LIFE〜夢のカタチ〜 2015.09.19


頭の中のイメージとか作り出す表現でなんかすごい夢ですね
今美術界が注目する女性銅版画アーティスト
独創的なイメージでセピア色の世界を表現
あの…こうしちゃいけないとかはあんまり考えずにやりたいと思ってますたぶん作ってる私が
作品をつむぎ出す点と線
そこに宿る世界観を新たな発想とイメージで展開
今回は作品に新たな命を吹き込む若き銅版画アーティストの夢のカタチ
セピア色を基調に描かれた繊細な銅版画
移ろいゆく時間や時にはあふれだす音までもが作品に…
銅版画ならではの立体感が絵の中で躍動
消えては現れる命の営みも独特の世界観で表現しています
この作品を生み出しているのは若手女性アーティスト
先月大阪市内の百貨店で「イレブンガールズアートコレクション」が開かれました
美術界に新しい風を吹き込む11人の女性アーティストたちが作品を発表することに
そして先ほどの作品を生み出したのがこの方小柳優衣さん
銅版画家として今注目を集めるアーティストです
優衣さんは今回のイレブンガールズの中では最年少
この1年ほどで作り上げたおよそ20点の作品を展示します
独特の世界観とセピアの色合い
そこには彼女のある思いも込められていました
なんか美術ってちょっと遠いものとか関わりにくいものと思ってる方がもっと気楽に来てたくさん見て頂きたいという思いと気に入ってくださる方がいればお持ち帰り頂くことで喜びとか楽しみになるんだったらそれが一番の励みですし…
彼女は銅版画家でありながらその個性を生かした油絵も手がけています
そして開催日当日
会場には11人の女性作家による作品およそ200点が展示
オープンと同時に次々と美術ファンが訪れました
この展覧会では来場者に作家みずからが作品をアピール
優衣さんの作品はお客さんの目にどのように映ったのでしょうか?
年齢を問わず大勢の人が足を止めました
そして…
こちらのご夫婦が彼女の作品を気に入り購入
すごい親しみがある感じでいいと思います
買い手がついた作品にはそれを示す赤いピンがつけられます
さらにこちらの女性は優衣さんにいろいろと質問
どうやら油絵が気に入ったようです
悩んだ末電話でご主人に相談すると…
滑り出しは上々…
今回1つだけだった油絵も売約済みに
見る人の反応を肌で感じ買ってもらえることが何よりの励み
(スタッフ)売れましたねウフフフ…ほんとにお嫁に出したみたいな気持ちです
7日間に及ぶ展覧会は彼女にとって実のあるものとなりました
そんな優衣さんが暮らすのは滋賀県長浜市
琵琶湖にほど近い自宅マンションの1室が彼女のアトリエ
どうやって作品が生まれるのか?
その工程を見せて頂きます
まずは銅板を研磨剤で磨きます
(小柳)磨く人はもっとほんとに傷がなくなるまでやるんですけど私の作風は結構傷とかも自分でワザとつけたりもするのでそこまで神経質にはならずにやってますはい
続いて専用の薬剤で銅板の表面をコーティングします
これを施すことでやわらかく繊細な描写が可能になるんです
(小柳)色んな方法があるんですがこれは「流し引き」っていう方法で今コーティングしてます
銅版画は工程が多く絵画でいうキャンバスも自分で作らないといけないのです
そしてコーティングが乾いたらようやく下絵描き
使うのは「ニードル」と呼ばれるペン先に針がついた銅版画用のもの
このニードルでコーティングされた表面に頭の中のイメージを刻み込みます
(小柳)版の上で線とか点とかとこう何ていうんですかね戯れるじゃないですけど遊んでる感じ…もう…なんかすごく楽しいですね何ていうんですかねう〜ん…
点と線を刻む緻密な作業
大きな作品になるとこの下絵作業だけで数日かかることもあるんだそうです
今秩序なく画面全体にこう色とか形の基になるものがこう散在してるんですけど銅版画の場合は完成を頭に入れてそれを逆算して描いていかないといけないのでパズル組み立てていくみたいな感覚です
ようやく下絵が完成
銅板に刻まれたのは楽譜に植物
五線譜や音符は彼女が好んで使うモチーフの1つ
そして銅版画ならではの腐蝕作業に取りかかります
ニードル針で描いていった所銅を露出させた所だけがすごい勢いで腐ってると思って頂いたら…
つける時間が長くなるほど溝は深くなるため様子を見ながら何度も調節
タイミングを見計らいコーティングを取り除きます
下絵どおりに溝が刻まれました
続いては「アクアチント」という工程
松ヤニの粉を箱の中で吹き上げそこに作品となる銅板を差し込みます
舞い降りた粉を表面に付着させることでムラやグラデーションを表現することができるのです
こうしてこの技法を得意とする彼女の作品には独特の世界観が生まれるのです
