相棒 season6 2015.09.18


(伊丹憲一)丹野翔平27歳。
ロックバンドのリーダーか…。
(米沢守)この索状痕から見て凶器はギターの弦で間違いないでしょう。
(伊丹)ミュージシャンがギターで殺されるとはな…。
しかしそんなに有名なのか?この…ディープ…ディー何とかってバンドは。
(米沢)おやご存じありませんか「DeeProvidence」。
若い女性の間では大人気ですが。
ふぅ〜ん。
…ん?今お前俺にケンカ売った?いいえ。
(杉下右京)ドアホンを鳴らしたけれども返事がなかった。
そうですね?
(元村美穂)ええ…。
(亀山薫)で合鍵を使って中に入り死体を発見したと?てっきり居留守を使ってるって思ったから…。
なぜ居留守だと思ったのでしょう?彼から別れてくれってずっと言われてて。
新しい彼女が出来たからって…。
でも私にだってプライドあるし。
最後に1発ぐらい引っぱたいてやろうって…。
イタタ…痛いな。
何刑事みたいな真似してんだよこの特命係が!あぁ…てめえらの代わりに第一発見者から話聞いてたんだろうがよ。
余計なお世話だ。
亀は甲羅干しでもしてろコラ。
何コラ。
ん?ん?
(芹沢慶二)先輩。
おぉ〜いつの間に…。
よっ!ほら相手にするな。
(舌打ち)でどうした?あ…目撃証言なんですけれどゆうべの犯行時刻頃ガイシャが若い女性と表で何か言い争ってたそうです。
若い女性…?ええ。
な…何よ?別れ話を持ち出されたって言ってましたよね?彼から。
すみませんが確認のためご足労願えますか。
すみません。
そういうわけだ。
お前の出る幕はねえ!
(米沢)どうも。
あぁ触っちゃマズイんじゃないすか。
ねえ?チューニングがバラバラです。
弦を張り替えた直後に殺害されたようですねぇ。
あ…えっと12…。
(米沢)5本しかありません。
ないのは第5弦です。
じゃあその第5弦が凶器で犯人がそれを持ち去ったって事ですかね?だとするならば犯人はなぜ6本全部を持ち去らなかったのでしょう?全部持ち去ってしまえば凶器の特定はしにくくなります。
確かに。
もしくは動転していてその凶器の第5弦だけを持ち去った。
ありえますな。
犯行時刻に若い女性が目撃されていましたね?ええ。
バンドなんかやってるとモテるんですよね。
さっきの女性も気になりますけどその「新しい彼女」ってのも気になりますね。
いずれわかると思いますよ。
ちょっと…おたくは?
(三原研治)いやあの…私丹野翔平のマネージャーなんですよ。
入れてください。
すみませんがまだ現場検証が済んでいないので入れません。
あちょっとちょっと…えっとマネージャーの方ですか?あはい。
三原と申します。
じゃどうぞ。
あすいません。
ちょっとお話よろしいですか?あ…はい。
丹野さんが何かトラブルを抱えていたというような事は…?例えば女性関係ですとか。
ええ…ま確かに女性関係は派手でした。
先ほど新しい彼女が出来たという情報を聞いたんですが誰だかご存じありませんかね?えっと確か…笠井夏生という女子大生だったと思います。
笠井夏生さん?はい。
笠井…。
あ…すいません。
(三原)おい翔平。
おい翔平…。
おい翔平!おい!
(三原)どうしちゃったんだよ!?お前。
おい翔平!
(キャスター)「昨夜人気ロックバンドDeeProvidenceのリーダー丹野翔平さんが何者かに首を絞められ殺害されました」「警察では人間関係のトラブルが原因とみて捜査しています」
(人々のどよめき)
(キャスター)「DeeProvidenceは昨年のデビュー曲『この胸の高鳴りを』で一躍大ブレイクし丹野さんはボーカル兼リーダーとして活動していました」
(チャイム)
(チャイム)いないみたいですねぇ。
自宅じゃないとすると…大学行ってみますか?亀山君。
あ…。
笠井夏生さんですか?
(笠井夏生)…はい。
警視庁の杉下です。
亀山です。
ちょっとお尋ねしたい事が。
私が…殺しました。
はい?え…?これで…翔平さんの首を…。
バッグの中を確認させていただきます。
はい…。
こちらは?アトピーの薬です。
決まった時間に飲まないといけないんです。
そうですか。
ではまず丹野さんとの関係を話していただけますか。
ひと月くらい前に…たまたまあの曲を聴いて。

