(「狩人の合唱」)「ららら♪クラシック」今回は…ドイツを代表する合唱曲で世界中で広く親しまれています。
この曲は歌劇「魔弾の射手」の中の一曲。
ドイツ人の心をわしづかみにしたこのオペラ作曲したウェーバーは一躍時代の英雄となりました。
そこにはウェーバーの…そして大ヒットを生む勝利の方程式があったのです。
(「狩人の合唱」)「ららら♪クラシック」今日はウェーバーの「狩人の合唱」です。
ドイツオペラの傑作「魔弾の射手」の中の合唱曲ですけれども独立した合唱曲として歌われる事も多いという事で日本のねオリジナルの歌詞もついていますので歌われた方多いのではないでしょうか。
それでは今日のお客様をご紹介しましょう。
石丸幹二さんです。
(一同)よろしくお願いします。
この「狩人の合唱」という曲石丸さんご存じですか?耳にする事は特に小学生の頃ね音楽の授業でレコードかけてもらって聴いたりとかはしてました。
歌った事はないんですけどね。
石丸さんはねやっぱりミュージカルでも歌を歌われる事は多いと思いますが合唱の魅力というのはどんなところに感じてらっしゃいます?エネルギーが集結するんですよね。
だからどちらかというと高らかにみんなでこう前向いてワーッというような時に合唱を使ったりしますし同じ言葉を同じ旋律でずっと歌っていくというのは何でしょうね一緒に走ってるような感じでしてね。
なんかこう一体感があるっていうんですか。
「魔弾の射手」というオペラはご存じでしたか?恥ずかしながらオペラとして見た事もなかったですしそれからこれがオペラなのだという認識がなかったんですね。
という事は何だと?合唱曲。
これが全てなのかと思っていました。
確かにでも上演回数はなかなか少ないようなので。
それでは歌劇「魔弾の射手」とは一体どんな物語なのでしょうか。
こちらをご覧下さい。
19世紀初頭のヨーロッパではオペラといえばイタリアオペラを指すほどどこの劇場でもイタリアオペラばかりが上演されていました。
そんな中登場したウェーバーの歌劇「魔弾の射手」は…歌劇「魔弾の射手」はドイツの人々に古くから読まれてきた民話がもとになっています。
とある狩人が禁断の銃弾を手にする事から始まる…主人公マックスは村一番の腕の立つ狩人。
美しい娘アガーテと結婚を約束しています。
ある日アガーテの父はこう告げます。
なんとしてもマックスは射撃会で成功しなければなりません。
そこに現れたのは…なんと百発百中の「魔弾」が手に入るというのです。
実はカスパールは悪魔の手先でマックスをだましアガーテをいけにえとして差し出そうと企てていたのです。
魔弾の誘惑に負けたマックスは悪魔の住むという狼谷で落ち合う事を約束します。
狼谷にマックスがやって来ました。
悪魔の力を借りて7発の魔弾を作り始めるカスパール。
一発作る度に2人の周りに奇怪な現象が起こります。
ついに魔弾を手に入れたマックス。
しかしそれは…いよいよ射撃会の日がやってきました。
マックスを鼓舞するように高らかに歌われるのが今日ご紹介する「狩人の合唱」です。
いよいよ最後の一発を撃つ時がやってきました。
(銃声)崩れ落ちるカスパール。
なんと!恋人アガーテまでもが…。
魔弾は両方の命を奪ってしまったのか!しかし…マックスは全てを正直に話しました。
すると…見守る村人は歌を歌い物語は大団円を迎えます。
「魔弾の射手」は1821年に初演されるとイタリアオペラを押しのけて大ヒットしました。
文字どおり…いかがですか?ドイツ民族の心をうち抜いたって今おっしゃってましたけどもなんかほんとに設定的にもね森の中だったりとか悪魔との戦いだったりとかワクワクするんだろうなと思いながら見てましたし。
ウェーバーはオペラ化するにあたってこの結末をね書き換えているんですよね。
先ほどのね映像見ても彼女も一応倒れますけども実は気絶していたと。
それが救われますよね。
見てる側からするとね。
あの「魔弾の射手」はドイツを舞台としてドイツ人によるドイツ語を使ったドイツ人のための初めてのオペラという事なんですよね。
モーツァルトやベートーベンもドイツ語のオペラは書いてるんですけれども舞台がね外国なんですよね。