そして刷りの作業
セピア色のインクを銅板に…
特に彫りが深い所にインクがしっかり入っているように確かめながらやってます
(スタッフ)これは何してるんですか?これは今詰め込んだインクをさらにしっかり押し込んでるのとあと
ここでようやく銅板の絵を紙に写し取ります
このようにいくつもの工程を踏むことが銅版画の魅力の1つだと優衣さんは感じているんです
そしてプレス機で圧力をかけて慎重に転写
いよいよ作品の全貌が明らかに
はいできました…うん…イメージしてたぐらいのこう宇宙みたいな世界観とか…水の中にいるような…なんかこう温かい感じとか頭の中にあったイメージを銅の力を借りてすごく頭の中に近く表現できた気はします
仕上げにもう一工程
セピアの世界に鮮やかな色彩を加えます
この作品だったらちょっと赤とか紫とか…そういったイメージにしようかなと思ってるんですけどきっちり色を塗りましたみたいな感じじゃないほうが私は好きなんですけど…
さらに絵の具を含ませた筆を振って色を散らします
自分の意思で制限されたところとか制限された形とか以外の…何というか…う〜ん…えいって感じウフフフ…
こうして完成した作品のタイトルはwelcome!
そこに込めた彼女の思いとは…
(小柳)なんかこう登場人物っていうか登場してるもの全部が…受け入れてる感じ何ていうのかな…
作品作りに没頭すると部屋から出なくなるという優衣さん
時間を見つけては近くにある琵琶湖のほとりを散策
なんか結構水を命の営みの象徴として描いてくることが多かったので自分が営んでる所にある景色を自分っていうフィルターを通して作品が生まれるというのもすごく1つの作品のあり方なのかなって思います
この風景が彼女に新たなインスピレーションを与えています
(小柳)もともと高校の時に通っていたアトリエとあと入学した大学では油絵を専攻してまして最終的に卒業制作を銅版画で納めたって形で油絵もすごく表現しやすい技法です
幼い頃から絵を描くのが大好きだった優衣さん
高校時代に美術教室に通い始め本格的に油絵を学びます
その後大学で油絵を専攻
しかし2年生の時に銅版画と出会いそのおもしろさに魅せられたのです
以来銅版画アーティストとして活動を続けています
そんな彼女を陰で支える人がいました
おかえり!
それが県立高校で教師をしているご主人の小島義博さん
2人は大学時代に知り合いお互いを支え合うパートナーとなって2年前に結婚
ご主人の地元・滋賀へ移り住んだのです
展示前はちょっと全面的にサポートしてもらってるんですが最初は正直「ああ結構つらいな」と思う時もありましたけどよくよく考えたら…ほんと?今やから言うけどアハハハハ…でも自分がこう野球するようになってからでも展示がない時はちゃんと3食作ってこう応援してるやん仕事逆やん何にも言ってないから…
ご主人の理解と優衣さんの気遣い
それが創作活動の原動力かもしれません
そんな優衣さんに新たなオファーが舞い込みました
それがホテル型アートフェア「アート大阪2013」
ホテルの部屋を使うこの展示会に彼女は出展を依頼されたのです
早速そこで発表する作品のイメージをスケッチ
タイトルはもう決まっていて…こうふ化した蝶がその空に飛び立っていくような
(スタッフ)ヒントになる何かがあったんですか?実はあの…このドキュメンタリーのお話頂いて1回目の打ち合わせをしたあとに妊娠してることが分かったんですよ…だから女性がこう…命を受ける時の奇跡みたいな気持ちを
新たな命を宿した優衣さん
果たしてどんな作品が生まれるのでしょうか?
独創的な作品を生み出す銅版画家・小柳優衣さん
今展覧会に向けて新たな命を宿した彼女だからこその作品を生み出そうとしているのです
今まではあの…蝶だけとか何かモチーフだけっていうのを画面に収めることが多かったが今回は卵から…蝶が逆三角形にこう空に向かって広がっていくようなちょっとストーリー性を持たせながら4つの要素を画面に入れてるので新しい試みっていうかちょっとチャレンジングなことです
早速できあがった版を試し刷り
今回は和紙を使います
(小柳)結構白黒はっきり出ましたう〜ん…ちょっとインクを詰め具合が足りない所があって…あっダメだこれ!ちょっとインクが漏れてますこれは作品には使えない…実際使うやつはもう1回刷り直してやりたいなと思います
試行錯誤する中この日は大阪へ
作品を展示するホテルの客室を下見
もともとねあの…こちらの26階の「憩」っていうフロアなんですけどアートを飾るために作っているお部屋で白い壁にもともとしてるんですアートが映えるようにでもこの窓がすごく印象的だなと思って