(ラジオ)『この胸の高鳴りを』
(松宮恵理)どうしたの?何かいいねこの曲。
あ…去年ヒットしたじゃん。
あそっか…。
何て曲?DeeProvidenceのデビュー曲だよ。
『この胸の高鳴りを』ってやつ。
ふぅ〜ん…。

(丹野翔平)「僕は何をなくしたんだろう」「はがれ落ちてく皮膚のように君のぬくもり確かめられない」「今滲んでく景色の中追いかけた形のない雲」「あの日確かに刻まれたこの胸の高鳴りを信じたい」
(恵理)行こうよサインもらえるかもよ。
(夏生)遠慮しとくよ。
目の前で見たら卒倒しちゃうって。
(恵理)えぇ〜!?
(夏生)ね私はいいから行って…。
え〜いいの?
(歓声)
(丹野)あごめん大丈夫?え…?読まれたの初めてだよ。
おとり作戦。
…行こう。
(夏生)それから何度か2人っきりで会ったりしていつの間にか付き合ってるって感じに…。
そのような恋人をどうして殺してしまったのでしょう?恋人ですか…。
私は遊ばれてただけです。
他にたくさん彼女がいるってわかってそれでついカッとなって。
首を絞めて殺した…?衝動的に?…はい。
その後はどうされていたのでしょう?気が動転してゆうべから街をうろうろと…。
コラ〜亀!偉そうに何やってんだ?第一発見者はどうしたんでしょうか?伊丹先生〜。
目撃者に確認したら違ったんだよ。
というわけでご苦労様でした。
(ギター演奏)失礼します。
米沢…。
あっ何やってんすか?あ…。
これ現場にあったギターでしょ?すいません元ギター小僧の悲しき習性でついついチューニングしてしまいました。
被疑者が所持していた第5弦調べていただけましたか?ええ抜かりなく。
それがですねあれだけくっきりと索状痕が残っていれば被害者の皮膚片ぐらいは付着しているはずなんですが…。
ないんですか?明らかに拭き取られてますねぇ。
現場もわざわざ鍵をかけて後にしている。
気が動転していたわりには妙に冷静だと思いませんか?衝動的な犯行だったかどうか疑わしいですね。
失礼…。
ああ…。
(柄本)だったら俺らどうなるんすか!?
(八木聡)翔平の代わりはすぐ見つけてくるって。
「NeoProvidence」として復活だ。
だから少しは落ち着いてくれよ。
な?あぁ…。
あ…。
何かお取り込み中でしたかね。
ええまあいろいろと…。
ちょっとよろしいですか?ええどうぞどうぞ。
(八木)どちら様?
(三原)あの…刑事さんです。
(八木)ああそう…。
先ほどは失礼いたしました。
私改めまして三原と申します。
恐縮です。
あどうも。
(三原)こちら社長兼音楽プロデューサーの八木です。
でこれは残りのメンバー。
(柄本)残りだってよ。
所詮俺らなんてオマケだもんな。
そういう意味じゃないよ。
で何か?あ…例の笠井夏生さんについてちょっと。
ああそれなら私よりはメンバーのほうが詳しいかと思いますが。
皆さん笠井夏生さんをご存じですか?
(早乙女)夏生ね…知ってますよ。
夏生さん曰く丹野さんには彼女がたくさんいたそうですが。
(早乙女)いやいやむしろ本気でしたよ翔平は。
本気?
(早乙女)その子一本に絞るために他の女次々に切っていったくらいですから。
(甲田)変わったよなあいつ。
派手な女に飽きちゃったのかもな。
ああそうすか。
あでも皆さんも大変ですねこれからね。
だよなぁ…。
おいマジこれからどうするよ?翔平1人でもってたようなもんだし。
それがいないってんじゃもう…。
DeeProvidenceは事実上解散だろ。
あれ?でもさっき何か復活って…。
(柄本)代わりがいりゃあねぇ。
(甲田)大体代わり見つけるつってもさあ曲だけはどうにもなんないじゃん。
(早乙女)作風は変えられるのかよ?
(八木)なあ刑事さんもういいだろ?今さら翔平の彼女の事なんかさ。
(八木)翔平が戻ってくるわけじゃあるまいし…。
お取り込みのところお邪魔しました。
(芹沢)婚約指輪!?
(ナオミ)ええ。
その…何だっけ夏生?とかいう女のためにこっそり注文してるんだ〜って。
それをあなたに言ったんですか?丹野さんが。
これから手を切ろうって相手に普通そういう事言う?うれしそうにさあどんな神経してんだか。
ですよねぇ。
ナオミさんお願いします!けどねぇ憎めなかったんだよね翔平のそういうとこ。
はぁ…どうなってんだ?
(内村完爾)何せ被害者が被害者だ。
(内村)マスコミのプレッシャーも強い。
(中園照生)次の記者会見で笠井夏生の実名を公表する。
その件については異論はありませんが…。
が何だ?あの女の供述には不自然な点が多々。
昨夜目撃された若い女も彼女ではありませんでしたし…。
凶器を所持してたんだろう?だったら問題あるまい。
問題ない。
被疑者の供述に矛盾がないようお前たちがうまくまとめろ。
あ…はい。
「AllSongsWrittenByShoheiTanno」考えてみたらかわいそうですね丹野翔平も。
「かわいそう」とは?いや1人で作詞も作曲もこなす才能があったのに事務所からは金のなる木ぐらいにしか思われてないし他のメンバーだって自分の事ばっかりで。
スターの虚像と実像とは得てしてそういうものかもしれませんねぇ。
(宮部たまき)その孤独を紛らわすために女遊びしてたのかしら。
笠井夏生さんに出会うまではそうだったのかもしれません。
でもだとすると彼女の供述と矛盾するんですよねぇ。
いらっしゃい。
(亀山美和子)こんばんは。
お疲れ。
こんばんは。
よっどうだい?事件のほうは。
情報はやれませんよ〜。
あひどいなぁ〜。
せっかく耳寄りな情報持ってきたんだけどね。
もう知〜らない。
おや?耳寄りな情報とは?あじゃあ右京さんだけにこっそり教えちゃいますね。
これなんですよちょっとこれ。
恐縮です。
悪かったよ。
うん?すいませんでした。
うんよろしい。
あのね丹野翔平って去年まで湘南のアマチュアバンドに所属してたんだけどさそこで何かトラブルがあったらしいのね。
トラブル?
(美和子)そう。
しかもその直後にメンバーの1人が謎の死を遂げてるの。
いかにも何かありそうじゃない?でも確か女性が自首してましたよね?ええ。
そうですよね。
じゃ関係ないか。
うん…。
「福地大二郎24歳アマチュアバンドのギタリスト」去年の秋湘南の防波堤から転落して溺死。
事故か自殺かですが警察は事故で処理したようですねぇ。

