一片のゆがみなき真球。
この世には存在しない。
その夢物語に挑戦した男たちがいた。
どこまで真球に近づけたか。
究極に真っ平らな台の上を転がしその距離で勝負。
(池田)圭一さんの球スタートしました。
こちらから見ている分にはまっすぐです。
20m残りは10m。
25m。
すげえ!美しい球が徹さんの方に転がってきます。
徹さん手を構える。
30m!きた〜!
(拍手)すげえ!何と30m走破!まさに奇跡!その放送後視聴者からこんな声が。
そこで今夜は究極の平面その開発の舞台裏に迫る。
ジュニアさん冬の町を歩いて頂いてますけど。
いや7月なんでしょ。
そうですね。
放送はあったかい時期なんですけれど今は2月なんですよね。
この場所っていうのはここはどこなんですか?どんな場所かといいますと…すご〜い!まさにそのど真ん中にあるのが…。
ここで究極の平面が生まれた。
(甲斐)はいどうぞ。
あ…え〜。
ありがとうございます。
お邪魔します。
おっきい!すごいですよ。
この工場で造るのはトンネルの掘削機や飛行機の胴体を造る部品などの大型製品。
最も得意とするのがこれ。
真っ平らな台。
石で作った定盤だ。
何に使うかというと…。
テレビやパソコンなどの液晶画面。
これを作るのに欠かせないのだ。
もし定盤がなかったら…。
真っ平らな液晶は作れない。
あ〜酔いそう!定盤の大きさは通常3mほど。
しかし今回は訳が違う。
そうなんです依頼した究極の平面は全長30m
どれくらい長いかというと…
何と10階建てのビルと同じくらい
これを全部真っ平らに
無理言ってごめんなさ〜い
いや〜「凄ワザ!」名物の無理難題!早速対策会議。
定盤作りのプロですら弱気の発言。
それには訳が…。
硬い石も30mでは自らの重さでぽっきり…。
そこで2.5mに分け12本並べる作戦に。
更に1本の精度も通常の倍以上を目指す。
さあ製作開始。
今回使用するのはインド産の黒御影石だ。
不純物が少ない最高級品。
これを惜しみなく使う。
まずは機械で磨き上げる。
平面のゆがみはすでに10マイクロメートル以下。
ここから更に精度を高める秘策があるという。
ふだんは撮影禁止の場所を特別に見せてもらう事に。
そこでジュニアが見たのは…。
何と手作業!これで石を真っ平らにするという。
失礼します。
お邪魔します。
こんにちは。
一体どうやって手作業で精度を出すのか。
こちらの石ゆがみを測定してみると…。
ひと目盛り。
1マイクロメートルだけゆがみが。
さあ狙いどおりぴったり削れるか…。
へ〜。
おしまいですか?特に仕上がりを確かめる様子もなく磨き終了。
大丈夫?針が動かなければ真っ平らになっている証拠だが…。
ゼロ。
橋本さんもお見事でございました。
(拍手)秘密がこちら。
実は職人はひと磨きで常に一定の量を削っている。
この職人の場合…自分の体格筋力に合わせ力加減が一定になる姿勢を体得。
故に正確無比。
じゃあもう30mできたようなもんじゃん
…と思ったら大間違い
その大きな壁と闘ったのは…皆が一目置く確かな技術。
原動力は石への愛。
そして若き研磨職人…向上心は誰にも負けない。
正確無比な磨きを目指し鍛錬を積む。
見よ!この美しい磨き跡。
究極の精度が求められる今回の挑戦。
そこで用いたのが電子水準器。
1マイクロメートルのゆがみも見逃さない。
20センチごとに区分けしてスタートの基準面との差を書き込んでいく。
ぱっと見真っ平らに見えるが中央部分で9.2マイクロメートルへこんでいた。
さてこの硬い石何を使って削るのか。
精度良く削る時に使うとっておきだ。
これをラップ盤という金属の板につけて磨き上げていく。
取りかかったのは一番高い端の部分。
ここを隣の高さに合わせるように研磨する。
塚目の磨きはひと磨き0.1マイクロメートル。
高さをそろえる事に成功。
更にその隣の部分に合わせて削っていく。
こうして中央の一番低い部分まで少しずつならしていくのだ。
職人の手磨き。
果たして…。
1回の磨きでゆがみを9分の1にまで減らしてみせた!この作業をひたすら繰り返し究極の平面へと近づけていく。
塚目さんすご〜い
でもこのあと大きな壁が…
キーワードは横方向
球の落下に直結する横方向の磨き。
任されたのは星だ。
僅かでもゆがみがあれば球の軌道に影響してしまう。
最も重要な作業だ。
幅7.5センチの更に半分だけを削っていく。
狭い範囲ではいつも以上に繊細な磨きが求められる。
果たして仕上がりは…。
研磨をする前の石の状態がこれだ。
この段階では左上がりの形状だった。
ところが磨いたあと石は逆に右上がりに…。
削りすぎてしまったのだ。
定盤のサイズは通常3mほど。
幅3センチの狭いエリアだけを磨くのはめったにない作業だ。
そのため星はふだんあまり使わない道具を使っていた。
小さい分力が伝わりやすい。
狙いより削りすぎてしまった。
そこで星は少し大きめのサイズに変更。
しかし大きいと高いところだけを削れない。
どうする?星何と全面を磨き始めた。
頼りは指先の感覚。
高いところだけ力を入れならしていく。
一歩間違えればこれまでの努力が台なしに…。
果たして結果は…。
常識にとらわれない磨きワザでついにナノレベルの精度を実現!磨き上げてきた腕と感覚故になしうる…
2週間かけて12本が完成
これをどうつなげるかが正念場。
頑張って!