ああ〜確かに。
聴けば分かる言葉ですからね。
そこが大きいと思いますね。
石丸さんもやはり日本語でミュージカルを演じられる事多かったと思うんですけれども。
そうですね。
やはりこう他の外国語で…。
それは伝わりますよ。
雰囲気は伝わりますけれどもその言葉の部分というのはどうしてもなかなか個人差がありますよね理解できる人できない人。
でも同じ言葉をしゃべる人間同士だったらそれが分かち合えるのでそういった意味ではミュージカルでそういう事をしたいなと思っていたのでこのウェーバーの気持ちも分かるような気もします。
今日ご紹介しているこの作曲家ウェーバー「ららら♪クラシック」では初登場という事なのでこちらをちょっと見たいと思います。
代表作は「魔弾の射手」「オベロン」そして「舞踏への勧誘」というねピアノ曲にとても有名な作品があります。
オーケストラで演奏する際に指揮棒を初めて使ったのはウェーバーだとも言われているんです。
じゃあ割と画期的な事をやった人なんですね指揮者としても。
そうなんですよね。
非常に力のある。
さあそしてですね実はフルネームはこういうふうになっているんです。
ご覧下さい。
長いなあ!偉い人の名前っぽいですね。
石丸さん読んで頂けますか?すばらしい!なんでこんな長いんですか?実はですね「フライヘル」というのは「男爵」。
爵位の。
そして「フォン」は「貴族」というふうになっています。
そうするとよく音楽家にいるような貴族の出身って事になるんですか?この人は。
ところがですね先祖をたどっていっても貴族の家系が見当たらないという事でどうやらお父様のでっちあげではないかという説も…。
そして実はこの父親のもとに生まれたという事がですね後のウェーバーの人生に大きな影響を与えているんですよね。
一体どんな影響を与えたのでしょうか。
VTRをご覧下さい。
1786年ウェーバーは北ドイツの小さな田舎町オイティンに生まれました。
物心付く前から父の率いる…父は自分の兄の娘がモーツァルトの妻となった事に競争心を燃やし息子を音楽家に育てようとしました。
巡業のさきざきでも地元の音楽家のもとに通わせウェーバーに音楽の基礎をたたき込んだのです。
その才能は早くから開花しました。
26歳の時にはプラハの名門歌劇場で指揮者となり傾きかけていた歌劇場を見事に復興させました。
その後も音楽監督としてまた指揮者や演奏家として各地の劇場を回り名声を高めていったウェーバー。
31歳の若さでヨーロッパ屈指のオペラハウスドレスデン歌劇場の音楽監督に抜てきされるのです。
その当時のドイツはナポレオン率いるフランスをはじめ他の国々からの脅威にさらされ政治的にも文化的にも後れを取っていました。
一つの民族ではあるけれどあまたの貴族が群雄割拠し統一された国家の形を成していませんでした。
そんな中ドイツ民族に向けて発表したのが歌劇「魔弾の射手」だったのです。
ウェーバーは…そのようなドイツ人の心というもの…ですからウェーバーは作曲家になった時になんとしても…それも非常にドイツ的な題材で打って出たい。
そういうふうに考えたんですね。
「魔弾の射手」は上演されるやいなや人々を熱狂の渦に巻き込みチケットは常に完売。
1年半の間に50回も上演されるほどの人気でオペラ史上まれに見る大ヒットとなりました。
そして「魔弾の射手」の成功でウェーバーの名は海を越えてロンドンにまで響き渡ります。
イギリスを代表するロイヤル・オペラ・ハウスから新作オペラを依頼されるまでになるのです。
しかしこの時彼は既に…いよいよこれからという時でした。
ロンドンでの公演を終え帰国する前日ウェーバーはこの世を去ります。
ウェーバーの遺骨をのせた船がエルベ川を行くと行き交う船は全て半旗を掲げて偉大な作曲家を迎えたといいます。
ドイツ民族の魂を目覚めさせたウェーバー。
代表作「魔弾の射手」は今も民衆から愛され続けています。
当時はねこの演奏が始まると冒頭の序曲からもうスタンディングオベーション。
心がワクワクするいてもたってもいられなくなるようなメロディーでしたね。
高揚感ありますね。
巡業歌劇団というのはどう思いました?この土地土地の人たちのこう思いとかそれから感覚とかを見ながらはかりながらやる。