(DeeProvidenceのCD)「今滲んでく景色の中追いかけた形のない雲」「あの日確かに刻まれたこの胸の高鳴りを信じたい」
(りんの音)
(福地昭代)さぁどうぞ。
失礼します。
失礼します。
あぁ生前のままにされてらっしゃるんですね。
ええ…あの子はまだ生きてますから。
え…?おっしゃるとおりの意味だと思いますよ。
「臓器提供意思表示カード」…。
息子さんは臓器移植のドナーになられたんですねぇ。
ええ。
あの子の遺志を尊重してよかったと思ってるんです。
生きてるんですもの。
今でも誰かの胸の中で大二郎は。
あっどうぞごゆっくりしてらしてくださいね。
今お茶を。
あお構いなく。
そっか…。
亀山君。
はい?これを…。
え…これが何か?君は楽譜は読めませんでしたか?読めませんよ。
みんながみんな右京さんみたいだと思ったら大間違いなんですからね。
そっくりなんですよあの曲に。
あの曲?DeeProvidenceのデビュー曲『この胸の高鳴りを』…。
え…じゃ丹野翔平がこの人の曲パクったって事ですか?
(ノック)はい!あ…。
(昭代)どうぞ。
すいません。
失礼ですが…。
あはい。
息子さんと一緒に写ってらっしゃる方は?大二郎とお付き合いしていた可奈子ちゃんです。
今でもよく大二郎に会いに来てくれるんですよ。
添島可奈子さんですよね?
(添島可奈子)そうよ。
あの曲は大二郎が作ったの。
やはりそうでしたか。
なのに丹野は大二郎を騙して…。