つなぎ作業は職人が総動員。
でも重さ1トンの石どうやって動かすの?そこで役立つのがこの薄い紙。
一体何だ?シールの台紙のようなつるつるの紙だ。
これを土台と石との間に入れると1トンの石もスムーズに動くという。
ミクロンレベルの調整もハンマー1本で行う。
僅かなズレをも測定できる機器で側面を測ると…。
針が激しく振れる。
ズレがまだ残っていた。
ここで塚目のハンマーワザだ。
たったこれだけ?すると針は全く振れない。
ズレを完全になくしてしまった。
(塚目)いくぞ。
(星)はい。
まっすぐ。
まだ。
続いて石をくっつける。
激しく接触して石が欠けないよう細心の注意を払う。
ぴったり密着させる事に成功。
ところが…。
後ろから光を当てると下の方だけ僅かに隙間が。
これには訳がある。
一つ一つの精度を1マイクロメートル以内に仕上げても12本分積み重なれば大きな誤差になりかねない。
そこでこの隙間が生きてくる。
このおかげでつなげたあとでも微調整ができるのだ。
目指す精度は30m全体で誤差1マイクロメートル以内。
究極の微調整が続く。
一つのつなぎ目が完成。
その精度はというと…。
ではゆっくりそのままお進み下さい。
前へお進み下さい。
念入りですね。
ジュニアさんストップです。
過ぎました?すいません過ぎてしまいました。
ちょっと振り返って頂いていいですか。
ここだったんですよ。
ここで思いもよらぬ敵が立ち塞がった。
温度だ。
現場の室温は常に23度を保つように管理されている。
しかし実際に石の温度を測ってみると…。
上下でおよそ1度の温度差があった。
石は温度が高くなると僅かに膨張する。
究極の平面にはこれすら命取りだ。
30mのバーはふた部屋にまたがっている。
部屋の境目の僅かな空気の乱れがこの温度差を生んでいた。
膨らんだ石の中央にもう一度磨きをかける。
温度の影響を読み切り究極の平面を作る事はできるのか。
そして迎えた対決当日。
ぎりぎりまで調整を続け最終測定に挑む。
(星)南マイナス8。
3か月に及ぶ究極の平面への挑戦。
その成果が今明らかに。
運命の測定結果は…。
0.0008ミリだ!この舞台で雌雄を決するのは日本とドイツの技術者。
「凄ワザ!」初の国際マッチだ。
日本チームレンズメーカー…職人兄弟が1か月かけ手磨きで真球を目指した。
ドイツチーム。
売り上げ1兆5,000億円のマンモス企業シェフラー。
最新のシミュレーションとハイテク加工で真球に近づけてきた。
この挑戦真球だけでなく平面の精度も厳しく問われる。
その仕上がりどう映ったのか。
ホントにすばらしいと思います。
・ジュニアさん入られます。
よろしくお願いします。
究極の平面と究極の球なら必ず転がりきるはず。
精度が試される瞬間だ。
弟が磨いた球を転がす。
その精度は何とナノレベル。
・スリーツーワン。
(ブザー)転がり始めました。
徹さんの球。
ゴールでは圭一さんが構えています。
右に寄ってきた…25m。
あと5m…あ〜!あ〜!あ〜惜しい!ドイツチームも負けてはいられない。
右に寄っていく。
少し右に寄っていくが20m。
20を越えていった…。
あ〜ここで落ちました。
20mの大台を突破してみせた。
そして日本チームのもう一球。
・スリーツーワン。
(ブザー)果たしてその行方は…。
20m!残りは10m!美しい球が徹さんの方に転がってきます。
徹さん手を構える。
30m!きた〜!
(拍手)すげえ!・きたきたきたきた!
(拍手)ありがとうございました。
(星)ちょっとゴッドハンド握手してもいいですか。
ありがとうございます。
ありがとうございました。
・お疲れさまでした。
3か月にわたる彼らの挑戦が幕を閉じた。
究極の平面にかけた職人と真球にかけた職人が一体となって生み出した奇跡。
これぞまさに「凄ワザ!」だ!2015/09/19(土) 20:15〜20:44
NHK総合1・神戸
超絶 凄(すご)ワザ!「初公開!凄ワザ対決の舞台裏」[字]
「対決の舞台装置も凄ワザ!」という声にお応えして、その製作現場を初公開する。「真球対決」の舞台である“究極の平面”定盤。30mの台をなんと手仕事で磨きあげる!
詳細情報
番組内容
4月、奇跡の30m完走で決着した“真球対決”。いっぺんのゆがみなき球体を目指し、日本とドイツの職人が激突。その対決舞台となったのが“究極に真っ平らな平面”定盤だ。実はこの対決装置も職人の凄(すご)ワザが注ぎ込まれた逸品。真っ平らな定盤があって初めて、パソコンなどの平らな液晶画面ができる。しかし通常の大きさは3mほど。今回は30mという前代未聞の長さを手仕事で磨きあげる挑戦。凄ワザの舞台裏を初公開!
出演者
【出演】関ヶ原製作所,【司会】千原ジュニア,池田伸子,【語り】千葉繁
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – その他
バラエティ – その他
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音声 : 2/0モード(ステレオ)
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