09/18(金) 14:00〜15:51
ABCテレビ1
火災調査官 紅連次郎4[再][字]

完全密室無人出火のトリック!14年間燃え続けた炎の関係を見た!

詳細情報
◇番組内容
船越英一郎主演シリーズ第4弾のスペシャル!!大掛かりな火事再現実験シーンは必見!炎より熱い男、紅蓮次郎の活躍にご期待ください。
◇主演者
船越英一郎、河相我聞、平泉成、勝村政信、芳本美代子、長谷川初範、マギー、池田政典、山下容莉枝、梅沢雅代 ほか

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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