(福地大二郎)「あの日確かに刻まれたこの胸の高鳴りを信じたい」
(ギター演奏)おお〜いいじゃんいいじゃん。
これデモテープあるのか?俺売り込みに行ってやるよ。
東京の音楽事務所に当てがあるんだ。
ホントか?じゃあ明日にでも一緒に。
営業担当は俺だぜ。
無愛想なお前がいたんじゃまとまる話もまとまんねえだろ。
ああじゃあ頼む。
任せとけって。
大二郎さんは抗議しなかったんですか?あの曲は自分のものだって。
したわよ!けどアマチュアが押しかけたところで門前払いよ。
丹野も逃げ回ってばっかだし。
それから大二郎はふさぎ込むようになって…。
曲を盗まれた事より丹野に裏切られた事がショックだったの。
だから大二郎は…。

(海に落ちる音)おい…!人が落ちたぞ!え…!?
(可奈子)あれは事故なんかじゃない。
大二郎は丹野に殺されたの。
そうでしたか…。
もういいですか。
結構です。
どうもありがとう。
だからね笠井さんどう見たって彼が浮気をしてたなんて事実はないんだよ。
むしろその逆です。
え…?丹野さんはあなたのためにね…。
(芹沢)婚約指輪まで用意してたんですよ。
知らなかったんだ?そんな…。
(伊丹)まそれならそれでもいいけどとにかく彼が浮気してたと判断したあんたの根拠をだな…。
ごめんなさい!え…?私…なんて事を…。
いやだから…。
ごめんなさい!…ごめんなさい。
1年前の事とはいえ添島可奈子は相当恨んでますよね丹野翔平の事。
いずれまた話を聞く必要がありますね。
でもなぁ笠井夏生の存在がネックなんですよねぇ。
何やってんですか?さっきから。
福地大二郎さんの心臓。
は?そのレシピエントつまり移植を受けた人を調べています。
何のために?っていうかどうやって?「心臓移植」「手術成功」などそれらしいキーワードでインターネット検索をかけました。
福地さんの死亡した日付でさらに絞り込めます。
でも臓器移植に関しては守秘義務が徹底してますからね。
調べてみる価値はあるかと思いましてね。
うーんどうすかねぇ…難しいんじゃないっすかねぇ。
ありました。
え…!?この方が福地さんの心臓のレシピエントです。
か…笠井夏生!?彼女の友人が去年書いたブログです。
夏生さんの手術の成功を心から祝福していますね。
すごい偶然ですねぇ。
偶然ではありません。
彼女が心臓移植を受けた可能性は考えていました。
え?彼女の持っていた常備薬。
あれは免疫抑制剤です。
(夏生)アトピーの薬です。
決まった時間に飲まないといけないんです。
あの薬はアトピーにも使われますが心臓移植を受けた人に必要な薬でもあるんですよ。
それも毎日決まった時間に。
この期に及んで何隠してるんだ!?
(夏生の苦しむ声)
(芹沢)大丈夫ですか?大丈夫ですか?笠井さん?笠井さん大丈夫ですか?
(苦しむ声)
(芹沢)救急車…救急車早く!
(芹沢)しっかりしてください!今…救急車呼びましたからね。
(モニターの音)幸い軽い発作で命に別状はないそうです。
(ため息)それならそうと…言ってくれりゃよかったのに…。
おっ…どうなんだよ?大丈夫です。
…何だよ?言いたい事でもあるのかよ!?ああ見えてかなりへこんでるんです。
じゃ…。
あ…。
添島可奈子…湘南に住んでる。
(芹沢)はい?事件に絡んでる可能性がある。
調べてみろ。
すいません。
話聞けますか?今日はたぶん無理じゃないかと。
添島さん今日はとても大切な事をお訊きするために来ました。
突然恋人を失ってしまったのですからさぞつらい思いをなさったでしょうねぇ。
せめて確かめようと思ったのではありませんか?彼が今もどこかで生きているという事を。
個人が簡単に情報を発信できるインターネットならひょっとしてわかるかもしれないと。
笠井夏生さんにたどり着きましたか?どうしても彼女に会いたかった。
(可奈子の声)もう居ても立ってもいられなくて…。
大学生に成りすますのは意外と簡単だった。
(可奈子)バードウォッチング研究会か…。
これなんかいいんじゃない?私経済学部の添島可奈子。
よろしくね。
(可奈子の声)元気になって幸せそうな彼女を見守る事で私は救われてた。
彼の命は確かに彼女の中で息づいてるって。
ところがよりによって夏生さんは丹野さんのバンドに夢中になり始めた。
さらには2人きりでデートまで。
それだけは絶対に受け入れられなかった。
お話しになったんですね?福地さんと丹野さんの間に起きた過去の出来事を。
ドナー情報も…?
(夏生)何言ってるんですか?可奈子さん。
そんな事あるわけないでしょ。
このままじゃ大二郎が浮かばれない。
だからあの男とは別れて。
(夏生)ごめんなさい。
帰るね。
待って!だったら自分の耳で確かめて。