優衣さんはこの窓を見て今までにない展示方法を思いついたのです
そんな彼女に出展を依頼した画廊のオーナーは彼女の作品をどう評価しているのでしょうか?
かなり緻密なあの…線も細いしちょっと技巧派なんですよすごく頼もしい存在だと思ってます
彼女のアイデアはこの窓に作品を展示すること
この景色をバックに作品を飾って光を透過させるわけですからちょっと違うアプローチというか成功するか分かんないですけど…
滋賀に戻った優衣さんは再び作品作りに取りかかります
透明のものに閉じ込めることでより色んな角度からその存在感を確かめられるようなものにしたいって構想だけあってまだ全然形になってないんですけど
プラスチックで枠を作りアクリル板の上に版画を…
そしてさらにそこへアクリル樹脂を流し込もうというのです
(小柳)予定では和紙の隙間は…アクリル樹脂が透過するイメージなんですけどちょっと実験で…実験でやってみます
アクリル樹脂を使うのは今回が初めて
果たしてイメージどおりにいくんでしょうか?
(小柳)あっ堤防!?結構難しい…
慣れない作業に四苦八苦
できあがったのはイメージとは遠く気泡だらけの作品になってしまいました
入り込んでるとこと入り込めてない所があって空気がすごい止まってるみたいになってるんですよう〜ん…改良の余地ありですねあっ!剥げる!定着しないんだ素材が違うから…
新たな技法を使った作品はできあがるのでしょうか!?
新たな作品作りに励む優衣さん
その後もあれこれ試した結果たどり着いたのは…
なんかこの前いっぱい隅から漏れちゃったじゃないですかだから今回は…水道管とかの隙間を埋めるパテ補修用パテ…
この日は作品に流し込むアクリル樹脂も変更
前回の数分で固まるものに代えて丸1日かけてゆっくり固まるものを使うことにしたのです
すぐにかたくならないため慌てる必要がなく時間をかけて作業
気泡を丁寧に抜くことが可能になりました
作品は完全に樹脂の中へ
今のところ今まで一番調子はいい見た目なんですけどやっぱり乾いて型から取る時が勝負なんでまだちょっと不安いっぱいですね実際の会場に持っていってどんなふうに見えるかを確認したいんですけどだいぶよくなったんですけどまだつわりがひどいのでちょっと渡辺さん乙画廊の渡辺さんに託してどんなふうに見えるかを実際に会場で試してもらいます
長時間の移動ができないため出展依頼をしてくれた画廊オーナーに作品を送付
実際ホテルの窓に展示してもらうことに
果たしてその出来栄えは…
ああ…ああこれええねこれいいかもしれないですねいいですねここがガラスでないのがまたいい感じかもしれない版画自体はもともといいのは分かってたんですけど彼女にとったら実験的やったんじゃないですかねこれはうまいこと考えましたね
まだ見ぬ新たな生命へのメッセージ
光を浴び空へと飛び立った蝶
その姿を収めたVTRを優衣さんに見て頂きました
ああ舞い上がりましたね背景が動くから蝶に躍動感が出て…これは思ったよりいいかもしれない!アハハハ…へぇ…あっでも羽の色がちょっと空の色に負けて薄く出てたので次改善したいと思います楽しみですはい…
さらに鮮やかな羽を与えられる蝶はやがて空を舞う
そして新たな家族と共により高く羽ばたこうとする優衣さん
夢のツヅキは?
昔の巨匠とか…今有名だけど貧乏で何も食べれなくてとかそういう人とかもう絶対生きてるうちに絵で食べたかったと思うんですよ私はもう死んでから忘れられてもいいんで生きてるうちに社会と積極的に関わってそれで家族に恩返ししたいなと思います2015/09/19(土) 11:00〜11:30
ABCテレビ1
LIFE〜夢のカタチ〜[再][字]

人生はいろんな夢でできている…夢追う人の輝く瞬間を佐々木蔵之介の語りで描きます。
今回は、銅板に独創的な世界を刻む若手女性アーティストの“夢のカタチ”!

詳細情報
◇番組内容
繊細なタッチの銅版画で高評価を受ける若手女性アーティストの小柳優衣さん!
ホテルを舞台にしたアート展など新たな挑戦に密着取材中に、なんと妊娠が判明!新たな命を宿したことで彼女の作品は大きく変わる!
◇ナレーション
佐々木蔵之介
◇おしらせ
この番組は、朝日放送の『青少年に見てもらいたい番組』に指定されています。

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
趣味/教育 – その他

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz

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