NHK映像ファイル あの人に会いたい「桂米朝(落語家)」 2015.09.19


(テーマ音楽)「お宅まで送らしてもらいまひょか」。
「わしもちょうど家へ帰るとこやったんや。
うちまでやってんか」。
「へいお宅はどちらで」。
「そこの茶店や」。
(笑い)人間国宝で上方落語の第一人者桂米朝さん。
「そこの茶店なら乗る手間で歩いた方が早いがな」。
「初めから歩いた方が早い言うてんねん」。
(笑い)戦後滅びかけていた上方落語を復興。
誰もが明るく笑える世界を追求しました。
桂米朝さんは大正14年生まれ。
兵庫県の姫路で育ちました。
落語との出会いは小学生の時。
父に連れられ寄席に通ううち落語を覚えてしまうほどの落語少年になりました。
昭和20年陸軍に入隊。
軍隊でも素人ながら請われて落語を一席。
戦友を慰めました。
そして終戦。
空襲で大阪は焼け野原。
寄席も一軒残らず焼け落ちてしまいました。
それでも米朝さんの落語熱はおさまりません。
昭和22年古典落語の本格派四代目桂米団治に弟子入りします。
「何じゃて」。
「おはようさん」。
「おはようさん…妙な挨拶やな」。
柔らかい関西弁でテンポよくお客さんを笑いの世界に引き込む上方落語。
しかし当時は漫才ブーム。
漫才に転向する人も多く上方落語は風前のともし火。
そんな中でのデビューでした。
入門して4年目頼りの師匠が亡くなってしまいます。
更に先輩たちが次々と世を去り上方落語は滅んだとまでいわれました。
米朝さんは上方落語の復活に人生を懸ける決心をします。
引退した噺家をはじめさまざまな人から聞き取りをしまた江戸時代の古文書なども調べて噺を復元していきました。
復活させ発展させた演目はおよそ180に上りました。
ネタを広めるため関西はもとより全国各地の高座にのせます。
「ちょっとちょっとあんたちょっと起きなはれ」。
代表作の一つ「天狗裁き」。
「寝てたな」。
「寝てたやないがなこの人は。
あんた今一体どんな夢見てたん」。
「えっ」。
「どんな夢見てたんや」。
演目によっては一人で十数人を演じ分け登場人物一人一人を明確に表現していきます。
「初め女房が聞きたがり隣家の男が聞きたがり家主までが聞きたがったる夢の話。
奉行にならばしゃべれるであろう」。
(笑い)「お奉行さんわて夢見てたら初めカカにしゃべっとりまんね」。
「右団次さんの石橋そっくりやないかいな。
この風俗がええ格好やこと。
ようよう高島屋〜!」。
計算し尽くしたしぐさや目線の動き。
観客を米朝落語の世界に引きずり込みます。
「人違いじゃ人違い」。
「何が人違い。
さあ捕まえたぞ。
顔見せんか」。
(笑い)「へえ〜これはこれは旦さんでございますかいな。
長々ご無沙汰を致しております」。
後進のために復活した噺をいち早くレコードやDVDに記録しました。
また後継者の育成にも力を注ぎ米朝一門は60人を超える大所帯となります。
平成8年米朝さんは重要無形文化財いわゆる人間国宝に認定されました。
更に文化勲章も受章します。
落語界では初めての事でした。
「あんた偉い人やな。
わしが持ってたら傷物の安茶碗。
一文の値打ちもないわ。
あんたの手に入ったんでそれだけの箔が付いた」。
上方落語の復興に心血を注いだ米朝さん。
洒落が命の笑いを極めんとした生涯でした。
「これ油屋さん」。
「わ〜茶金さんか。
十万八千両の銭もうけや」。
「十万八千両の金もうけ。
どうしたんじゃ」。
「水がめの漏るやつ見つけてきたんや」。
(拍手)常識人同士が極めて常識的な会話をしててそこにおかしさが出てくるのがこれがおかしさであると。
2015/09/19(土) 05:40〜05:50
NHK総合1・神戸
NHK映像ファイル あの人に会いたい「桂米朝(落語家)」[字]

人間国宝で上方落語の第一人者・桂米朝。滅びかけていた上方落語を復興させ、数多くの弟子を育成した噺(はなし)家人生が語られる。

詳細情報
番組内容
人間国宝で上方落語の第一人者・桂米朝。市井の人々の喜怒哀楽を巧みに演じ分け、誰もが明るく笑える世界を追求した噺(はなし)家である。滅びかけていた上方落語を復興させ、数多くの弟子を育成した功績が認められ平成21年、落語家として初めて文化勲章を受章した。上方落語の立て直しに心血を注いだ噺家人生が語られる。
出演者
【出演】落語家・故人…桂米朝,【語り】鈴木奈穂子

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ドキュメンタリー/教養 – インタビュー・討論
情報/ワイドショー – 芸能・ワイドショー

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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