(ギター)『この胸の高鳴りを』
(福地)「目覚めるたびに何かが…」
(可奈子)大二郎の声よ。
あなたがこの曲に引かれたのは彼の心臓が反応したからなの。
あの男とは別れて。
結局あなたが不幸になる。
私は…別れない。
…そう。
わかった。
笠井夏生さんが自首した事はご存じですね?あなたのとった行動が…。
仕方ないじゃない!!あのまま黙っておくなんて私には…!でもまさかこんな事になるなんて…。
添島可奈子さんですね?お手数ですが警視庁までご同行願います。
ウラが取れた。
被害者と言い争ってたのは笠井夏生じゃない。
添島さんあなたですね?
(ノック)申し訳ありませんでしたね。
大丈夫ですか?添島可奈子さんが今警察の取り調べを受けています。
本当の事を話していただけますね。
(夏生)人生の大半を…病院のベッドの上で過ごしてきました。
当たり前のように生きてる人たちがうらやましかった…。
私にとって生きる事は諦める事と同じだったから…。
あるドナーの方から命をもらいました。
おかげで生まれ変わりました。
世界が輝いて見えた…。
そして初めて恋をしました。
私にとって翔平さんが一番大切な人だった。
だけど…。
この心臓をくれた人にとっては一番憎むべき相手だった…。
(丹野)うちの合鍵。
好きな時に来ていいから。
福地大二郎さんって人…知ってる?誰かに何か吹き込まれたのか?その人の曲を盗んだって…。
まさかだよねごめん。
事実だよ。
え…?
(丹野)お前にだけは嘘をつきたくない。
どうしてそんな事…。
だって翔平さんにはすごい才能があるじゃない。
俺には…才能なんかねえんだ。
嘘っぱちなんだよ。
デビューの時からずっと。
今でもな…。
翔平さん…。
だからお前にだけはわかっていてほしいんだ。
本当の俺を…。
(夏生の心臓の鼓動音)
(夏生の声)もう自分の気持ちがわからなくなって…。
あの時の鼓動は翔平さんへの思いだったのか…。
それともこの人の彼への恨みだったのか…。
だからもう一度会って確かめようと思ったんです。
(夏生の声)私は答えを出した。
翔平さんを殺したのは私です。
そろそろ話す気になった?あなたと被害者との因縁についても調べはついてるんです。
動機としては十分だ。
ええそうよ。
行ったわよあいつの家に。
これ以上あの子には近づかないで。
何だよ!?いきなり。
お前も大二郎も夏生とは何の関係もねえだろ!あるから言ってんのよ!意味わかんねえよ!俺は本気なんだ邪魔すんな!!あの子の胸の中で動いているのは…大二郎の心臓なんだよ。
あんたが殺した大二郎のね…。
夏生さんには申し訳ないと思ってる。
だけど丹野を殺したのは私じゃない。
往生際悪いぞ!殺すつもりならとっくに殺してるよ!大二郎が死んだその日にさ。
どう思います?可奈子さんの本心でしょう。
でも俺には夏生さんが彼女をかばおうとしてるとしか思えないんですよねぇ。
そちらも夏生さんの本心でしょう。
え…?という事は…えっ!?行きましょう。
ずっと気になっていた事があります。
え…あ…!?
(八木)今日は何のご用件ですか?先日こちらにお邪魔した際に少し気になった事がありましてね。
その確認に。
とおっしゃいますと?メンバーの方にお話を伺っていた時我々に無関心だったあなたが突然話を遮りました。
代わり見つけるつってもさ曲だけはどうにもなんないじゃん。
作風は変えられるのかよ?なあ刑事さんもういいだろ?「曲だけはどうにもなんないじゃん」…。
確かに丹野さんが亡くなってしまったのですから曲を作る人はいませんよねぇ。
しかし次の方のおっしゃった「作風は変えられるのかい?」…これ変ですよね?変えるも何も曲を作る人はいないのですから。
(舌打ち)つまり作詞作曲は別の人物が担当してたって事になるんじゃないすかね?はぁ…まあいいかもうしゃべっちまっても。
そちらさんのご想像どおりだよ。