そういう意味では柔軟じゃないとできないと思うんですよね。
ウェーバーさんたちはすごくいろんなものに向き合いながら回っていったんじゃないかなと思いますけどね。
どうですか?石丸さんはたくさんいろんな各地で活動されてると思いますけどお客様の反応によってちょっとこう演じ方を変えたり歌い方を変えたり…。
ありますね。
例えばいろんな地方都市に行きますとご当地ではやっているものとかそういうものをネタの中にちょっと仕込んだりしてそれをポッとしゃべるとバーッと受けたりとかしてましたから僕らもそういう意味ではいろんな町の人たちに向き合って演じている事が多いです。
でも美濃さんもそうでしょ?そうですねやっぱり。
子供が多いコンサートなんかだと初めて音楽を聴くからもうワクワクしてざわめいているわけですよ。
だからあえて最初の一音をなかなか鳴らさないとかね。
そうすると集中力が高まっていったりとかそういうのもやっぱりでも経験ですよね。
ですね。
しかし39歳はちょっといかにも若かったですね。
ですね。
もっと生きてらしたらどんな曲書いたんだろうって。
ほんとですね。
「もし」はありえないんですけどね。
ただでもドイツの民衆が求めていた音楽をまさにその時に書いたっていう雰囲気がありますね。
そうですね。
クラシックにまつわる素朴な疑問にお答えしま〜す!お答え頂くのはピアノの事ならお任せ!一年間で300台ものピアノを調律する外山洋司さんです。
(外山)音色は華やかな音色にしたりそれから柔らかな音色に…。
(外山)リハーサル中にもしくは…
(外山)なので開場ギリギリまでもしくは開場の間も調律をするという形になります。
ホールに足を運んで頂く…なるほど!リハーサルの前から作業を始めるのはもちろん本番ギリギリまで調律する事ですばらしい音色を届ける事ができるんですね。
番組ではクラシックにまつわるあなたの疑問・質問をお待ちしていま〜す!今日の名曲はウェーバーの「狩人の合唱」。
民衆の求める音楽を熟知していた彼は歌劇「魔弾の射手」でドイツ民族の心を一つにしました。
大ヒットの秘密を美濃さんが解き明かします。
今日ご紹介する「狩人の合唱」は「魔弾の射手」の中でも最もシンプルで分かりやすい曲といっても過言ではございません。
実はとっても…ドイツ民謡というとねぴんとこないかもしれないですけれども実はですね私たちが知ってる曲もドイツ民謡がたっぷり入っている曲がたくさんあるのでご紹介したいです。
どこがドイツ民謡風なのかというのを解説していきたいと思います。
まずはこちら。
「ぶんぶんぶん」ですよね。
そうです。
まだあります。
あれ〜?「やまのおんがくか」。
これもドイツ民謡。
ドイツ民謡ばっかり歌ってたのかな子供の頃。
っていう感じですよね。
それくらいほんとに私たちにはなじみの作品ですけれども。
「狩人の合唱」今聴いた曲と実は共通点がある。
どんな共通点があるのか具体的に見ていきたいと思います。
まず1つ目の共通点私の右手メロディーの部分どの音を使っているかなんていうところを注目して聴いて頂きたい。
分かりました。
クイズですね。
(「ぶんぶんぶん」)さあでは「狩人の合唱」も弾いてみますよ。
あっ。
何でしょう?指を見ておりました。
そうですね。
「狩人…」は最初ソにとんでましたけど。
あとはまたもとのポジションに固定されてましたね。
そうなんです。
スタートラインはね低いソから始まりますけどこの曲5本の指で弾けるドレミファソだけが中心になっていてそれは「ぶんぶん」と共通点になっているんですね。
そうなんだ。
「狩人の合唱」はもう少し先まで弾くと1か所ちょっと例外はあるんですけれども99%…おお〜見事だな。
では2つ目のポイントです。
今度はですね伴奏をつけますので私の左手に注目して頂きたいと思います。
(「ぶんぶんぶん」)さあ次に「やまのおんがくか」を弾いてみますよ。
(「やまのおんがくか」)さあ何か共通点分かりましたか?そうですね。
正解でございます。
その使っている和音というのが…。
ドミソと。
ソシレという。
ほんとに和音の中でも中心になる2つの和音。