いわゆるゴーストだ。
やはりそうでしたか。
ところでマネージャーの三原さんですがギターをお弾きになるようですねぇ。
右手の爪が特徴的でした。
私改めまして三原と申します。
音楽事務所のマネージャーさんですから楽器が弾けても何ら不思議はありません。
しかしもしかしたらと思ってCDショップを回ったところこういうものを見つけましてね…。
三原さんはかつてソロシンガーとしてデビューしてたみたいですね。
作詞も作曲もご自分でされていますね?フッ…こんなものよく見つけてきたねぇ。
はぁ〜さっぱり売れなくってさ。
やっぱ三原にはこう華がないんだよな。
そんな折丹野さんから売り込みがあったわけですね?ああ。
ひと目見てピンと来たよ。
このルックスは使える…こいつをカリスマ的存在に祭り上げようってね。
ちょうど所属ミュージシャンも余ってたからさこいつらとDeeProvidenceを結成させたんだ。
(三原)そうですか社長がしゃべっちゃいましたか…。
(三原)まあこの業界ではよくある事ですよ。
で私は何に協力すればいいんでしょうか?被疑者である笠井夏生を送検するためにはもう1点だけクリアしなきゃいけない問題があるんですよ。
そこで三原さんからご意見をと思いまして。
はあ。
これは公にはなっていない情報ですが丹野さんが殺害された凶器は金属製の弦です。
…弦ですか。
ええ。
被疑者は一番細い弦を使ったと言っているんです。
ところが索状痕…つまり首を絞められた跡です。
その幅からすると僕はむしろ一番太い弦を使ったのではないかと思っているんです。
ちなみに一番太い弦は何弦というのでしょう?どうも僕は楽器に疎いもので。
一番太いんですから第1弦ですよ。
ねえ?違いますよ第6弦です。
6弦ですか…。
ええ。
ギターで一番太いのは第6弦です。
おやおやどうしてギターだとわかりました?え…?僕は金属製の弦としか言っていませんよ。
ギターと言いましたか?言ってませんね。
ご覧のように…この部屋には4本弦のベースもありますからね。
いやだってあいつはベースはほとんど弾けないから…。
弾けないから何でしょう?弾けないからベースの弦を張り替える事なんかめったにないと思って。
白状してしまいましたね三原さん。
丹野さんは殺害される直前確かに弦の張り替えをしていました。
しかしこの事は一般には公表されていませんよ。
なぜあなたがその事をご存じなのでしょう?あなたが真犯人だからです。
丹野さんは悩んでいたそうですねぇ。
事務所の戦略によって虚構のカリスマを演じ続けなければならない事に。
そして夏生さんと本気で向き合うためにもありのままの自分でいたいと思うようになった。
その事であなたと争っていたのではありませんか?DeeProvidenceのゴーストであるあなたと…。
三原さん!
(ため息)ずっと2人で頑張ってきたつもりだったのに…。
(丹野)正直に謝罪したいんだファンの前で。
今までの曲はすべて借り物だったって。
おい冗談よせよ。
そんな事したらファンなんて一気に離れちまうぞ。
それとも俺の曲に何か不満があるのか?そういう事じゃない!けど…このままじゃ前へ進めないんだ。
なあ翔平。
俺はさ自分にステージに立てるほどの華がないって事嫌ってほど自覚してるんだよ。
だから翔平お前に託してきたんじゃねえかよ!それ今さら…。
知るかよそんな事!俺をこんな風に仕立て上げたのはあんたらだろ!大二郎をメンバーに加えるって言っときながらさ結局口約束だったじゃねえか。
その大二郎も死んじまった…。
俺が殺したようなもんだ。
お前だって割り切ってたじゃないかよ!あいつの心臓は…!夏生の中で生きてんだよ。
今のまんまの俺じゃ夏生と向き合えねえんだよ!事務所はどうなる?うん…?お前1人の問題じゃないんだよ!!もう偽物の自分は嫌なんだよ!!偽物…?とにかく決めたんだ。
明日にでも俺会見開くから。

(丹野)おい…あぁ…。
お前が偽物だってんならよ…翔平…俺は何なんだよ…!?
(三原)俺だって…。

(チャイム)
(チャイム)天罰ですかね…。
よりによってギターの弦なんか使ってしまったから…。
翔平…悪かった。
悪かったな…翔平。
翔平ごめんな…翔平…。
許し…ごめんな…。
(嗚咽)参りましょうか。
(嗚咽)そうだったんですか…。
やっぱり可奈子さんの犯行だと思い込んでたんですね。
彼女は翔平さんの事本気で憎んでいたから…。
(夏生の声)それに表に彼女のブレスレットが落ちていたんです。
(夏生)翔平さん…?翔平さん…。
あぁ…!?あ…。
どうして彼女をかばおうと思ったんですか?可奈子さんは何も悪くない。
私が彼女の忠告を聞かなかったばかりに。
そう思ったからです。
そうですか…。
しかしご自分を責める事はないと思いますよ。
そうでしょうか。
私にはいまだにわからないんです。
何がでしょう?あの時の鼓動の意味が…。

(夏生)今ではもう翔平さんを愛していたのかどうかさえ…。
丹野翔平さんはあなたと出会った事でありのままに生きる決意をしました。
彼にその勇気を与えたのはあなたの愛だったと思います。
あなたがドナーの方の気持ちを思うのはとても良くわかります。
でもあなたの心は誰のものでもないと思いますよ。
翔平さん…。
2015/09/18(金) 16:00〜16:58
ABCテレビ1
相棒 season6[再][字]

杉下右京(水谷豊)と亀山薫(寺脇康文)の名コンビがあらゆる難事件に挑みます!豪華ゲストもお見逃しなく!

詳細情報
◇番組内容
第6話「この胸の高鳴りを」
人気バンドのボーカル(松田悟志)が変死!首には弦できつく絞め殺された痕が残っていた。しかも凶器は持ち去られていた。一体誰がなんのために…。
旋律に残された真実とは!
◇出演者
水谷豊・寺脇康文・鈴木砂羽・高樹沙耶(益戸育江)
前田亜季・松田悟志
川原和久・大谷亮介・山中崇史・山西惇・六角精児

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
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日本語
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