1度と5度と言われる和音ですがこの2つしか使っていないんです。
いやあこれがまたポイントなんだなあ。
ではこれが「狩人の合唱」でもいえるんですけれどもどうなっているのかというのを見て頂きたいと思います。
う〜んまさに。
同じですね。
そうなんです。
なんかこうね今印象としてドミソからソシレになった時に…だから推進力がある。
5度と言われる音には1度に戻りたいというエネルギーがありますのでその2つを巧みに絶妙に。
ほんとすごいですね。
なんと単純な。
このようにドイツ民謡を意識してシンプルに作られた「狩人の合唱」ですがなぜ大ヒットしたのかもう大体お分かりだと思いますが…。
そうですね。
覚えてそれをどうしますか?劇場を出てから…?歌いながら帰る。
そうです。
そして…そうですね。
それを聴いた人が見た事ない人が見に来る。
すごいですね。
それによって大ヒットというこういう図式が生まれるわけなんです。
僕らでも実は…ミュージカルやってるじゃないですか。
あるんですよ。
それは…大体エンディングにそういう曲が流れてきたりするとそのまま歌いながら帰る。
ミュージカル映画でもありますよね。
「エーデルワイス」歌いながら帰ったりとかあるじゃないですか。
だからそれがヒットの秘けつなんだなって。
やっぱり共通点ありますね今のものもね。
お持ち帰りソングの元祖がウェーバーだというのは石丸さんの新説ですね。
ウェーバーは随分先を行っていたという事なんですね。
それでは演奏をお聴き頂きましょう。
ウェーバー作曲歌劇「魔弾の射手」から「狩人の合唱」。
ドイツ語と日本語でお聴き頂きます。
(ドイツ語)
(ドイツ語)豪快でしたね。
そうですね。
パーンパッパッパーンパッパッパラランパララン…ここが難しいんですよ。
難しそうですね確かに。
テノール高い人が歌ってますしね。
でもいとも簡単に歌ってらっしゃるところがすごいなと思いました。
やっぱり聴いてらっしゃるポイントが違いますね。
さすがプロです。
ものすごくシンプルですけどなんか聴いてるとウキウキしてきますね。
日本語でも合いますね。
こうやって聴きますとね。
間奏部分はねララララララララ…。
この番組のオープニングテーマでもいいような元気な感じがしましたけれども。
ほんとそうですね。
でもなんかこうドイツらしい音楽が改めて僕も聴き直したいなと思う気持ちにさせてくれる名曲の一つだと思いました。
皆さんも…ララララララ!口ずさみたくなったのでは?今日はこの辺で。
2015/09/19(土) 21:30〜22:00
NHKEテレ1大阪
ららら♪クラシック「ドイツ人の心を射止めた男 ウェーバーの“狩人の合唱”」[字]
ホルンの勇ましい伴奏とともに高らかにうたわれる男声合唱の名曲「狩人の合唱」は、ドイツの作曲家ウェーバーの歌劇「魔弾の射手」の中の一曲。名曲誕生秘話を紹介する。
詳細情報
番組内容
ホルンの勇ましい伴奏とともに高らかにうたわれる男声合唱の名曲「狩人の合唱」は、ドイツの作曲家ウェーバーの歌劇「魔弾の射手」の中の一曲。ドイツ民族に伝わる古い民話をもとに作曲されたオペラは大ヒット。ドイツ人の心をガッチリとつかんだ。親しみやすい旋律に込めたウェーバーの狙いとは?【合唱】東京混声合唱団【指揮】山田和樹【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団
出演者
【ゲスト】石丸幹二,【出演】音楽評論家・玉川大学芸術学部教授…野本由紀夫,【司会】石田衣良,加羽沢美濃,【演奏】合唱…東京混声合唱団,指揮…山田和樹,管弦楽…東京フィルハーモニー交響楽団ほか
ジャンル :
音楽 – クラシック・オペラ
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
劇場/公演 – ダンス・バレエ
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音声 : 2/0モード(ステレオ)
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